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一人娘を亡くした父が、悲痛のどん底で掴んだこと

6月19日(日曜)は「父の日」。この日に向けてプレゼントを準備されている方も多いことでしょう。月刊『致知』には父と子にまつわるお話が数多く掲載されていますが、その中でも特に反響の大きかった2018年6月号の感動実話をお届けします。どん底の中で、人生を大転換させた父親の話です。

「人よりも偉くなれ」

父は中学校の校長をしていた。
自分が負けず嫌いだったから、
娘に対しても小さい時から
「偉くなれ」と言って育ててきた。

大きくなると、さらにその上に、
「人よりも偉くなれ」と育てた。
 
小学校から高校まで、娘は順調に伸びていった。
だが、東京の大学に進むとそうはいかなくなった。
いくら努力しても自分より優れた人が数多いる。
娘は絶望し、電車に投身自殺をした。

「両親の期待にそうことができなくなりました。
人生を逃避することは卑怯ですが、
いまの私にはこれよりほかに道はありません」
 
残された手紙にはそうあり、
続けてこう書かれていた。

「お母さんほんとうにお世話さまでした。
いま私はお母さんに一目会いたい。
会ってお母さんの胸に飛びつきたい。
お母さんさようなら」
 
これを読んだ母は狂わんばかりに娘の名を呼び号泣した。
 
この父は東京家庭教育研究所の創設者、小林謙策氏(故人)。
 
小林さんは言う。

「子どもは這えば立ちたくなり、
立てば歩きたくなり、
歩けば飛びたくなる。

これが子どもの自然な姿。
子どもは無限の可能性を持って伸びようとしている。

それなのに私は愚かにも
“人より偉くなれ”と言い続けてきた。

“自分の最善を尽くしなさい”だけで、
娘は十分に伸びることができたはず。
私は娘の死によって、
家庭教育の重要性を痛感しました」
 
以後、小林さんは家庭教育の探求と普及に生涯を捧げ、
平成元年に亡くなられた。

自分の最善を尽くしなさい

一人娘の自殺という悲痛のどん底で掴んだ
父としての覚醒である。

(『致知』2018年6月号特集「父と子」より)

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