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『致知別冊「母」』発刊に込めた編集長の思い

2019年6月、弊社から刊行された『致知別冊「母」』。
子育て層のお母さんたちを読者対象とした致知出版社初の試みでしたが、おかげさまでシリーズ累計50,000部を突破と、大変ご好評をいただいています。そして、令和5年6月、シリーズ5冊目となる『致知別冊「母」2023』が発刊されます。本書の企画から販促、イベント開催までを一手に担ってきた『母』編集長 藤尾佳子の『致知別冊「母」』第1弾「発刊に寄せて」をお届けします。

『母』──発刊に寄せて

どんなに時代が変化しようとも、
絶対に変わらない不変の真理は、
世の中にあるだろうか?

目まぐるしく変わる時代の変化を見ていると、
絶対不変の真理などないように思えるが、
弊社刊『小さな人生論4』の中に、
絶対不変の法則は4つあると書かれている。

「人間は必ず死ぬ」ということ。

「自分の人生は自分しか生きられない」ということ。

「人生は1回限りである」ということ。

「この悠久の宇宙の中で、自分という人間は
過去にも未来にも一人しかいない」ということ。


そしてもう一つ、心に留めておきたい法則。

それは、「子は母から生まれてくる」ということ――
これも絶対に変わらない
不変の真理ではないだろうか。


母親は、お腹に子どもを授かり、
十月十日、子どもと一心同体の日々を過ごす。

初めて心拍が確認できる頃、
赤ちゃんの大きさは僅か1、2ミリ。

こんなに小さな体で、一所懸命に心臓を動かしている。

母にとって初めて赤ちゃんを愛おしく感じる瞬間だ。

それから数か月をかけて、
母親のお腹の中で赤ちゃんは次第に人間の姿へ育っていく。

そして、男性が体験したら死んでしまうと
言われるほどの苦難を経て、子どもを産む。

赤ちゃんも、わずか4センチほどの産道を、
少しずつ少しずつ進んでくる。

そして、外の世界へと生まれてくる。

生まれた赤ちゃんは、母親の胸の上に乗せられ、
まだ出ないお乳を吸う。

それが母親としての遺伝子のスイッチをオンにする。

産んですぐは「もうしばらく動けない」というくらいに
消耗しているのに、不思議と3時間おきに
お乳をあげるエネルギーが湧いてくる。

すると、数時間前までは出なかった母乳が、
自然と少しずつ出てくる。

数日経つと、3時間を待たずして
パンパンにお乳が張るようになる。

母の身体が変化して、
産んだ赤ん坊を生かそうとしていく。

自分の意思とは関係なく、潜在的に持っていた
生命のエネルギーが赤ん坊を生かそうとしている。

そんな体験を通して、
自分自身も天から生かされていることを実感する……

この体験は、母親にしかできない体験だ。

こんな神秘的で感動的な体験をして
産んだ子どもの幸せを願わない母はいない。

しかし、当初感じていた思いは、
月日が経つほどに、子育ての忙しさ・大変さの中で、
どうしても忘れかけてしまう日もある。

その時に、母親自身が心の中に軸を持っているかどうか。

それが子どもの人生を大きく左右するのではないだろうか。

どの人も母親から生まれてくる。

だからこそ、母が子に与える影響は大きい。


「いつの時代でも、人生にも仕事にも
 真剣に取り組んでいる人はいる。
 そういう人たちの心の糧になる雑誌を創ろう」

『母』の母体となる月刊誌『致知』は、
この創刊理念のもとに41年間歩んできた雑誌だ。

11万人を超える読者の皆さまから

「『致知』に出逢って人生が変わった」

「『致知』は私の人生のバイブルです」

ありがたいことに、そんな声を多くいただく。

読者の方々からそうおっしゃっていただける
この『致知』のエッセンス、人間学のエッセンスを、
子育て中のお母さんにお届けできないものだろうか。

そんな思いのもとに企画されたこの『母』。

いつの時代にも子どもの幸せを真に願うお母さんが、
明日を生きる喜び、希望、勇気、智恵を
得られる一冊をお届けしたい。

一人でも多くのお母さんとお子さんの、
より幸せな人生のために……という願いを込め、
そして、私たち母親の子育ての変化によって、
より良い日本の未来が築かれますように、
という祈りを込め、人間学を探究して41年の
『致知』が贈る「子育てのための人間学」。

ここに発刊いたします。

令和元年5月吉日

致知別冊『母』編集長・藤尾 佳子