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「湖で人間と自然がひとつになる」日本エコツーリズムの先駆者松本さんの挑戦

「秩父へ移住したい」と考える人もいるのではないでしょうか?私もそのひとりです。のんびりと生活したいけど、東京での生活は切り離せないのが現実。移住を考えたときにまず私が気になるのは、仕事のことです。

テレワークを活用して、会社へ通勤する方も入れば、秩父の会社へ転職する方もいるでしょう。もうひとつは、秩父で起業することです。
3月26日に八重洲で開催された「秩父移住イベントin東京」では、「移住×起業 ✕ カヌー」というテーマで、合同会社Bencher代表の松本芳行さんに、秩父での起業について松本さんにお話を伺いました。

秩父で事業をはじめた松本さん

【松本さんプロフィール】

合同会社「Bencher(ベンチャー)」代表。
日本で初めて「ホエールウォッチングを事業化」エコツーリズムの先駆者
東京から秩父へ移住し「Study to be quiet(静かなることを学べ)」をコンセプトに、「秩父さくら湖(浦山ダム)」でカナディアンカヌーの体験を広めています。湖上という、いつもとは異なる視点から秩父の自然を眺め、人間が作ったダムの役割を再認識することで、「自然と人間との共生」について考えるキッカケづくりになれば、という思いから「Bencher(ベンチャー)」を立ち上げる。

秩父移住イベント in 東京についてはこちら

エコツーリズムをはじめるきっかけは小笠原移住

松本さんは、20歳のときに東京都小笠原諸島へ観光に行ったことがきっかけで、自然と出会い、小笠原へ移住したいと思うようになったそうです。30歳のときにご縁があり「公益財団法人 小笠原村商工会」の経営指導員として念願だった小笠原へ赴任。松本さんは「日本で初めてホエールウォッチングを事業化」日本のエコツーリズムの先駆者であり、同時に「日本で初めてラム酒の会社を設立」し、沖縄のサトウキビを使いラム酒作りをした、すごいお方!

34歳〜64歳までは、カー用品の総合メーカーで勤務。90年初頭、昨今のようなアウトドアブームが起きたときに、ドイツからカナディアンカヌーを輸入。埼玉県寄居町にある「玉淀湖」のほとりに土地を借りて、「自然共生クラブ児玉社」を立ち上げたことをきっかけに、カナディアンカヌーを始めたそうです。

移住と起業を同時に進行する松本さんのバイタリティ

松本さんの話に引き込まれる会場のみなさん

秩父には、ご友人が住んでいるためよく遊びに来ていたそうです。親友からは「秩父はいい場所だから住んでみたら?」と誘いを受け、退職を機に移住を決意。

「秩父さくら湖(浦山ダム)」で営業許可を取得してダムのエコツアーをスタート。私にはない決断力とバイタリティに驚きました。カヌーの重さは30kg、長さは5mもあり、これを担ぐとなると相当な力と体幹が必要です。「64歳までオフィスワークをしていて運動もしてこなかったので、体力がありません。体力増強と健康増進も起業の目的でもあります。」と冗談をおっしゃっていましたが、実際にカヌーをかつがれる姿は圧巻でした。

合同会社を設立し事業をスタート

合同会社の設立の場合、一般的に株式会社の設立よりも起業のハードルが低いと松本さんは話します。

例えば

・設立費用が安価にすむこと
・株主総会の必要がないこと
・社員が1人で良いこと
・事務所が自宅で良いこと

など、松本さんにとっては好都合のことが多かったとのこと。わからないことは、移住センターで相談したり、友人に相談したり、多くの人に助けてもらっていたそうです。

カヌーにもBencherのロゴが

松本さんは、2020年10月2日に「合同会社BENCHER」を設立し、移住。事業名は「カナディアンカヌークラブBencher」です。
「ベンチャー」と聞くと、ベンチャー企業の「venture」を想像する方が多いと思いますが、松本さんの会社名は「V」ではなく「B」。「bencher」には「ボートの漕ぎ手」という意味があります。

同時に秩父の商工会、商工会議所、観光協会、セーフティカヌーイング協会に加入。情報集めや、ネットワーク作りのために参加し、半年間起業の準備をして、2021年4月に事業をスタートさせました。

なかなか聞けない開業資金事情


資金繰りも赤裸々にお話くださったので大変勉強になりました


起業する際に特に注意したことは、「不測の事態に備えること」と「資金に余裕を持ってスタートすること」と松本さんは話します。

松本さんは開業資金として自分で用意する資本金はもちろんのこと、秩父市の移住支援センター、埼玉県起業支援金、日本政策金融公庫の融資などを活用されたそうです。

・開業資金 200万円
・埼玉県起業支援金 90万円(上限は200万円)
・秩父市移住相談センターで60万円(夫婦100万円、単身60万円)
・日本政策金融公庫 新創業融資にて440万円(無担保、無保証で借入できたが返済期限あり)
・役員借入金100万円

埼玉県北与野にある公益財団法人埼玉県産業振興校舎には、総合ベンチャー支援センターがあり、補助金の相談や公認会計士、税理士、中小企業診断士の方々に無料で相談でき、そこで「県の補助金」のことを教えていただきました。

お店のロゴや店舗名を商標登録をしておくことで、将来的に自分のブランドを立ち上げることもできるといいます。

松本さんは、カナディアンカヌーを知ってもらい、人間と自然との共存を多くの人に知ってもらいたいと話します。一人で考えるよりも、移住の先輩や友人、秩父移住センターで相談できたことが心強かったと仰っていました。

地域のかたにも知ってもらう努力を


松本さんが取り組んでいる集客施策


今のご時世、黙ってお客さんがくる時代ではありません。会社のように宣伝してくれるわけでもなく、黙っていても給料が振り込まれるわけではありません。地域での起業は、特にまちの人にもどのような活動をしているかを知っていただくことが何よりも大切。

ポストカードを観光協会に置いてもらったり、SNSや、インターネット予約サイトの活用、さらにキャッシュレス決済の導入したりしてお客様フレンドリーを追求されているそうです。

もし自分が秩父で起業したら、秩父の魅力発信や商品のPR活動はもちろんですが、秩父を盛り上げるために、地域の方々の協力が欠かせないということを学びました。

西武秩父駅から車で10分の場所にあるエコツアー


深い青色の澄んだ水が特徴的な秩父さくら湖

東京から電車で80分。西武秩父駅から車で10分の場所にある「秩父さくら湖(浦山ダム)」でカナディアンカヌーを漕ぐ「エコツアー」。浦山ダム(重力式コンクリートダム)の高さは全国で2番目、その他の種類のダムを含めても6番目の高さがあり、かなり大規模なダムですが、静かで水がキレイと好評だそうです。ツアーは午前と午後の部に分かれています。

カナディアンカヌーのパドルは片方のみ

ちなみに、カヌーと言うと、カヤックを想像する方もいると思いますが、カヤックのパドルは両方についていて、カナディアンカヌーの特徴はパドルが片方についていること。わたしも松本さんのお話で初めて知りました。エコツアーではこうしたカヌーの細かな説明までしてくれるので初心者でも楽しめます。
「秩父さくら湖(浦山ダム)では、なんと1億5千万年前の地層を見ることもできるそう!私も普段見ることができない地球の歴史を間近で見てみたいとわくわくしました!

秩父への移住で広がる可能性

「ひとりでも多くのお客さまに来ていただき、ひとりでも多くの人に喜んでもらいたい。昨年来た方はみなさん喜んで帰っていただいたことが、自分の自信にがっています。」と松本さんは嬉しそうにお話されていました。

松本さんのお話を伺って、起業するだけでも大変なことなのに、ましてや、地域に移住して事業を起こすことは、その土地や環境ならではの難しさもあることがわかりました。

一方で、秩父には松本さん以外にも起業されている方がおり、秩父は、移住者にとって新しい挑戦ができる土地であるということに、大きな魅力を感じます。松本さんのお言葉には秩父の人に対する感謝や愛情があふれていて、「地域と共に盛り上げて行こう」という意気込みを感じました。

自分の想いを事業にすることは、楽しいだけでなく辛いこともあるでしょう。しかし、その先にあるお客様の笑顔が活力に繋がりますね。私自身も秩父に足を運び、松本さんのように地域の方々と楽しみながら、繋がりを大切にしていきたいと思います。

ご入会は応募フォームから!

移住を検討してる人も、週末通える遊び場を探している人も、みんなで楽しく交流しながら秩父の魅力を発見していく『秩父ファンクラブ』。
「秩父ファンクラブに参加してみたい」と思った方は、
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参加動機をその他を選び「noteを読んで」と記入してもらえると嬉しいです。疑問・質問もいつでも受け付けております♪

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