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恋の行方は描かれていた 瞳の色が違うだけ 2020年11月8日の日記

・今朝、ふと都々逸をググっていたらこんなものを見つけた。

・なんて最高、それでいて実感にぴったり張り付く都々逸なんだ。かなり昔から知っていた感覚であるはずなのに、一度もぴったりとした言葉で表されたことがなかったな。

・焦点以外のものが全てぼやけていく実感って、誰もが経験したことあるのかな。たった一人のポートレート(写真の方)を24時間撮影してるのって、かなりの快楽でもある。酔っている身体を楽しんでいる状態に近い。めちゃくちゃ理性がないで〜す!って叫び回ることができるからかな。みんな、自分が狂ってることを抑え込んで生きてるから、狂いを何かのせいにして発露できることが楽しいのかな。

・tiffで「燃ゆる女の肖像」を観ましたよ。Portrait of a Lady on Fireでございます。

・ちょっと私は、愛とか恋が好きすぎるな。こういう映画が異常に好きだ。どうかしているくらいに好き。こてんぱんに打ちのめされてしまう。とにかく愛とか恋をじっと見つめることが好きすぎる。簡単に他人の愛とか恋のビッグウェーブに乗っかってしまう。

・燃ゆるを観ている120分間、プレミアムボックスシートに頭と背中とお尻と裏モモが張り付いて全く動けなくなった。衣ずれの音すら立てちゃいけなかった。私の目の前で繰り広げられる、人生のうち数えるほどしかない至上の時間を邪魔してしまわないように、静かに呼吸をして吐きそうになるくらい涙を流した。終盤のとてもここでは描写できないシークエンスは、もう助けてほしかった。何に助けてほしかったかわからないけど、(助けて〜〜〜…………)と何度も思いながら涙を流していた。

・燃ゆる女の肖像、Portrait of a Lady on Fireのこと、もう完璧な映画だと思っちゃってるみたいだ。私はもう何かあるたびにこの映画のことを思い出すんだと思う。ご飯食べてても電車乗ってても今これを書いてても涙が出てくる。私がなんでこんなに所構わず涙を溢しているのか全くわからないよ。

・こういう映画を冷静に観たいと思う気持ちがすごくすごくあるのに、この衝動に溺れていたいという気持ちもすごくある。今は多分浸っていたいだけ。あの粗雑な肖像画に文句もつけられないくらい、今はダメだ。あの絵の荒さは、肖像画としてありえないのわかってるんだけど、もうどうでも良くなっちゃった。ああいった背景で描かれた肖像画がもっと精密であることを私は知っている。

・他の人が冷静にこの映画を判断しているのを知ったら、耐えられない。良いとか悪いとか言ってるのを知りたくない。どっちも知りたくない。冷静に言葉にしている沢山の人を見てしまったら、この映画で狂ってしまったのが私一人なのかもしれないという絶望に突き落とされてしまう。

・私は突き落とされたいのかも。私のことを突き落とす人に振り返ってほしいんだ。

・私がこういう映画を冷静に観られるようになってしまったら、もう私は終わりだと思うのです。愛の知ったかぶりをやっていると思うのです。私が真剣に、新鮮に、愛を無理やり喪失させられる物語に心動かされているうちは、まだ私の可能性があると思うのです。そういう生意気なことを今本気で感じています。

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