サールナートホール師匠

静岡県・静岡市の映画館、サールナートホールさんの映画紹介がステキである。行ったことはまだ無いが、Twitterの上演作品の紹介文が非常に良い。簡潔で淡々としていて、事務的にも思えるけど、急にすっとぼけたユーモアが入ってたりする。140文字でしっかり興味をそそられるし、たまに知っている作品だと、「そうそう、ほんとそういう映画だよね笑」と、嬉しい気持ちになる。中の人はどんな御方なのだろう。早くこんなふうに映画の紹介が出来る人間になりたい。弟子入りしたい。鑑賞にも行ってみたい。
https://twitter.com/Sarnathhall

自分の好きになった作品について、身近に語れる相手がいるのは幸せなことだ。ホントは妻と共有したいのだが、僕の勧め方がヘタらしく、最近はあまり聞いてすらくれなくなった。先日もXメンシリーズの『ローガン』の話になったが、僕が第一声で「あのほら、爪がシャキーンってなる…」と言った瞬間、妻の瞳から興味の光が失われるのが分かったからやめた。ただ哀しかった。

悔しい。“紹介力”をもっと身につけたくて、僕は日々、研究をしている。いつか妻をギャフンと言わせてやるつもりだ。
三宅隆太さんは、口頭で作品の説明をするときのアドバイスで、「物語の主人公的なる人物の役名、もしくは俳優名を具体的に出したら、それ以降はあまり名前を出さず、主人公との関係性(父親、友達、隣人…などなど)で説明すると良い」と言っていた。ふーむなるほど。人の理解や認知の順番や限界を理解してコントロールしているのがすごいし、同時に優しい。
町山智浩さんは、実は映画の中にはっきりと出てくるわけじゃない描写を混ぜ込んだり、舞台となる場所や文化背景の現実の説明を加えるあたりにテクニックを感じる。日本の〇〇に似てるとか、日本人に身近な物事を引用するのも、イメージの地ならしが巧いなと思う。
こんなふうに、紹介の達人の話しぶりやコツに感心し、俺もやってやるぜ!と、いざしゃべると、「メッチャ」とか「モノスゴイ」しか出てこない。全くダメだ。今はね。

そんなわけで、最近新たに心の師匠様だと感じているのがサートナールホールさん。ちょっと真似してみても勉強になるかもしれない。もし、サートナールホール風に、『ウィリーズ・ワンダーランド』を書いてみるとこんな感じだろうか。

無口でキレイ好きでビールとピンボールと休憩時間を大切にしているワイルドなニコラス・ケイジが、廃れたテーマパークを徹底的に掃除しながら、襲い来る殺人マスコットたちを徹底的に叩き壊していく、スラッシャーホラーを上映します。

あ、ぽい!この感じ、ちょっとぽいぞ。これいいかもしれない。練習になるわ。そして作品をぎゅっと圧縮して言葉にするの、単純に楽しくてワクワクするのはナゼ?なんなのこの気持ち。


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