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梅仕事と味わい


母方のおばぁちゃん94歳。
80歳過ぎたあたりから体力的に農作業や漬け物づくり、梅仕事が出来なくなり、毎年必ず樽で送られてきた梅干しが届かなくなった。

幼い頃からおばぁちゃんの手づくり梅干しが台所のはしっこに鎮座していて、料理にはもちろん、喉が痛い時、風邪の時、夏場、いつでも身近な存在でした。

それが、ある年を境に無くなった。

「あー無いのか。」って家族みんな何度言ったことか。

手づくりの梅干しと、市販の甘い梅干しは全くの別物で、どうしても買う気にはなれない。

おばぁちゃんの梅干しで育った人間が親族で20人ぐらいいる。

そこで、数年前からおばぁちゃんの長男嫁(叔母)と私が梅仕事を継ぐことになり、今再び食卓に手づくり梅干しが戻ってきた。

当たり前の話で、、、
母はおばぁちゃんの塩分濃度高めの超しょっぱい梅干しが大好きで、私の作る梅干しは「ちょっと物足りない」と。

それで良い。

私は、長女の味覚過敏を優先して、塩分は限界まで控え、更に化学物質臭にも敏感な娘にプラスチック樽は使わずに陶器を使う。

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数年もするとみんな慣れ始め「繊細な味」と絶賛。
小学生たちからは初年度の夏から「この梅干しめちゃくちゃ美味しい」と好評。

でしょ!

「梅干しは作り始めたら3年は続けるべし!」(1-2年でやめるとその家に災いが起きる)という昔からの言い伝えがあり、叔母も私も5年目に入った。梅干しを作り続けるために、6月のスケジュールを毎年調整している。

先人のことばに身が引き締まる。

梅干しは、1000年以上も歴史があると言われていて、その伝統を人から人へずっと繋いできた。日本人にとって必要不可欠な食品であり、それが途絶えない為の優しさと厳しさで「3年続けろ」と伝え、3年(3回)作れたら、あとは難なく作れるだろうという親心。

ちなみに私は、その言い伝えを初めて聞いたのは既に3年目で、なるほどなぁと感じました。

現代は、ありとあらゆる栄養価の高い食品や手作りの梅干しも手に入りやすいので、そんな言い伝えは全く気にすることないです。

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さて今日も今から、梅仕事。
3歳と6歳も梅仕事がだいすき。

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