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ホストマザーになって


"31 Ice Cream have in the US?"
(サーティワンってアメリカにあるっけ?)

先週、娘たちと31に行った時のこと。



そちらが本家だというのに、私は野暮なことを彼女に聞いてしまった。



すると彼女は、

"Yeah Yeah! Baskin-Robbins."
Former President Obamaシッテマスカ?
(うんうん!店名は、バスキン・ロビンス。オバマ元大統領は知ってますか?)

と、私に質問を返してきたので、うんうんと頷き返事をする。

サーティワンとオバマ元大統領にどんな関係があるんだろう?と次の言葉を待っている僅かな時間も貴重に感じる。

彼女とは、先々週アメリカから初来日したばかりの我が家にホームスティで一緒に過ごしている高校卒業ほやほやのEddyエディ17歳のこと。

私の英会話力は幼児レベルなので、知ってる単語を繋げ、それでも会話が成立しない時には翻訳アプリに力をお借りする。

数年前、オバマ元大統領が自身のSNSにて初めてのアルバイト先は、ホノルルにあるバスキン・ロビンス(日本名:サーティワンアイスクリーム)だったことを明かし話題になったことを教えてくれた。

Eddyが我が家にやって来てから、地球がぐんと小さくなり、オバマ元大統領の話題さえ、親戚のおじさんのことかと思う。(恐縮)

約1ヶ月前から日本との時差14時間の州に暮らすEddyとのLINEが始まり「おやすみなさい。」と"Good Morning!"がよく重なった。

17歳とは思えないほど礼儀正しくしっかり者で、世話になるであろう私達家族への気遣いも抜かりない。

どんなギフトが好きですか?しゅみはなんですか?好きな物をかいたいですから:)。色々な物があります。パズルと人形とようふくとか。言ってください :)

翻訳アプリだと変わった言い回しになる。

他愛もないトークをしているうちに、彼女はスロベニアにルーツがあることを突然告白し、伝統的な料理を一緒に作りたいと言うので、私は彼女のそれまでの大人びた印象のワケにようやく気が付いた。
「Thank you for letting me know.(教えてくれてありがとう。)」と送信すると、「言って良かったです。」と返ってきた。

昔、旧ユーゴスラビアと日本のハーフの友人がいたので、偶然私は旧ユーゴスラビア人の心境を想像することができた。至上最悪の紛争と呼ばれるほど複雑で残虐な内戦のあった地に暮らしていた一般市民が、祖国を離れ安全な生活を手に入れたところで生々しい記憶と傷はそう簡単に消えてはくれない。66歳のEddyのおじぃさんとおばぁさんは、旧ユーゴスラビアで生まれ育ち、戦争から逃れアメリカに移住。お父さんはアメリカで育ったスロベニア系アメリカ人。お母さんはアメリカ生まれ。Eddyの心の故郷は、アメリカではなくスロベニアにあり、まだまだ多感な年齢の17歳の女子がなぜ日本にやってきたのか、日本で何を感じたのか、私自身が忘れない為に綴っておきます。


Eddyはハイスクールで日本語を4年間専攻し学んできたそう。日本語に強く惹かれたのだとか。日本の何が好き?と聞いても一番に「ニホンゴ」と返ってくるほど。

入学と同時に2つのアルバイトを始め、卒業までの4年間の貯金で今回初来日。Eddyのアルバイトの時給は約20ドル。現在のレートで3000円ちょい。
アメリカのくら寿司では2024年現在、寿司一皿の料金が3.85ドル(約558円)、ラーメンは11.45ドル(約1,660円)、Hot Green Tea(緑茶)が 3.95ドル(約573円)。日本では緑茶は無料なので500円超えに衝撃。
Eddy本人が日本でまず驚いたのは、物価について。食品も野菜も消耗品もアクセサリーも「ゼンブヤスイ。ヤスイスギマス!」と嬉しさより信じられないといった反応。

Eddyと初めてイオンモールに入店した際には、ぐるーっと店内を見回し「エイゴイッパイ!ゼンブエイゴ。」と驚いていた。
私が幼い頃からイオンは既に英語の店名ばかりで、違和感を感じたことなど一度も無く店名の意味だって考えたことも無かった。けれど、中には宗教的な深い意味を持つ名前もあり、Eddyの目に映る不思議や違和感や感動をひとつひとつ丁寧に私に説明してくれる。



Eddyは毎日「ニホンハ、トテモキレイ、ウツクシイ。」と私に伝えてくれる。



つづく

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