滅びの生物。

かつて地球上に人類という生物がいた。
いずれは宇宙の深淵まで進出して、永遠なる生命体になるとも言われたが、実際は二百万年ほどで滅びた。
高度な知能を持ち、神の領域をも凌駕する、その頭脳の理解力には、限りない可能性も抱かれたが、どうしても、その残虐性には自己崩壊を免れない、その厄介さに彼らは負けてしまった。
他者を滅ぼすことによって、生存環境を広げてきた人類にとって、滅びというのは切っても切れない疫病神だったようで、生み出すため、創造するためには、必ず何かを滅ぼす。自分たちが限りなく発展していくことは、自分たちを限りなく滅ぼして行くことと同義語だったようで、最終的に自分達の手で自分達の存在を滅ぼしていった。
そういう人類だった。

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