【読書感想】「バチカン奇跡調査官 サタンの裁き」
前半ネタバレ無し
下の方に段落開けてネタバレを含む感想
「バチカン奇跡調査官 サタンの裁き」
藤木稟
エンタメ度 ★★★★★
文の理解しやすさ ★★★★☆
ギミック性 ★★☆☆☆
世界観の独特さ ★★★☆☆
読後の満足感 ★★★☆☆
(この辺を重視して私は本を読んでるよという目安。あんまり参考になんないぞ)
バチ官シリーズのニ巻目。
バチカンからの刺客として、奇跡が観測された場所に本物の奇跡かどうかを調査する二人の神父の物語。
バディ物の探偵。
今回の舞台はアフリカで、前回とは雰囲気も変わって面白かった。
陰鬱さを帯びた文章が熱帯夜の嫌な湿気を表現するのにとても合っていた。
シリーズ物の良いところは、主人公たちがいろんな場所に行くところを見れるところだね。
相変わらずサクッと読める。
遅読の私が一週間以内に読んでしまった。
ここから下は本編のネタバレを含む私的に印象に残ったシーン
前作より分かりやすかった理由ははっきりしてる。
解き明かすべき奇跡が1個だけだったから、読む側としてもそれを主軸に物語を見てられたからだ。
ロベルトの幻覚も落ち着いて見ていられた。
事件の収束に関係あることなんだろうな、と。
落ち着いていられると細かい描写を覚えてられるから、伏線や符合するところを見つけられて、ミステリーを読んでるときの楽しさを感じられた。
奇跡の正体も良かった。
分子微生物系の分野にちょっと興味があると、微生物ってロマンがあるということを知っているからね。
多すぎて発見できてないだけで、驚きの性質を持つ微生物はまだ世界中にたくさんいるからね。何なら今も誕生している(そして人間の預かり知らぬところで絶滅もしてる)。
「血液をゴム状にする」微生物がマジでいる可能性だってあるんだ。
作者さんの科学の視野の中に分子微生物が入ってるというのは面白いね。
平賀さん、今回ずっと暇してたわね。
科学関連の最後のところはビシッと決めたけどね。
前作より落ち着いた人になった印象。
ロベルトさん、ここで「過去というカード」を切るか。
メタ的感想だけどね。
私は24巻までシリーズが続いてることを知ってるから、2巻で過去出しちゃうっていうのが早すぎに思えてソワソワした。
ただし、過去の出し方に無駄がなくてストーリーとしてはすごく合っていてドラマチックで陰鬱で良かった。
感情的にならざるを得なかった事件だったね。
ジュリア司祭、明らかに次からのシリーズで暗躍するじゃん。
前作はあまりシリーズを意識してないような話の作りだったけど、2巻にしてがっつり行ったわね。
2巻も読むとキャラクターにも愛着が湧いてくる。
いつか3巻を読もう。