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【約束】

その夢は、辺り一面があたたかい光で包まれていて、私も、彼も、
ただの"光"として存在していた。

実体はなく、声だけが聞こえてきて、
話せているような感じ。

実体がないから、見えてないのに、
確かに、『側に居てくれている』と感じる。

何を話していたのか、具体的な内容は、忘れてしまったのだけれど、私は彼に、

生まれたら、
「こんなことをしたい!」
「あんなことをしたい!」
「これがやりたい!」
と、一生懸命うったえている。笑

個人的な願望から、
社会貢献的な地球規模の事まで。
どうやら私は、生まれてからやりたいことが、
沢山あるらしい。笑

そして、私はそれらを、
『彼と一緒に叶えていきたい』
と、思っている。

彼は、それを、ほほえましく聞いてくれていた。

でも、ここで、
私の心に、1つの不安が浮かぶ。

"こんなに色んなコトに、彼を付き合わせて、
彼は本当に倖せだろうか?"
"私と一緒になることが、彼の倖せになるのだろうか?"

樂しい氣持ちから一転。

一瞬で、そんなことを考えてしまった私は、
彼を私の夢に巻き込んで、
彼の"倖せ"や、彼の人生の責任を取れるのか、
不安になった。

そして、
私は、彼に対する精一杯の"愛"のつもりで、
こう伝える。

『でも、自分の倖せが1番だから。自分の倖せを、1番優先してね。』
自分の、本当の氣持ちを隠して。

少しの間があり、彼は、

「ななは、ほんとにそれでいいの?」

今でもこの声をはっきり覚えている。
"寂しさ"と、少し"怒った"ような彼の言葉。

(見抜かれてる!)

ハッとしたけど、ここで"本心"を伝えたら、
彼から選択の自由を奪ってしまう。

(私と一緒にならくてもいいから、他の人とでもいいから、彼に"倖せ"になってほしい。)

『いいよ!』

言い放つと同時に、
私は"光の場所"から、下の方へ、
吸い込まれるように落ちていく。

'迷い'と'惜別'という
複雑な2つの感情抱えたまま。


(まだまだ伝えたいことがあった。。)


私は、『生まれて』、目が覚めた。

目が覚めると同時に、
母から「おはよう」のLINEが届いた。

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