見出し画像

つける薬がない会社

             (約1,200字)

TVerでは、過去の番組を観られる。
私はTVドラマを好んで観るので、ひと昔前の連続ドラマをみることがある。

TVドラマは、社会の悪事を懲らしめる内容だから、正義が勝つ!ように出来ている。
モラハラ上司やセクハラ後輩の口頭での嫌がらせに始まり、勤務実態の問題から労働者の不利益を暴く、ような分かりやすい展開が待っている。

実は、法律を盾に人権を守ろうとする弁護士や裁判官が登場する企業ドラマは、たくさんあるが、もっと根深い問題を抱えたドラマが現実に起きている。

分かりやすい問題に、会社存続に貢献している社員の存在がある。

一見、物わかりの良さそうな人物が揃っている会社の実態は、高齢者が集まり、辞めないであろう人材で経営を回している。

働いている社員は、決して会社には物申さない人物ばかり。
長年、毎月の賃金を楽しみにして、頑張っていらっしゃる。そこに労働者の権利は、関係ない。
少ない人員で、就業時間がくるまで黙々と働く。

たとえ休み時間が少なかろうが、笑顔を貼り付けて堪えている。

なぜなら、先頭に立つ者がフル稼働してるから。目の前に頑張りすぎる人がいると、休むことが『悪』のように感じる。
お茶を飲むことすら、罪悪感を覚える。

時間より早く来て、仕事を始める。
休憩をろくに取らずに、作業をこなす。
真面目で、正義感が強く、時間が勿体無いから
殆ど私語もしない。

私は転職人生で、『ひとが優しい』会社を
いくつも知っている。

『ひとが優しい』会社は、聞こえはいいが、
会社のマイナス面を補うためには
都合がよい人員だけが集まるブラック企業なのだ。

本人たちに、その自覚は薄い。

私は健康を損なう働き場所は、
『ひとが優しい』ブラック企業だと思っている。
仲間うちで労働環境を維持しあい、
辞めていく若い労働力を引き止めもしない。

この記事を書くのに時間がかかった。

シルバー人材を活かそう、人生100年時代、
と高らかに国が推進しているからだ。

私はこの考え方を悪いとは思わない。
ただ、ひとには限界がある。

その線引きを行う機能が世の中にあるのか。

私は介護職に就いていたときに、お世辞にも
高齢者(利用者)によい環境ではない実態を散々、見てしまった。
その中には、『ひとに優しい』会社も含まれる。

会社が労働者に優しくなければいけないのに、利益を上げたい会社の言いなりになって
得をしているのが誰か、分かって働いてほしい。

多分、世の中には、認知症を診断されてはいないが、労働力を補うための人材が働いている『ひとに優しい』会社がたくさん存在する。

でも、
いい人だから、
会社が望むように利益を出すおひとよしが、
体を壊しかけて、働き続ける。

「老害」という言葉を生んだ根底には、
私が考える『ひとに優しい』会社の存在が
耐えられない人物の発信ではないか、と想像できる。

最後に言っておきますが、
私は
おじいちゃんとおばあちゃんが
好きな孫でした。

でも、まだその頃は、
人生100年時代ではありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?