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北海道周遊 2018年夏② 石狩当別・豊ヶ丘・浦臼・新十津川

2018年8月末。時刻は午前6時過ぎ。今日はすでに廃線が決定していた札沼線と石勝線夕張支線に乗り、廃止区間のわがまちご当地入場券を購入する旅をします。昨夜は札幌駅前に宿泊し、今日は札幌駅からスタート。使用する切符は、おなじみ、青春18きっぷです。

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今回集める入場券の購入場所を地図で表してみました。南から、石狩当別駅、石狩月形駅、浦臼駅、新十津川駅です。石狩当別駅の次、北海道医療大学駅より北の区間は現在廃線のため、地図には表れていません。

まずは札沼線の終点新十津川を目指します。朝は苦手なのにわざわざ早起きした理由は、1日を有効に使うためともう一つ。札沼線の終点新十津川に向かう列車は、1日1本しか運転されないため、遅くても札幌駅 6:58発の列車に乗らなければいけないのです。今日は予定より早く準備できたため、札沼線始発の普通列車でまずは石狩当別に向かいます。

札幌 6:21→(531M 普通石狩当別行き)→石狩当別 6:59

札沼線の起点は厳密には札幌の隣、桑園(そうえん)駅ですが、札沼線のすべての列車が札幌駅に乗り入れます。終点の石狩当別に着くと、向かいのホームには、7:02発の浦臼行きが接続しています。この後の新十津川行きに乗りたいので、この浦臼行きは見送って改札を出ます。

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5. 石狩当別駅

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発売場所 石狩当別駅 みどりの窓口(5:10~23:15)

表面には町内を走る721系と735系電車、裏面には当別町を開拓した仙台藩の岩出山領主・伊達邦直の説明が書かれています。当別町の名は、アイヌ語の「トペッ」(沼・川)に由来しており、当別川を指しています。

石狩当別駅のご当地入場券を無事購入し、駅前のコンビニで朝ごはんを買っていると、ちょうどいい時間になりました。ホームに降りて、新十津川行きに乗り込みます。

石狩当別 7:45→(5425D 普通新十津川行き)→新十津川 9:28

札沼線の「札」は札幌、「沼」は石狩沼田駅を指します。札沼線は石狩川の左岸を経由し、札幌と石狩沼田を結ぶ路線として、1935年に全通しました。元々はローカル線の色が濃かったものの、JR化後、札沼線の札幌寄り区間が宅地開発により札幌のベッドタウンとして急速に発展し、2012年には桑園~北海道医療大学が電化されるなど、列車の増発が進められました。石狩沼田まで行かなくなった札沼線には、沿線に学校が多いことから、「学園都市線」の愛称がつけられています。

石狩当別の隣、北海道医療大学を過ぎると、非電化ローカル線となり、車窓には田園風景が広がります。石狩当別から30分ほどで月形町の中心駅、石狩月形駅に到着しました。ここで列車は行き違い待ちのため、20分少々停車します。多くの乗客が途中下車し、写真撮影をしたり、入場券を購入したりしています。

6. 豊ヶ丘駅

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発売場所 石狩月形駅 きっぷうりば(6:00~20:00)、コミュニティショップ「ゆづき」(10:00~16:30/日祝休み)

月形町のご当地入場券は、石狩月形駅の隣、豊ヶ岡駅のもの。札沼線随一の秘境駅として有名でした。表面には豊ヶ岡駅に入線するキハ40系気動車、裏面には旧樺戸集治監本庁舎と初代典獄の月形潔がデザインされています。月形町の名は、月形潔の苗字からとられました。

石狩月形駅は札沼線の廃止区間では唯一の交換可能駅のため、JRの駅員が配置されていました。列車交換の際は、作業で駅員さんは忙しいのですが、この時は切符販売の対応をしてくださいました。

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すれ違いとなるのは、先ほど石狩当別駅で見送った列車が浦臼駅で折り返してきた石狩当別行きの列車です。新十津川行きも定刻通り発車し、終着の新十津川を目指します。

7. 新十津川駅

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終着新十津川駅に到着しました。駅舎には新十津川町の観光案内所が併設されており、ご当地入場券はこちらで販売されています。

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販売場所 新十津川町観光協会(新十津川駅駅舎内)(9:00~12:00/土日祝日は15:00まで)

表面は札沼線を走るキハ40系気動車、裏面は新十津川駅の写真がデザインされています。新十津川町の名は、1889年8月の大水害で奈良県吉野郡十津川村から離村した2489人がこの地に入植したことから名づけられています。

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新十津川駅を発車する列車は今しがた到着した列車の折り返し、10:00発のみ。始発と最終が同じという信じられない状態でした。

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午前10時に最終列車が発車する新十津川駅は「日本一早い最終列車が出発する終着駅」として有名でした。「終電が一番早い駅」は大分県の日豊本線・重岡駅の延岡方面 6:47発なので、「終着駅」とすれば間違いないことになります。

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元々新十津川駅は周辺の地名から「中徳富(なかとっぷ)駅」を名乗っていましたが、「新十津川駅」に改称され、隣に新たに中徳富駅が設けられていました。2代目中徳富駅は利用者僅少のため、2006年に廃止され、駅名標には次駅を訂正したあとが残っています。1日1本1両の列車が発着するだけの駅でも、駅名標には「学園都市線」の文字が大々的に掲示されています。

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かつては新十津川より先、雨竜町、北竜町を経由して石狩沼田まで線路が伸びていたはずですが、新十津川駅の線路の先に建物が建っている通り、区画整理のため廃線跡はほとんど残っていないんだとか。

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新十津川は石狩川をはさんで、函館本線の滝川駅が4.3kmほどの位置にあります。路線バスで15分ほどの距離で、滝川駅からは特急に乗れば札幌まで1時間弱で到着します。札沼線では新十津川から札幌まで2時間以上かかることを考えると、地元の利用がほとんどなかったのも無理はありません。

それでは10時発の「最終列車」に乗って、来た線路を少し引き返すことにします。

8. 浦臼駅

新十津川 10:00→(5426D 普通石狩当別行き)→鶴沼10:17

折り返しの列車で浦臼町のご当地入場券を購入しに向かいますが、浦臼町の入場券の販売場所の最寄り駅である、浦臼駅の一つ手前、鶴沼駅で下車します。

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ここでも大きく「学園都市線」の文字。周辺は、学園どころか家もまばらです。

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……思ったよりすごい駅で降りてしまった。

非電化単線に板張りの単式ホームが、いかにも北海道のローカル駅といった感じで風情があります。写真に見えている物置のような建物は待合室で、中には除雪用の道具も保管されていました。

駅から近くを走る国道275号線に出て、南に10分ほど歩くと道の駅と浦臼温泉の看板が見えてきます。浦臼町のご当地入場券の発売場所に到着です。

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販売場所 浦臼町自然休養村センター(浦臼温泉)(10:00~20:00)

入場券は温泉のカウンターでの販売でした。表面にはピンネシリを背に雪景色の中を走るキハ40系気動車、裏面には春の浦臼神社に咲くカタクリとエゾエンゴサクがデザインされています。個人的にお気に入りのデザインです。浦臼町の名の由来は諸説ありますが、アイヌ語で「ウライウ(シ)ペッ(シは小さいシ)」(簗・多い・川)が転訛したとする説などがあります。

さて、浦臼温泉から浦臼町の中心部までは3km弱あり、およそ30分で歩ける距離ではありますが、次に浦臼駅から発車する列車は13:21発までありません。浦臼温泉の前からは、新十津川を経由して滝川駅に向かう路線バスがありますが、こちらも2時間ほど待つことになりそうです。もう一つ、石狩川の対岸、奈井江駅まで、町営バスが平日のみ運行されています。今日はこの町営バスに乗車します。

といっても次の奈井江駅行きが来るのは12時すぎなので、浦臼温泉から道路の向かいにある道の駅で早めのお昼を食べながらバスを待つことにしましょう。

~つづく~


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