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北海道周遊 2018年冬② 遠軽・旭川

道東の朝は早いといえど、さすがに冬の5時半は周囲も真っ暗です。明け方の厳しい冷え込みの中、凍った足元に気をつけながら、ホテルから網走駅に向かいます。すでに網走駅は明かりがついて、始発列車のエンジン音が響いています。

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網走駅は網走市を代表する駅ですが、網走市の中心市街地からは2kmほど離れています。網走といえば網走刑務所があり、網走駅は出所した受刑者にとっては新たな人生へと旅立つ駅でもありました。駅前の階段の横に掲げられた縦書きの駅名標には、「人生横道にそれないように」との思いが込められているそうです。

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改札を通ると、これから乗車する札幌行き特急オホーツク2号が停車しています。車両はキハ183系で、記念入場券になったキハ183-0系の後期車ではあるものの、すでに製造から約30年経過しているベテランです。

オホーツク2号が早朝の網走駅を出ると、車内放送で停車駅と到着時刻が案内されます。網走を5:56に出ると、女満別(めまんべつ)、美幌、北見、留辺蘂(るべしべ)、生田原、遠軽、丸瀬布(まるせっぷ)、白滝、上川、旭川、深川、滝川、岩見沢の順に停車し、終着の札幌には11:18に到着します。網走から札幌まで374.5kmを5時間22分かけて走る長距離特急です。

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網走駅を出てしばらく走ると、右手に網走湖が見えます。女満別駅を発車し、女満別空港の横を通過。女満別空港からは羽田空港まで直行便があるほか、新千歳空港への道内便も運航されており、こちらは所要時間45分となっています。

網走から約50分で北見に停車。それなりに人が乗り込みます。留辺蘂を過ぎると、建設に多くの死者を出し、人柱も立てられたという常紋トンネルを通過。心霊スポットとして知られ、トンネル内で人の声が聞こえることもあるとか。トンネルを抜け、遠軽(えんがる)駅が近づくと、車掌さんが空の座席の方向を変えに回ります。特急オホーツクは遠軽からは進行方向を変えて札幌方面に向かいます。

網走 5:56→(特急オホーツク2号札幌行き)→遠軽 7:41

遠軽駅で下車しました。こちらで入場券を購入します。

16. 遠軽駅

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発売場所 遠軽駅 みどりの窓口(7:15~19:30)

表面は眺望岩を背に走るキハ40系。裏面にはその眺望岩が説明されています。眺望岩は遠軽駅のすぐ裏手にあり、遠軽という地名も、裏面にあるアイヌ語の「インカルシ」が語源となっています。

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④遠軽駅のキハ183系入場券は特急「大雪」のデザインです。大雪山に由来するため、読み方は「おおゆき」ではなく「たいせつ」です。列車愛称としては歴史が長いものの、1992年のダイヤ改正で一度消滅しました。2017年のダイヤ改正で、札幌-網走間の「オホーツク」4往復のうち、2往復を旭川ー網走の運転に短縮して、愛称が復活しました。

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網走と旭川を結ぶ石北本線は、網走方面も旭川方面も遠軽駅の南側から接続しているため、スイッチバックの要領で、遠軽駅で進行方向が変わります。かつては、遠軽駅から北側の湧別(ゆうべつ)方面に伸び、紋別や興部(おこっぺ)を経由して名寄(なよろ)に向かう名寄本線が接続していました。

北見と旭川を結ぶ最短ルートには大雪山系が横たわっていたため、難所を避けて、北見から遠軽、紋別を経由して宗谷本線の名寄に至る名寄本線が先に建設された経緯があります。

1932年に、難所の北見峠を克服して石北本線が開通し、旭川から北見を結ぶ最短ルートが完成します。遠軽から南は石北本線に組み込まれ、遠軽以北が名寄本線となりました。名寄本線は利用客の減少から、JR北海道発足後すぐの1989年をもって全線廃線となりました。

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遠軽駅のホーム上には、国鉄時代から使われていると思われる乗り場案内板があります。列車の時刻が近づくと方面と乗り場が点灯するものですが、一番下には「紋別・名寄方面」の文字が見えます。もちろん、紋別・名寄本線に向かう名寄本線は30年以上前に廃止されていますので、二度と点灯することはありません。

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遠軽駅の旧0番線。名寄本線の折り返し列車が使用していました。画面奥が紋別、名寄方面ですが、遠軽駅からしばらくは線路が残っています。

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遠軽駅から旭川方面へは1日7本、うち4本は特急列車、残り3本のうち1本は3つ先の白滝駅までの運転なので、青春18きっぷで遠軽から旭川方面に抜けるとすると実質2本しかないことになります。網走から乗ってきた札幌行き特急オホーツク2号の後は、約2時間後の特急大雪2号までありません。

実は、遠軽駅近くの遠軽バスターミナルから8時発の旭川行きのバスがあったのですが、旭川に着いてから思ったほど接続がよくなかったので、駅周りをうろついたり、待合室でゆっくり座ったりして2時間待ちました。

駅員さんが改札前に札を掲げ、改札開始のアナウンスをすると、列車に乗る人が改札前に集まります。JR北海道の駅では、列車が来るのに合わせて改札が行われます。網走から来た特急大雪がホームに入ります。

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遠軽 9:55→(特急大雪2号旭川行き)→旭川 11:50

遠軽駅で進行方向を変えた特急大雪は、町を抜けると進路を西に変え、名前の由来となった大雪山系の北見峠に挑みます。

先ほども言ったように、石北本線の遠軽から上川までの区間は、通して走る普通列車は2本しかありません(うち1本は特快きたみ)。そもそも、約75kmのこの区間にある途中駅は、瀬戸瀬、丸瀬布、白滝の3つのみ。かつては多くの駅がありましたが、沿線人口の減少に伴って上記の3駅以外すべて廃止されました。特に、白滝駅と上川駅の間は40km弱あり、特急でも40分弱かかります。

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列車はエンジンをうならせながら北見峠を越えていきます。車窓には、深い森の間に時々新しい高架道路が見えます。石北本線に沿うようにして旭川紋別自動車道が開通しており、近年車でのアクセスが格段に向上したことから、JRはさらに不利な状況になっているといえます。

上川駅を出ると、少しずつ景色が開け、石狩川に沿って旭川を目指します。新旭川駅で稚内からの宗谷本線と合流すると、高架に上がって、終着の旭川駅に到着です。向かいのホームでは札幌行き特急ライラック22号が接続しています。雪で真っ白になった特急大雪の後面が北海道の冬の厳しさを物語ります。

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旭川駅ではいったん改札を出て、入場券を購入します。

17. 旭川駅

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発売場所 旭川駅 みどりの窓口(5:00~22:00)

表面は旭川駅周辺を走る785系特急列車。1990年に札幌から旭川を結ぶ特急「スーパーホワイトアロー」としてデビューし、その後「スーパーカムイ」として活躍しましたが、老朽化により現在は旭川駅に乗り入れる特急からは撤退しています。裏面は開園50周年を迎えた旭山動物園のデザイン。

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⑤旭川駅のキハ183系入場券は臨時特急「旭山動物園号」です。旭山動物園の人気上昇から、札幌ー旭川で2007年にデビューしました。キハ183系を改造した専用編成で運転され、旭川市出身の絵本作家あべ弘士氏のデザインしたイラストが描かれていました。2018年を最後に引退し、現在は特急「ライラック旭山動物園号」として別車両で運転されています。

旭川駅で無事に入場券を購入し、次の目的地に向かおうとしたところ、この旅で初めてのトラブルが…。

長くなったので、ここでひとまず一区切りとします。

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