北海道周遊 2018年冬③ 稚内・深川
時刻は12時過ぎ。旭川駅で入場券を購入した後は富良野に向かいます。旭川から富良野へは、JR富良野線が運行されていますが、次の富良野線の列車は12:30発の美瑛行きで富良野まで行きません。次の富良野行きは13:46発で、1時間半以上待つことになります。
旭川駅から富良野へは、JRのほかに、ふらのバスのラベンダー号が運転されています。旭川駅から旭川空港、美瑛駅、富良野駅を経由して富良野市内のホテルまで直通するバスです。今回は12:15発のラベンダー号で富良野駅まで乗車することにします。
ラベンダー号は駅前のバスターミナルから発車するようです。案内通りに乗り場に向かうと、バス停には1枚の張り紙が。
「美瑛市内での交通事故のため、ラベンダー号の運行に1時間以上の遅れが発生しています。」
念のため、12:15まで待ってみますが、バスが来る気配は一向にありません。電話で問い合わせたところ、バスは大幅に遅れていて、何時に発車できるかわからないとのこと。これは困りました。ひとまず旭川駅の駅舎に戻って、ベンチに座って時刻表を開き、今後の行程を練り直します。
今回の旅行は短い日程の中で道内を回る行程を組んでいるため、乗り継ぎにあまり余裕をもたせていません。また、キハ183系入場券コンプリートのために、すべての駅を回り切りたいという思いがあります。今夜の宿は旭川市内ですでに確保してあります。予定通り富良野に行くにも、次のJR富良野線の富良野行きではその先の接続がうまくつながりません。
いろいろ悩んだ挙句、明朝の旭川から行く予定だった稚内行きの特急が13:35発にあることに気づきました。稚内行き特急サロベツ1号は稚内駅到着後、特急宗谷として折り返し運転されるので、今夜には旭川に戻ってくることができます。
宗谷本線は「Peachひがし北海道フリーパス」のフリーエリア外なので、みどりの窓口で旭川から稚内まで別途切符を購入します。窓口の駅員さんのススメで、特急の普通車自由席を往復で利用できるSきっぷを10,800円で購入しました。
ホームに上がるとすでに特急サロベツが入線しています。車両はキハ261系。宗谷本線の高速化を目的に1998年にデビューし、デンマーク国鉄と共同制作した青地に黄色のアクセントが入ったデザインが特徴です。先頭車両には宗谷地方をモチーフとしたヘッドマークを掲げ、札幌ー稚内間の「宗谷」、旭川ー稚内間の「サロベツ」で運用されています。
特急サロベツ1号は、札幌から遅れて旭川に到着した特急からの乗り換え客を待って、数分遅れで旭川駅を出発しました。旭川時点で雪はやんでいましたが、しばらく走っていると、またしっかりと降り出します。
名寄駅を発車すると、車窓左手には天塩(てしお)川が姿を現します。あたり一面雪に覆われ、天塩川の川面にはゆっくり流れていく大きな氷塊がいくつも見えます。というより、川の水面はほとんど凍っていて、川の水が見える部分のほうが少ないほどです。
美深(びふか)駅を出てしばらく走ると、豊清水駅で運転停車し、稚内から来た特急サロベツ4号と行き違います。豊清水駅の周囲に民家はほとんどなく、1日の利用者数は1人以下ですが、冬には除雪作業のため駅舎に保線要員が常駐します。厳しい気候の中列車を走らせるための維持費は、JR北海道に重くのしかかります。
雪の中を淡々と走り続けて、サロベツ1号は17:21定刻通りに終着の稚内駅に到着しました。旭川から285.3km、およそ3時間45分で宗谷本線を走破です。
旭川 13:35→(特急サロベツ1号稚内行き)→稚内 17:21
稚内駅は日本最北端の鉄道駅として知られており、駅の各所にそれを示す案内があります。かつては稚内港から樺太への連絡船が接続し、東京と樺太を結ぶ港湾都市として発展しました。2018年までは、稚内からロシアのコルサコフまで国際航路が運航されていました(現在休止中)。
改札を出て、入場券を購入します。
18. 稚内駅
発売場所 稚内駅 みどりの窓口(6:20~17:50)、セイコーマート稚内駅前店(6:00~24:00)
表面は日本海を望む区間を行くキハ261系。裏面は市内の名所がデザインされています。地図を見ると改めて北の端に来たことを実感します。稚内の地名は、アイヌ語の「ヤムワッカナイ」(冷たい・水(飲み水)の・川)に由来します。
⑥稚内駅のキハ183系入場券はここまで乗ってきた「サロベツ」のデザインです。宗谷本線沿いの幌延町と豊富町にまたがる湿原、サロベツ原野に由来します。裏面のかつて使われていたヘッドマークには、サロベツ原野と宗谷本線から見える利尻山、エゾカンゾウの花が描かれています。
訪れたときは稚内駅「開駅90周年」として、わがまちご当地入場券購入者に「開駅90周年」記念台紙、キハ183-0系記念入場券購入者に「開駅90周年」記念カードがプレゼントされていました。
稚内駅からは先ほど乗ってきたサロベツ1号の折り返し、札幌行き特急宗谷に乗車します。旭川から先札幌方面への最終列車です。稚内から札幌まで396.2kmを5時間11分で走る、「オホーツク」と並ぶ長距離特急です。
あたりはすっかり真っ暗になりました。雪は相変わらず降り続いていますが、特急宗谷は順調に走ります。稚内駅から3時間40分、今夜の宿がある旭川に到着しますが、思うところあって、もう一駅乗車することにします。旭川駅からおよそ20分で深川駅に到着です。
稚内 17:46→(特急宗谷札幌行き)→深川 21:49
19. 深川駅
発売場所 深川駅 みどりの窓口(5:30~24:10)
表面は789系車両。現在は札幌と旭川を結ぶ特急カムイで使用されています。裏面では、深川が米どころであるアピールと市名の由来が書かれています。
みどりの窓口が日付を越えて営業しているのは驚きです。札幌からの最終特急が到着するのがちょうど0:10なので、それまで窓口が営業していることになります。
深川駅は旭川から札幌方面に伸びる函館本線のほか、日本海沿岸の留萌(るもい)に向かう留萌本線、1995年に廃止された、幌加内(ほろかない)町を経由して名寄に至る深名(しんめい)線が分岐する交通の要衝です。深名線廃止後は駅の規模は縮小されたものの、特急を含めたすべての列車が停車する主要駅です。
深川駅の窓口の案内板は国鉄時代から使われているものなのか、年季が入っているように見えます。こういった昔ながらの看板には、いわゆるエモさを感じます。
夜も遅くなってきたので、旭川に戻ることにします。札幌からの旭川行き特急に乗車しますが、雪の影響で数分遅れて到着しました。そのままの遅れで旭川駅に到着です。
深川 22:06→(特急カムイ43号旭川行き)→旭川 22:25
現在の旭川駅は2011年に完成した高架駅舎です。道北の主要都市旭川市の中心駅として、函館本線、富良野線、宗谷本線、石北本線が接続します。駅の北口の前にはバスターミナルや商業施設、ホテルが立ち並ぶのに対して、南口は目の前に忠別川が流れており、「川のある駅」をコンセプトとした美しい駅舎となっています。
旭川は元来、アイヌ語の「チユプペト」から忠別とよばれていました。「チユプ」は太陽、日、東、「ペト」は川を意味し、アイヌ語の意訳に当時の大日本帝国の象徴である「旭」の字をあてて「旭川」と名付けられた説が有力なようです。旭川市の南東には、同じく「チユプペト」を意訳した「東川町」という自治体名も存在します。
明日の朝も早いので、今夜も早めにホテルで就寝します。明日は今日回れなかった富良野方面を回る予定です。
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