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北海道周遊 2018年冬⑧ 昆布・ニセコ・熱郛

倶知安からさらに山線を進み、倶知安から長万部までの区間にある、ニセコ、昆布、熱郛(ねっぷ)の各駅を訪ねます。

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山線の倶知安までの区間は、札幌に比較的近いこともあってか、概ね1時間に1本ほど普通列車がありますが、倶知安からは1日7本しかありません。うち2本は途中蘭越(らんこし)で折り返すので、長万部(おしゃまんべ)まで行く列車は1日わずか5本です。

倶知安から蘭越行きの普通列車に乗車します。行程の関係上、一度ニセコを通り過ぎて次の昆布駅まで行きます。

倶知安 9:51→(普通蘭越行き)→昆布 10:18

昆布駅で降り、駅前にある観光案内センターに向かいます。

31. 昆布駅

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発売場所 蘭越町ニセコエリア情報センター(9:00~16:00/月曜日、年末年始休業)

表面は2012年に観光キャンペーンにあわせて運転された北海道1周「ニセコ」号。客車列車で「ニセコ」のヘッドマークを掲出して運転されました。裏面は昆布駅のある蘭越町が紹介されています。蘭越町は清流日本一に認定されたことがある尻別(しりべつ)川が流れており、稲作が盛んです。

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この「昆布」という地名ですが、こちらもアイヌ語由来とされています。一説には、「トコンポヌポリ」(小さなこぶ山)から、とされるほか、太古に津波があった際山の上に昆布がたくさんあったとする伝承からともいわれています。いずれにせよ、山の中に海のものの名がついた地名があるのがおもしろいところです。

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ちなみに、北海道内にはほかに「昆布盛駅」が存在します。この旅の初日に乗車した、釧路ー根室間の花咲線の駅で、こちらは近くに海があり、アイヌ語で「昆布の湾」を指します。

倶知安を出たころには空は晴れていましたが、昆布に着くころにはまた雪が降ってきました。山間部らしく、天気がめまぐるしく変わります。観光センターの中は休憩できるようになっており、雪をしのぎながら次の列車を待ちます。駅の裏には温泉もあり、冬の季節は蘭越産の米を使用した限定醸造の日本酒も販売しているとのことで、1本購入しました。

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蘭越から折り返した列車がやってきました。一つとなりのニセコ駅まで乗車します。

昆布 11:12→(普通倶知安行き)→ニセコ 11:23

32. ニセコ駅

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発売場所 ニセコ駅 きっぷうりば(7:10~11:30、12:30~17:10)

表面は道内の臨時特急として使われていた「ニセコエクスプレス」。冬季に札幌からニセコを結ぶ臨時特急などで使用されましたが、2017年をもって引退しました。3両編成のうち1両がニセコ町内で保存されることが決まっています。裏面ではニセコ駅の駅舎の写真が使われています。

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ニセコ駅は国鉄(JR)で初めてカタカナのみで表記された駅です。元々は真狩(まっかり)駅として開業し、旧町名と同じ狩太(かりぶと)駅を経て、ニセコ駅に改称されています。ニセコはニセコ連峰の主峰・ニセコアンヌプリ(アイヌ語で絶壁に向かってある山)に由来します。

当時の狩太町が国鉄に「ニセコ駅」への改称を要望した際、「町名を改正しない限り駅名改正は認めない」という国鉄の方針を受けて、町名ごと変更した経緯があるようです。今ではニセコという地名が全国的にも知られるようになり、改称は成功だったのかもしれません。

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山小屋風の駅舎には、観光案内所と喫茶店が入居しています。切符売り場も観光案内所の職員の方が運営する簡易委託駅のようです。次の列車まで1時間半ほどあるので、時間帯もいいことですし、喫茶店でお昼をいただきます。

雪がさらに強くなり、吹雪になってきました。駅舎内にはスキーウェアを来た人を中心に多くの人が列車を待っています。外国人も多く、待合室のベンチはいっぱいです。

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列車が来る時間でもないのに、ホームからエンジン音がします。見ると、JRの除雪車両が雪まみれになりながら通過していきます。本数の少ない区間であっても、豪雪の中列車を走らせるために多くの人の裏の努力があることを感じます。

待合室の中にあったストーブの前で寒さをしのぎながら待っていると、倶知安方面から列車がやってきました。2両編成ですが、スキー板やスノボを担いだ人が続々と降りてきます。

ワンマン運転のため、2両編成で出口は1か所しかありません。多くの外国の方も含めて、運賃を払いながら大きな荷物を持って降りるため、かなりの時間がかかっています。結局乗降が終了してニセコ駅を発車したのは、定刻より15分ほど遅れていました。利用者の多い冬季だけでも駅にJRの職員を配置できればもう少しスムーズになると思うのですが、人件費の問題などで難しいのかもしれません。

ニセコ 12:52→(普通長万部行き)→熱郛 13:37

次の黒松内(くろまつない)町のご当地入場券は熱郛駅近くの道の駅での発売です。しかし、てっきり隣の黒松内駅での発売と勘違いして予定を組んでいたことに気づきました。黒松内駅で降りれば、少し後に長万部に抜ける路線バスに乗り継げると考えていただけに大きな誤算です。

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熱郛駅周辺は路線バスがなく、公共交通機関ではJR以外でのアクセスは困難です。しかし、この列車を降りると、次の長万部行きは18時すぎ。到底待っていられません。倶知安方面に戻る列車はおよそ17分後に来ます。これに乗るしかない。列車は遅れていますが、逆方向から来る列車も行き違い待ちで遅れるだろうと踏みます。

熱郛駅に到着しました。あたりは吹雪で視界もよくありません。時間がないので、足元に気を付けながら道の駅に急ぎます。駅から10分弱で道の駅に到着です。

33. 熱郛駅

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発売場所 道の駅くろまつない(9:00~18:00(4~10月)、9:00~17:00(11~3月)/11~3月の第2・第4火曜日休業)

表面は黒松内駅に停車するキハ150形。黒松内町はブナ北限の地として知られています。熱郛の地名は、アイヌ語の「クンネ・ネッ・ペッ」(黒い標木の川)に由来します。

さて、入場券を購入し、また駅までの道を急ぎます。必死に歩いて駅に到着しましたが、無人駅なので列車がすでに行ってしまったのかどうかまったくわかりません。時計を見ると列車の発車時刻をかなり過ぎてしまっています。待合室の中で一息つきながら次の予定を考えるべく時刻表を開いたその時、甲高い警笛が聞こえました。

あわてて待合室から出ると、長万部方面から2つのライトが近づいてきます。奇跡的に間に合いました。観光客で満員の列車のデッキに乗り込むと、列車はゆっくり発車します。

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熱郛 13:54→(普通倶知安行き)→倶知安 14:57

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晴れ間が出て美しい雪化粧になったかと思えば

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突然曇って吹雪になるなど、進んでいくごとに天候が変わります。

倶知安から小樽、札幌方面に乗り継ぎます。

倶知安 15:18→(普通小樽行き)→小樽 16:26

朝から進んできた道を引き返しているだけなので、単調に乗り継いでいきます。今晩の宿は長万部にとっているので、むしろ目的地から遠ざかっている形です。(後から思えば、熱郛で無理をしなくても、道の駅でゆっくりしてから移動するほうが、賢い行程だったかもしれません。ご当地入場券購入者には、道の駅で使える特典もありました。)

小樽から、札幌を経由して苫小牧まで快速と普通列車を乗り継ぎます。

小樽 16:30→(快速エアポート170号新千歳空港行き)→南千歳 17:38

南千歳 17:47→(普通苫小牧行き)→苫小牧 18:09

苫小牧に到着しました。今回はここまで。


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