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北海道周遊 2018年冬⑤ 幾寅・新得・十勝清水

富良野からは根室本線で新得方面に向かいます。とは言いつつ、列車で新得に行くことはできません。

2016年8月の台風18号の影響で、根室本線富良野-新得の区間は大きな被害を受け、多額の復旧費用がかかることと被災前から利用者が少ない区間だったこともあって、JRが廃止・バス転換を地元に提案しました。しかし、地元との議論がまとまらず、4年経った現在も東鹿越-新得はバスによる代行輸送が続いています。基本的に富良野-東鹿越を走る列車に代行バスが接続するダイヤが組まれています。

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先ほど、滝川から富良野まで乗車した列車は、滝川から釧路まで308.4kmを約8時間30分で走破する日本でも有数の長距離普通列車として知られていました。不通後は滝川-東鹿越と新得-釧路の普通列車に分断されましたが、代行バスでは列車より時間がかかり、この2列車を乗り継ぐことはできません。

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そこで、富良野から途中幾寅(いくとら)駅のみに停車して新得駅まで運転する代行バスが設定され、この2列車を乗り継ぐことができるようになりました。今回は、富良野駅からこの「快速」代行バスで新得駅に向かいます。

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乗車する代行バスは地元のふらのバスによって運転されるようです。列車の代行輸送という扱いなので、JRの乗車券で乗車できます。使用しているフリーパスを乗務員さんに見せると確認をもらえました。

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バスは富良野駅を出ると富良野市街を出て、南に走ります。次第に雪と風が激しくなり、吹雪いてきました。車窓には不通になっている線路や鉄橋がしばしば見えます。しばらく走り、民家が増えてくると、南富良野町に入り、唯一の停車駅、幾寅駅に到着します。

富良野 11:02→(代行バス)→幾寅 11:58

早めに着いたため、しばらく停車するとのことだったので、フリーパスを見せて下車し、駅横の南ふらの情報プラザでご当地入場券を購入します。

22. 幾寅駅

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発売場所 南ふらの情報プラザ(9:00~17:00/土日祝日、年末年始休業)、道の駅南ふらの(6月~9月 9:00~19:00/10月~5月 9:00~17:00/年末年始休業)、セイコーマートマルクくろだ店(7:00~23:00)

表面は、2019年に引退したJR北海道のリゾート列車「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」。幾寅駅では2011年と2012年に臨時快速列車として運転されたようです。裏面では幾寅駅のある南富良野町がアピールされています。幾寅の名は、現在のユクトラシュベツ川を指すアイヌ語「ユクトゥラシペッ(クは小さい"ク")」(鹿が・登る・川)の上部をとって漢字をあてたものとされています。

幾寅駅は高倉健さん主演の映画「鉄道員」のロケに使用され、駅舎が作中に出てくる「幌舞駅」仕様に改装されています。駅舎には実際の駅名よりも大きく「幌舞駅」と掲げられており、知らずに来た人は混乱するかもしれません。

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駅周辺には撮影で使われたセットが残されており、映画の雰囲気を味わえます。

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風が強かったので写真撮影はほどほどで切り上げて再びバスに乗り込みます。幾寅駅を出て次の落合駅を過ぎると、バスはいよいよ北海道内随一の難所、狩勝峠に差し掛かります。旧石狩国と旧十勝国を結ぶこの峠は、急こう配と厳しい気候から鉄道の難所として知られ、1966年には勾配を緩和したトンネルを経由する新線に切り替えられています。

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狩勝峠に入ってから、一段と吹雪が激しくなったように思います。視界は遮られ、時折バスの車体が風で煽られそうになる中、運転士さんは慎重にハンドルをきってカーブが連続する峠道を越えていきます。サホロリゾートを過ぎると峠も下りになり、定刻より少し早く新得駅に到着しました。

幾寅 11:58→(代行バス)→新得 12:50

新得に着くころには雪はやみ、晴れ間も出てきました。駅舎に入り、ご当地入場券を購入します。

23. 新得駅

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発売場所 新得駅 みどりの窓口(5:20~21:30)

表面は、札幌と帯広を結ぶ特急スーパーとかち。デビュー当時の青地にオレンジのアクセントが入ったデザインのものです。裏面では、町名産の新得そばが全面に押し出されています。新得の名は、アイヌ語の「シットク・ナイ」(山の端)がなまったものとする説があります。

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新得駅は難所の狩勝峠を前にした鉄道の要衝として機能していました。現在もすべての列車が停車する主要駅です。三角屋根のおしゃれな駅舎には立ち食いソバや売店が入っています。

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駅名標には次の駅に落合駅が書かれていますが、駅前から発車する代行バスでしか行くことができず、駅名標があるホームから発車する列車では行くことはできません。

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どうやら雪の影響で列車の運行に遅れが発生しているらしく、普段なら乗り継げないはずの特急スーパーとかち3号に乗れそうです。現在は写真のように、白地に紫のラインと黄色のアクセントのデザインに改められています。隣の十勝清水駅に移動します。

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新得 12:36→(特急スーパーとかち3号帯広行き)→十勝清水 12:43

24. 十勝清水駅

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表面は根室本線を走るキハ40系。キハ40系は国鉄時代に作られた年季の入った車両ながら、今でも北海道のほぼ全域で活躍しています。町名の清水は、このあたりがアイヌ語で「水が・清澄な・川」を意味する「ペペケレペッ(レは小さい"レ")」を略した「ペケレペッ」と呼ばれており、これを意訳したものとされています。

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十勝清水駅の駅名標には、次駅の御影駅だけ新しく張り替えたように見えます。十勝清水駅と御影駅の間にはかつて羽帯(はおび)駅が存在しましたが、2012年以降利用実績が確認できず、2018年のダイヤ改正で廃止となりました。JR北海道では毎年ダイヤ改正の旅に駅の廃止が相次いでおり、このように次駅が書き換えられた駅名標は珍しくありません。

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十勝清水駅では時間があったので、駅近くのセイコーマートに行き、ご当地入場券とお昼ご飯を買いました。駅に戻り、列車を待つ間待合室でお昼を食べます。次に乗る列車は先ほど乗った特急の折り返しですが、数分の遅れで来るようです。

つづく



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