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北海道周遊 2018年冬⑥ 帯広(と再び夕張)

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十勝清水駅から札幌行き特急スーパーとかち8号に乗ります。十勝清水駅で札幌方面から来る釧路行き特急スーパーおおぞら5号の通過待ちです。十勝清水駅はスーパーとかちの全列車が停車しますが、スーパーおおぞらは一部を除き通過します。

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車両はキハ261系。宗谷本線の特急用に先にデビューしたキハ261系と同じ形式ですが、大きく仕様変更されています。札幌から帯広に向かう「とかち」のほか、釧路行き「おおぞら」、函館行き「北斗」など各地で活躍しています(2020年に愛称から「スーパー」が廃止)。

スーパーとかち3号は十勝清水駅を出ると、先ほどいた新得駅に停車し、石勝線に入ります。路線は大きく折り返しながら、狩勝峠の山を登っていきます。新線に切り替えられたとはいえ、路線の形からも地形の厳しさが感じられます。

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かつて道東から札幌方面への最速ルートは、新得駅から富良野、滝川を経由する根室本線ルートでした。しかし、地理的に大きく北に迂回しているため、道東への高速化を目的に、1981年に新夕張-新得間が開業し、石勝線が開通しました。石勝線は札幌と道東を結ぶ特急が行きかう一方、根室本線の滝川ー新得は今では定期の特急列車の運行がないローカル路線となっています。

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新得からS字を描いて山を登ると、新狩勝トンネルに入り、トンネル内で根室本線と別れます。石勝線は「北海道の背骨」と呼ばれる険しい日高山脈を複数の長大トンネルで貫いていきます。沿線人口は極端に少なく、新得ー新夕張の90kmほどの間に駅はトマムと占冠(しむかっぷ)の2駅のみです。

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トマム駅に停車します。駅前にリゾートホテルがあるため、近年は外国人観光客の利用も多い駅です。占冠村に位置しますが、占冠駅は一部の特急しか停車しないのに対し、トマム駅はすべての特急列車が停車します。トマム駅を出て、占冠駅にも停車し、スーパーとかち8号は新夕張駅に到着しました。

十勝清水 13:59→(特急スーパーとかち8号)→新夕張 15:12

新夕張は石勝線の本線と夕張に向かう支線が分岐する駅です。夕張支線はすでに翌2019年3月31日の最終運行をもって廃線となることが決まっていました。最後の機会に、冬の夕張支線に乗っておこうと考えたのです。

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新夕張駅に着くころには空に厚い雪雲が立ち込め、雪風ともに強くなってきました。石勝線は乗ってきた特急列車を含め、遅れが生じながら運転されているようです。次に乗る夕張行きの普通列車も千歳から石勝線を経由してきます。大幅な遅れ、運休などならないことを祈って待ちます。

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駅前広場には、新夕張駅の開業時の駅名「紅葉山」の駅名標が残されていました。当時使われていたもののようですが、近年写真のような字体に書き直されたとか。古そうな看板とPOP調の字体がなんともアンマッチで、オーパーツのようです。

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駅舎で待っていると、改札が始まりました。どうやら、遅れは出ているものの、通常通り運行しているようです。ホームに向かいます。

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夕張行きは3番線から発車します。特急が1、2番線、普通列車が3、4番線を使用しているようです。高架駅のような構造ですが、ホームが築堤上にあり、改札のある地平から階段でホームに向かう形になります。

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奥から普通列車がやってきました。降り続く雪で線路は完全に見えなくなっていますが、キハ40系は雪をかき分けながらゆっくりと駅に入ってきます。ここから終点の夕張まで乗車します。

新夕張 15:56→(普通夕張行き)→夕張 16:23

実はこの数日前、大雪で夕張支線の線路が雪で埋まってしまい、列車の運行ができずに運休が発生していたように記憶しています。夕張支線は数時間に1本しか運行がなく、列車が走らない時間に大雪が降ると運休になってしまうのではと心配になっていたのです。

キハ40系普通列車は新夕張を出ると、石勝線の本線と分かれ、雪で埋もれた支線に入っていきます。大量の雪をかき分けながら進んでいるせいか、スピードを出さず、重そうにゆっくり進んでいきます。運転士さんもかなり気をつかって運転されているようです。スピードが出せない分、遅れは出ますが、列車は雪の中を確実に進んでいきます。

終着の夕張駅に到着しました。夏ぶりの訪問ですが、列車で夕張まで来たのは初めてです。夏にご当地入場券を購入した駅前のホテルマウントレースイに向かいます。

2018年の冬、夕張支線の廃止を前にして、JR北海道は沿線で700円以上買い物した人を対象に、廃止区間全駅の駅カードを配るキャンペーンを実施していました。マウントレースイ内の売店も対象でしたので、夕張支線グッズともう一度ご当地入場券を購入して、無事駅カードをゲットです。

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駅カードと夕張市のご当地入場券を一緒に収納できる専用の台紙も購入しました。新夕張駅のご当地入場券は後日発売されたものですので、改めて紹介します。

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夕張支線は末期には1日5往復の運行でした。次の16:40発を逃せば、19:28発の最終列車まで列車はありません。先ほどの折り返し列車で新夕張に戻ります。

夕張 16:40→(普通千歳行き)→新夕張 17:03

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雪だらけになりながら1両で走ってきたキハ40系は、空港近くの千歳に向けて走り去りました。この気象条件でも力強く走る北海道の列車には頼もしさを感じます。

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2019年の4月から、駅名標の「ぬまのさわ」の文字も、夕張方面への乗り換え案内も消えてしまうはずです。仕方がないこととはいえ、長年にわたって走り続けた路線が消えてしまうのには寂しさや悲しみを感じずにいられません。

札幌方面に向かうには先ほどの普通列車で千歳に向かえばいいのですが、今日中にもう1か所だけ行きたいところがあります。ホームで吹雪に震えながら待っていると、暗闇から甲高い警笛を鳴らして列車が来ました。

新夕張 17:21→(特急スーパーとかち5号帯広行き)→帯広 19:00

自由席は満席で、仕方なくデッキに立ちます。先ほど乗ってきた石勝線を新得方面に引き返していることになります。石勝線の新夕張ー新得の区間は普通列車の運行がないため、この区間内のみ乗車する場合は乗車券のみで特急列車の自由席に乗車できます。青春18きっぷで新夕張から乗車した人の何人かは、新得駅で降りて後の普通列車に乗り換えました。

雪の影響で10分ほど遅れて終着の帯広駅に到着しました。急いで改札を出て、みどりの窓口に向かいます。札幌行きの特急の発車が近いこともあって、きっぷ売り場は混んでいましたが、なんとかご当地入場券とキハ183系入場券を購入できました。

25. 帯広駅

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発売場所 帯広駅 みどりの窓口(6:00~22:30)

表面は帯広駅近くの高架区間を走る特急スーパーとかち号。裏面では、廃止された広尾線の写真がデザインされています。1987年まで、帯広駅からは南北に広尾線と士幌線が分岐していました。広尾線には幸福駅と愛国駅があり、切符が一時ブームになりました。

帯広の名は、アイヌ語で「オペㇾペㇾケㇷ゚」(川尻・裂け・裂けている・もの)の上部の音をとり、十勝平野の広大さにちなんだ広をつけたとされています。帯広川が札内川に合流する直前で、幾重にも分かれるさまを表していると言われています。

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⑧帯広駅のキハ183系入場券は、特急「とかち」です。札幌ー釧路を結ぶ「おおぞら」の増発に伴い、帯広までの列車を分離する形で誕生しました。車両は変更になりましたが、現在も札幌ー帯広を運行する特急として運転されています。

実は、昼間新得から十勝清水駅まで帯広行きの特急に乗車した際、車内に忘れ物をしてしまい、帯広駅で保管していただいていました。列車の遅れと窓口の混雑、忘れ物の受け取りもあって、次の札幌行き特急の発車時間はギリギリです。次の特急の後、もう1本釧路から来る最終の特急がありますが、駅員さんに聞くと、すでに10分の遅れが出ており、乗れるなら次に乗ったほうが言い、名前と連絡先だけ書いたら乗ってくださいと言われ、なんとか乗ることができました。こちらのミスにも関わらず、優しく対応してくださった駅員さんに感謝です。

帯広 19:22→(特急スーパーとかち10号)→札幌 22:15

特急で終着札幌まで乗車します。先ほど帯広まで乗ってきた車両が折り返して札幌まで走ります。雪の中約3時間走って、20数分の車内清掃でまた約3時間走る、なかなかに過酷な運用です。

帯広駅は定刻通り発車しましたが、札幌方面から来る特急列車が遅れているため、行き違い待ちで遅れが生じます。途中トマムから、雪遊びの帰りと思われる外国人の団体が乗り込み、車内が子供たちの外国語で溢れます。トマムから札幌は特急で1時間半ほどというアクセスの良さも人気の理由です。

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途中駅で雪で一時ドアが閉まらなくなるトラブルもありましたが、札幌駅に到着しました。函館から到着した特急スーパー北斗と並びます。

明日の日程の都合上、今夜のホテルは小樽にとってあります。疲れた体を引きずって、小樽行きの列車に乗り換えます。

札幌 22:52→(普通小樽行き)→小樽 23:38

駅前のホテルにチェックインして体を休めます。思えば、朝6時に旭川で絶起してから、富良野、帯広に寄って小樽まで来たわけですから、長い1日でした。明日に備えてゆっくり眠ることにします。

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