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北海道周遊 2019年GW③ 美深・音威子府・天塩中川

豊富から宗谷本線を南下し、美深(びふか)駅で普通列車を下車しました。

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豊富 11:17→(普通名寄行き)→美深 13:54

駅名標は色あせています。美深駅は2面2線の駅ですが、向かいには、昔ホームとして使われていたような跡が。

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線路は撤去されていますが、こちらもホームとして使われていたようです。このホームについては後ほどわかります。

まずは駅舎内のきっぷ売り場でご当地入場券を購入します。

47. 美深駅

美深表

美深ウラ

発売場所 美深駅 きっぷうりば(8:30~17:00)

表面は豊清水駅で行き違う特急サロベツ。裏面では、美深町内にある函岳が紹介されています。美深の名は、アイヌ語の「ピウカ」(石の多い場所)に由来し、駅も開業当初は「ぴうか駅」を名乗ったようです。

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きっぷうりばの営業時間は一見便利そうですが、昼間の列車本数が限られるため、鉄道で途中下車するのはなかなか難しいのです。

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美深駅の駅舎は、鐘を備えた立派なものになっています。みどりの窓口は2016年に営業終了し、現在は美深町の簡易委託駅となっています。

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美深駅からは、かつて国鉄美幸(びこう)線が分岐していました。先ほどのホームからは美幸線の列車が発車していたのです。美深駅の2階には当時のきっぷや鉄道用品が展示された資料室があります。

美幸線

(『旅と鉄道 日本列島廃線地図帖』より)

美幸線の「美」は美深、「幸」は北見枝幸(きたみえさし)を指します。オホーツク海側から宗谷本線への短絡を狙って、1964年に美深ー仁宇布(にうぷ)間が開業しました。しかし、残る区間は国鉄の赤字から、1979年に完成目前で工事が凍結されます。

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すでに開業していた区間も、沿線人口が極めて少なく、全国の国鉄路線でもトップクラスの赤字路線でした。「日本一の赤字路線」を逆手にとって、当時の美深町長が東京の銀座で美幸線の乗車券を販売したこともあります。それでも収支の悪化は止まらず、開業からわずか21年の1985年に廃止され、仁宇布ー北見枝幸間は未成線となりました。

美幸線の歴史に思いをはせていると、あっという間に列車の時間が近づいてきました。旭川から来た稚内行きの特急に一区間乗車して、先ほどとはまた逆方向に向かい、音威子府(おといねっぷ)に向かいます。

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美深駅の売店で、「樹液100%」の文字につられ、「森の雫」なる飲み物を購入しました。美深町内の白樺の木からとれた天然の樹液のみを使っているそうです。樹液というと、カブトムシが舐めているような粘っこいイメージでしたが、開けてみるとさらっとしているようです。味は、とにかくさわやかで軽い水、といった感じでしょうか。

そうこうしているうちに、列車は音威子府駅に到着しました。

美深 14:50→(特急サロベツ1号稚内行き)→音威子府 15:24

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48. 音威子府駅

音威子府表

音威子府ウラ

発売場所 音威子府駅 みどりの窓口(8:15~16:10)、セイコーマート音威子府店(6:00~23:00)

表面は2013年に音威子府村の村名改称50周年を記念して運転された「常盤号」。音威子府村は1963年に常盤村から音威子府村に改称しました。裏面は冬に宗谷本線で除雪のために運行される、DE15形ラッセル式除雪機関車です。音威子府の名は、アイヌ語の「オトイネㇷ゚」(川口の濁っている川)に由来します。

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ホームにはられていた張り紙。確かにホームは滑りやすかった。

音威子府といえば、「音威子府そば」が有名です。そば殻ごとひいたそば粉でうつため、麺は真っ黒で、そばの香りが強いのが特徴です。音威子府駅の駅舎内に常盤軒という有名な駅そば店が入っているのですが、

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訪れた水曜日はちょうど定休日でした。営業も15:30までのようです。

セイコーマートにご当地入場券を買いに行きがてら、近くの食堂でそばをいただきました。

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音威子府村は北海道で最も人口の少ない自治体で、人口は1000人を割り込んでいます。駅舎は木を用いたものに建て替えられています。

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音威子府駅からはかつて、宗谷本線のほかに天北(てんぽく)線が分岐していました。旭川から稚内を結ぶ鉄道は、音威子府から浜頓別(はまとんべつ)を経由する天北線ルートが先に開通しましたが、のちに現在の幌延を経由するルートが開業し、こちらが宗谷本線に編入されました。

天北線

音威子府駅の駅舎内には天北線資料室があり、当時使われていたものが多数展示されています。

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そうこうしていると、次の列車の発車時刻が近づいてきました。ホームに出るとすでに列車は停車しています。名寄駅を出て、稚内に向かう今日の"最終"普通列車です。時刻は午後5時ですが、これを逃すと次は21:48発の稚内行き特急を残すのみとなります。

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ホームから稚内方面を見ます。宗谷本線は音威子府を出ると、前方の山を避けるように大きく左に進路を変えますが、天北線は右に分かれていきます。列車内からでも線路の跡と思われる築堤が宗谷本線から分かれていくのが見えました。

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音威子府から天塩川に沿って3駅40分走り、天塩中川(てしおなかがわ)駅で下車します。

音威子府 17:05→(普通稚内行き)→天塩中川 17:46

49. 天塩中川駅

天塩中川表

天塩中川ウラ

発売場所 西條Qマート中川店(9:00~19:00/休業日:元日)

表面は天塩川沿いに走るキハ261系。裏面はカヌー、自転車、鉄道がデザインされています。町名の中川は、天塩川の中流に位置することに由来します。開業時は「誉平(ぽんぴら)駅」を名乗り、現在も駅近くのぽんぴら温泉などに名残があります。

ご当地入場券は、無人駅の場合、駅近くのコンビニや道の駅などで販売されることが多かったのですが、中川町は駅前のスーパーマーケットでの発売でした。おそらくスーパーで発売していた例はここだけだったはずです。晩ご飯の弁当を買うときに、レジでご当地入場券を買いたい旨を伝えると、きちんと出してくれました。

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天塩中川駅の駅舎は2014年に建てられた綺麗なものです。中川町の中心駅でありながら、1日の利用者数は10人を下回っています。また、この駅に来るためにいろいろ調べたのですが、中川町から町外に行く公共交通手段は、このJR以外ないようです。駅舎内の駅ノートには、冬に中川町を訪れて、雪でJRが運休してしまったらしい人たちの悲痛な声が多数みられました。

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時刻表はこんな感じ。普通列車と特急列車が3往復ずつです。町内に高校はないので、高校生は町外まで通学しないといけないはずですが、通学にも不便そうです。

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運賃表には、遠く、札幌や新千歳空港まで表示されています。音威子府以降は自由席特急料金も合わせて書かれており、普通列車の本数が少ない北海道ならではです。ちなみに、駅近くに切符を買える場所はないので、ここから切符を持たずに札幌まで特急列車を利用すると、8,100円を精算することになります。

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駅の名所案内には「丸太押し相撲発祥の地」の文字が。文字通り丸太を2チームに分かれて押し合う競技で、毎年9月に町内で大会が開かれるようです。

天塩中川駅では1時間半ほど時間がありましたが、町をぶらぶら歩いていると、ぽんぴら温泉に行くには微妙な時間になり、結局駅舎でぼーっと時間を潰すことに。日も暮れた頃、稚内からようやく列車がやってきました。

天塩中川 19:13→(特急宗谷札幌行き)→名寄 20:30

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名寄駅で下車しました。朝にも立ち寄りましたが、今日はここで1泊です。名寄市内のセイコーマートでご当地入場券を購入します。明日は、宗谷本線の名寄駅以南の各駅をめぐります。

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