二分の法則

 先日の大阪都構想の選挙も、今日の全世界が行く末を気にしているアメリカ大統領選挙でも、何故だか不思議と結果がほぼ半々になっている。もっと大きな差が出たりするほうが自然な気もするのだが、得てして大きな選挙ほどに、この二分の現象は頻繁に現れる。

何か見えない法則が働いているのではないだろうか。

 「すべての事象には陰と陽があり、互いが引き合いつつも反発し合って成り立っているのだ」と、東洋思想で古来から言われている。もしも、互いの力に極端な差があってしまっては、正常な状態(バランス)を保てなくなって何かが狂い、破綻に向かってしまうのかもしれない。

陰と陽を分ける源は何なのだろうか、水平ではいけないのだろうか。

 おそらく地上の人間の個々の事象、細々とした人間社会の情勢などを遥かに超えたところに存在する、地球や宇宙全体に等しく働いているような物理的な力、+と-の磁極などのような、巨大で偉大な力の作用が、細かい人間の精神、意識や行動や、生まれ持った気質や性格に及ぼしているのではないだろうか。科学者が証明することなど不可能な規模なので、SF小説の中での話のようがだが、あらゆる宗教の中でも「神」の存在や不可侵なスーパーパワーや共通項はそのような感じでしばしば描かれている。人間の脳も右脳と左脳があり、目も耳も二つ、対になっている。目の前に二つの道があり、意識的にどちらかを選んでいるようで、何かものかに導かれるように無意識の内にどちらかを選択していることなど誰にでもよくあるのではないだろうか。


それはさておき、トランプ現大統領の事を「どうしようもないバカ爺で差別主義者で人格破綻者」かのように語る連中が多すぎる。政治の専門家の中にも多い。誰か象徴的な人間を矢面にすることで、「自分は「まとも側」の人間なのだ」と思い込みたい、信じたいのだろうが、その行為こそが得体のしれない怖ろしい仮面を被る始まりである。会ったこともない人間を、TVの中に映る人間を、多数の周りが言っている通り、疑うこともなく、自分の頭で考えることもせず、右へ倣えで金魚の糞のようについていく。

 その連中は、「人間」という存在そのもののが持つ二面性や狂気や愚かさ、子供の頃には誰にでも内に在ったはずの世界を忘れてしまったのだろう。彼らはいわゆる「大人ぶって」いるだけだ。一番大切なものを見失っている。このような大人ぶっている連中は、自分が真っ当な「まとも人間」のふりをしているだけで、異端者を批判することで偉そうにしている奴はとても多い。面対面で話をして気持ちの良い快い人間ではない。少なくとも私は本当の大人なんて未だかつて一人も見たことない。そもそも「大人の態度」というような言動を取っている連中こそ、実は無意識での差別主義者なのだと思う。自らの中にある愚かさや不条理を認めることができない人間などに本当の「大人」になれるはずがない。

 トランプは衝動家である。その衝動は多くのストレスを抱えたアメリカ人の願望や無意識の集積が、彼の魂に乗り移って行動をさせているかのようだ。役割を演じている部分もあるだろうが、元来持っていた個性や性質、必然的に表れた時代の代弁者なのだろう。彼個人を問題視するのでなく、彼を突き動かす無数の無名の人々に耳を傾けなければ、問題の本質を見ることは不可能だ。さきほど話題にした「大人ぶって」いる連中には、そういう対局にいる狂気や憤りに対して、心の底から共感する事は絶対に出来ない。なぜならそれを無意識に差別しているし、かつてあったはずの子供の心に、硬く強固な蓋をして大人ぶっているのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?