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「地域の足」の話。

 こんにちは。ちば真裕です。

 「地域交通」に関して、立て続いて報道がありました。
 1つは「JR留萌線の段階的廃止」、もう1つは「札幌市で初の“デマンド型交通”実証実験」です。

 「JR留萌線の段階的廃止」については、これをもって、JR北海道が平成28年11月に発表した『当社単独では維持することが困難な線区について』において、「輸送密度200人未満(片道100人)の線区」として、廃止・バス等への転換を求めた3線区、および、当時既に検討が進んでいた2線区の、いわゆる「赤線区」すべての廃線方針が決定しました。
 鉄路の維持管理には多額のコストがかかるため、これをバスに転換することでコスト圧縮にはつながります。しかし、需要(利用者)が増えなければバスの維持管理コストさえ賄うことはできません。例えば、廃止路線に沿ってただバスを走らせるだけで需要が増えるということはないでしょう。

 「札幌市で初の“デマンド型交通”実証実験」については、札幌市手稲区を走る「富丘高台線」について、利用者が少ないこと、車両の老朽化等を理由として、今年11月末をもってバス路線を廃止し、同月下旬から、いわゆるジャンボタクシー車両を用い、事前予約制で同路線周辺の交通をカバーしていこうというものです。
 ”デマンド型交通”というのは、北海道でも、岩見沢など札幌以外の地域では「交通空白地域」の足の確保ということで、すでに行われていますが、いよいよ札幌にもそうした波がやってきたというのが実感です。
 これは上述の「JR廃線・バス転換」の先にありうる話でもあります。

 いずれも、「地域の足」についての新たな段階を感じさせるニュースですが、”廃線・バス転換”、”デマンド型交通を導入”すれば、「地域の足」の問題が解決するわけでは決してありません。

 「バス転換」にせよ、「”デマンド型交通”導入」にせよ、それはあくまで維持管理コストの低減という「供給側の問題」にすぎません。新しいバス路線や、新しいデマンド型交通が、地域の皆さんにとって、いかに使い勝手がいいものにできるかがもっとも重要なことです。

 札幌市中央区に住んでいると、こうした話題はピンと来なかったり、「自分たちには関係ない」と思われるかもしれません。
 確かに、中央区には、市電、バス、タクシー、地下鉄、JRなど、現在のところ交通機関が充実しています。
 札幌以外の釧路や北見、室蘭での生活経験をもつ者としては、マイカーが一家に一台ではなく、一人に一台なければ生活が成り立たない地域を目の当たりにしてきました。元気に運転できる間はどうにかなりますが、高齢になるとそうはいっていられません。実際、多くのお年寄りが札幌に転入されてきます。若者にせよ、お年寄りにせよ、自分が愛着をもつ「ふるさと」で生活できることはとても大事なことだと思います。

 「地域の足」の問題は、地域コミュニティの存続にとって、極めて重要な問題です。足腰が悪くなると急激に老け込むことが多い人間と同じく、「地域の足」が失われると、その地域の活力はみるみる失われていきます。
 私は、前職・国交省北海道運輸局での経験や知見を活かし、それぞれの地域に適した交通ネットワーク構築に力を尽くしてまいりたいと思っています。

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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