見出し画像

2023.7.10 北海道議会 予算特別委員会(第1分科会) 質問

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和5年7月10日、第2定例道議会の予算特別委員会(第1分科会)において、質問を行いました。


一 アイヌ施策について

 まず、アイヌ施策についてであります。
 アイヌの方々は長い歴史の中で、独自の言語や口承文芸、アイヌ文様など、様々な文化を発展させてきました。こうした中、アイヌの歴史・文化を学び伝えるとともに、先住民族であるアイヌの方々の誇りを尊重し、差別のない共生社会の実現に向け、令和元年5月には、アイヌの方々が先住民族であるとの認識を示した、いわゆる「アイヌ施策推進法」が施行され、令和2年7月には、民族共生象徴空間「ウポポイ」が、アイヌの方々はもとより、私たち道民の期待のもと、白老町に誕生したところです。
以下、アイヌ施策に関して、伺います。

(一) ウポポイの現状について
 
まず、ウポポイについてですが、開業当初から新型コロナの感染防止対策を行いながらの運営となったことは承知しています。あらためて、コロナ禍の中でのウポポイへの誘客の取組について、来場者の推移を含め、伺います。 
答弁:高石 環境生活部アイヌ政策推進局象徴空間担当課長
・緊急事態宣言による臨時休業等により、令和2年度は22万 2,794人、3年度は19万618人、感染防止対策が緩和された令和4年度は36万9,038人に増加。今年度は6月末現在で9万1,981人となっている。
・ウポポイでは、事前予約などにより、入場者の「密」を回避、入場時の検温や手指消毒の義務づけ、換気の徹底、体験型プログラムは、接触や飛沫に配慮するなど、「新北海道スタイル」やガイドラインを踏まえ、感染防止対策に取り組んできた。
・道は、ウポポイをはじめ、道内アイヌ関連施設の映像をGoogle マップで紹介したり、アイヌ文化のポータルサイト「アイヌミュージアムトリップ」の解説、アイヌ文化を巡るモデルコースをインフルエンサーがSNSで発信するなどして、来訪意欲の醸成に努めてきた。

(二) ウポポイ3周年に向けて
 
国は、昨年9月、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る方針を打ち出し、10月には水際対策を大幅に緩和。道でも、旅行需要喚起に向け、「HOKKAIDO LOVE!割」を開始しました。本年5月には、新型コロナの感染症法上の分類が変更され、今後ますます、インバウンドを含め来道者の増加が期待されるところです。
 ウポポイは本年7月で開業3周年を迎えますが、開業1年目、2年目とは異なり、初めて感染症対策による制限を伴わない開業記念となることもあり、ウポポイの認知度を高め、多くの方々に興味や関心を持ってもらう絶好のタイミングと考えます。
 3周年にあたりどのような取組を行うのか、伺います。
答弁:高石 環境生活部アイヌ政策推進局象徴空間担当課長
 ・ウポポイでは、8日に現地で記念セレモニーが開催され、岡田内閣府特命担当大臣や知事が出席した。
・7月15日からの3連休を、「3周年・ウポポイ祭」とし、各地のアイヌ古式舞踊を鑑賞し体験できるプログラム、アイヌ料理の試食会とトークショー、施設内のショップやレストランでのスタンプラリーなど、皆様に楽しんでいただけるよう多彩なメニューが企画されている。
・道は、3周年にあわせ、札幌大学との協働によるミニイベントの開催、 JR札幌駅や札幌大通における「トゥレッポん」と「キュンちゃん」による PRを実施。白老町は 「3周年記念 ポロトミンタラフェスティバル」を開催、苫小牧市・登別市も関連する取組を予定。
・国や道、関連機関が一体となって、ウポポイ3周年を盛り上げ、認知度向上や誘客につなげる。

(三) 道の取組について
 コロナ禍のもとでの、種々の制限が緩和されるなか、アイヌの方々及びアイヌ文化への理解促進のため、道としてもウポポイをはじめとする道内のアイヌ関連施設への誘客の一層の促進を図るべきと考えます。
 道は本定例会に、ウポポイ関連予算を計上していますが、ウポポイをはじめとする道内のアイヌ関連施設やアイヌ文化の魅力発信に向けて、これまでどのように取り組み、今後どう取り組んでいくのか、伺います。
答弁:高石 環境生活部アイヌ政策推進局象徴空間担当課長
・道はこれまで、テレビCMやウェブを活用し、ウポポイや各地のアイヌ関連施設の魅力を発信。人気漫画「ゴールデンカムイ」と連携したスタンプラリーなどにより、漫画に関心の高いファン層へのアプローチや、暮らしに欠かせない食や道具 といった新たな視点で、プロモーション活動を行ってきた。
・今年度は、人流回復を期待して、より多くの方々に訪れていただけるよう、道内外でのイベントの開催やインバウンド向けのプロモーション、PR映像の海外での配信、工芸品の期間限定アンテナショップの解説と展示会の実施など、幅広いターゲットに、アイヌ文化への認識を深めていただくとともに、国や市町村、関係機関等と密接に連携し、ウポポイをはじめ各地のアイヌ関連施設への誘客促進に積極的に取り組んでまいる。

(四) アイヌ生活実態調査について
 
次に、北海道アイヌ生活実態調査についてであります。
 道では、アイヌの方々の生活実態等について定期的に調査を実施しており、今年度は調査の実施のために911万8千円を予算計上しています。
 まず、このアイヌ生活実態調査について、その目的と主な調査内容、また、直近となる平成29年の調査結果の概要について、伺います。
答弁:鈴木 環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課長
・道では、アイヌ政策のあり方を検討するため、アイヌの方々の生活実態について、昭和47年から8回にわたり 調査を実施。
・調査は、アイヌの方々の教育、就業などの状況、生活向上施策に対する意識、差別の状況などを調査項目とし、前回平成29年の調査では、生活保護率や進学率など、それ以前の調査と比べると改善の傾向にあるものの、アイヌの方々以外との比較においては依然として格差が見られる結果であった。

(五) 今後の調査に向けた課題について
 近年、アイヌの方々を取り巻く環境が変化しており、今年度の調査では、そのような変化を適切に踏まえ、アイヌの方々の生活や意識を、より的確に捉えるよう調査を行う必要があるものと考えます。
 道では、今年度の調査を実施するに当たり、どのような検討を行っているのか、今後のスケジュールも含めて、伺います。
答弁:鈴木 環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課長
・道では、アイヌ生活実態調査において、アイヌの方々を取り巻く社会状況の変化や生活の実態などを調査内容に反映する必要があるため、専門的な見地からご意見をいただく有識者検討会議を設置し、検討を進めている。
・今後、検討会議のご意見を踏まえ、市町村や団体への説明を行い、この秋に調査を開始するなど、取りまとめを進めている。

(六) アイヌ施策について
 アイヌの方々への理解促進を図るとともに、長い年月をかけて受け継がれてきたアイヌ文化に親しんでいただくためには、国内外の多くの方に、ウポポイをはじめ道内のアイヌ関連施設へ足を運んでいただき、実際に目で見て耳で聞くなど五感で体感し、身近に感じていただくとともに、民族共生の視点からは多様な民族が交流し相互に理解を深めることも重要だと考えます。
 コロナ禍で抑制傾向だった海外の先住民族との交流について今後どう取り組むのか、アイヌ施策の推進に向けたアイヌ政策監の所感と併せ、伺います。
答弁:相田 環境生活部アイヌ政策監
 ・ウポポイは、先住民族の尊厳を尊重し、多様で豊かな文化を持つ社会を築いていくための象徴。アイヌの方々に対する正しい理解を促進するためには、より多くの方々に訪れていただき、アイヌ文化に直接触れ、体感していただくことが重要。
・アイヌの方々が海外の先住民族と交流し、互いに認め合うことは、共生社会の実現において大切なこと。道は、本年1月、ハワイ州において、アイヌの皆様による舞踊披露などの文化発信を行うとともに、ハワイ先住民族をルーツとする生徒と文化交流や意見交換などをして、絆を深めた。
・道は、今後も、様々な場面を捉えて、交流を図る機会を創出し、アイヌ文化の魅力を世界に発信し、海外の皆様の来道を促進し、アイヌ文化に直接触れ、理解を深めることで、全ての皆様が、相互に人格や個性を尊重し共生する社会の実現を目指してまいる。

二 動物愛護管理センターについて

 次に、わが会派の武市議員の一般質問でも取り上げたところですが、動物愛護管理センターについてであります。
 動物愛護管理センターについては、昨年度の実証事業を踏まえ、ペットの引取り頭数の多い道央及び道東地区にセンターが開設されたと承知しています。
 また、今年度は道北・道南地区での実証事業を踏まえ、早期の開設を目指すと聞いているところです。
 全道域をカバーするセンターの着実な運営に向け、関係団体との連携や、センターの役割・課題など、道が目指す運用像について、これまで議会でも議論してきたところですが、以下、今年度における運営状況や今後の方向性などについて伺います。

一) 今年度の運営状況について
 今年度から開設した動物愛護管理センターについて、その運営状況や犬猫の引取り状況について、伺います。
答弁:小笠原 環境生活部動物愛護管理センター所長
・本年4月、環境生活部内に動物愛護管理センターを開設し、動物愛護管理に係る総合調整業務を担うとともに、令和6年度までに、道央、道東、道北、道南の4カ所に、順次、センターを配置する。
・今年度は、道央地区センターを酪農学園大学に、道東地区センターを十勝管内の動物愛護団体に、犬猫の飼育や譲渡などの業務を委託し、保健所において一定期間収容となった犬5頭、猫19頭、合計24頭を引き取るとともに、これまで10頭の譲渡に至っている。
・道北、道南の2地区については、今年度、実証事業を進めている。

(二) 関係団体との連携について
 動物愛護管理センターでは、すでに業務が開始されているとのことですが、動物愛護管理業務をより効果的にするためには、関係団体との連携体制を構築し、協働しながらセンターを運営していく必要があるものと考えます。
 関係団体との連携について、どのように取り組んでいるのか、伺います。
答弁:小笠原 環境生活部動物愛護管理センター所長
・動物愛護管理センターの業務を円滑に運用するためには、地域の課題等を踏まえ、獣医系大学や動物愛護団体など関係機関と連携した取組が重要。
・今年度、センターの運用を開始した道央・道東地区では、昨年度実施した実証事業を通じ、ペットが多い道央地区においては、新興感染症発生時における犬猫の感染症検査など、専門的知識や迅速な対応が必要になることや担当する地区が広く、犬猫の搬送が長距離となる道東地区では、健康管理に配慮した搬送方法の対応が重要であることが確認されたことから、高度な獣医療が期待できる獣医系大学や引取・譲渡の経験が豊富な愛護団体と連携を図っている。

(三) 基幹センター整備の考え方について
 現在、酪農学園大学に委託している道央地区センター業務ですが、この度の補正予算では、道自らによる基幹センターの整備費が計上されております。基幹センター整備に関しての基本的な考え方及びその果たすべき役割をどのように考えているのか、伺います。
答弁:竹本 環境生活部自然環境局長
・道では、動物愛護管理業務のあり方検討などを踏まえ、犬猫の収容能力の向上、動物とのふれあい機能の発揮、災害時における緊急的な受入など対応力の充実を図ること、本道の広域性や道民の利便性を考慮し、道内4か所にセンターを設置することとした。
・基幹センターとなる道央センターは、大規模災害や新興感染症の発生時において、ペットの受入などを行う拠点としての役割や、動物愛護の普及啓発を推進する役割、関係団体等との連携調整を行う役割を担い、道内全体におけるセンター運営の総合調整を行う拠点施設とする。

(四) 基幹センターの概要について
 基幹センターは文字どおり、道内における動物愛護管理の拠点となる施設になるものと考えますが、施設の設置を待ち望んでいた道民や関係団体の方々にとっては、どのような施設になるのか関心が高いところです。
 道は、どのような施設を整備する考えなのか、伺います。
答弁:小笠原 環境生活部動物愛護管理センター所長
・基幹センターは、災害対応可能な機動的な施設とするため、ハウスユニットを複数棟連結した構造とし、高気密・高断熱な仕様と太陽光パネルや蓄電システムを備えた施設とする。
・平時は通常の業務を行うセンターとして機能させ、大規模災害発生時などにおいては、ユニットの一部を切り離して被災地へ移動させ、災害時の拠点として業務を行うことが可能な施設とする。

(五) 今後の取組について
 基幹センターが整備されることにより、行き場を失ったペットを保護し、新しい飼い主への譲渡が一層進むことが期待されます。
 道は、基幹センターの整備を契機に動物愛護施策の推進に向け、今後、どのように取り組んでいくのか伺います。
答弁:加納 環境生活部長
・動物愛護施策の推進は、動物の虐待や多頭飼育崩壊などの課題に対応するとともに、人と動物との、より良い関係づくりや動物との関わり合いを通じて、命を尊重する精神を育む上で重要。
・基幹センター整備により、犬猫の収容能力の向上が図られるほか、災害発生時には、施設の一部を被災地に移動させ、犬猫の保護・飼育などの拠点となる、全国初の施設として重要な機能を果たす。
・道としては基幹センターの整備を契機として、動物を取り巻く様々な課題の解決はもとより、動物愛護施策を推進する司令塔として、その機能の着実な運用を図り、道民の皆様が動物の命を尊重し、人と動物が共生する社会の実現に向けて取り組んでまいる。

三 自転車利用者の安全確保について

 次に、自転車利用者の安全確保についてであります。
 自転車は、運転に免許を必要とせず、子どもから高齢者まで幅広く利用されており、自転車の活用の推進は、環境に対する負荷の低減、道民の健康増進や観光の振興等に資するものですが、安全な利用を進める必要もあります。
 初夏を迎え、道内でも自転車の利用者が増えると予想されますので、自転車利用者の安全確保について、以下、伺います。

(一) 北海道自転車条例に基づく自転車の安全利用の推進について
 道では、平成30年に「北海道自転車条例」を制定し、自転車の活用及び安全な利用を推進していると承知しています。
 条例の制定以降、自転車の安全な利用の推進について、どのような取組を行っているのか、また、自転車事故の発生状況やヘルメットの着用状況はどのように推移しているのか、併せて伺います。
答弁:箱﨑 環境生活部くらし安全局交通安全担当課長
・道では、毎年策定する「交通安全運動の推進方針」に、自転車の安全利用を重点項目として示し、「サイクルセーフティキャンペーン」や自転車安全日などにおいて、街頭啓発を展開。関係団体や自転車販売事業者と連携し、ヘルメット着用を呼びかけるなど、自転車の安全利用に資する取組を進めてきた。
・道内における自転車関連事故は、条例制定前の平成29年は1,457件、令和4年は1,282件で、175件減少。
 自転車乗車中に支障した方のうち、ヘルメットを着用していた割合は、平成29年は4.1%であったが、令和4年は7.8%となっている。

(二) ヘルメット着用の効果について
 道の条例では、自転車利用者はヘルメットの着用に努めることとされていますが、さらに、本年4月から、改正道路交通法が施行され、自転車に乗車する際のヘルメットの着用が全国一律で努力義務とされたところです。
 しかし、これまで着用する習慣がなかった人や、必要性を感じていなかった人に対しては、これまでのように単に「努力義務」であることを周知するだけでは十分ではないと考えます。
 ヘルメットの着用が自転車の安全な利用にとって有効であるということを示し、一人一人の理解を深めていくことが、着用率の向上につながると考えますが、着用の効果についてどのように認識しているか、伺います。
答弁:箱﨑 環境生活部くらし安全局交通安全担当課長
・平成30年から令和4年までの5年間で、道内の自転車乗車中の事故で死亡した方の約52%は頭部に致命傷。
・警察庁によれば、事故にあった方のうち、ヘルメットを着用していなかった場合の致死率は着用していた場合と比べ約2.6倍高く、ヘルメットの着用は安全性の向上に大きな効果があると認識。

(三) 若い世代に対する理解の促進について
 ヘルメットの着用については、特に、通学に自転車を利用することが多い中高生など若い世代の着用率を高め、自転車の安全な利用を促進することが重要と考えますが、若い世代に対して、どのような取組を行っているのか、伺います。
答弁:箱﨑 環境生活部くらし安全局交通安全担当課長
・道では、小・中・高生に対し、全ての新1年生にパンフレットを配布。特に、高校生等のヘルメット着用を推進するため、高校演劇部に協力いただき 着用の努力義務化や着用の重要性を伝える動画を制作し、道及び道警察から配信、ホームページや SNS を活用し周知している。
 ・自転車関連団体、自転車販売業者と連携し、啓発資材を配るなど、児童生徒、保護者に着用を呼びかけている。

(四) 今後の取組について
 今回の道路交通法改正では、ヘルメットの着用は努力義務とされましたが、短期間での着用率向上は容易ではなく、様々な工夫をして取り組む必要があると考えます。
 今後、道としては、自転車利用者の安全の確保に向け、どのように取り組んでいくのか、伺います。
答弁:加納 環境生活部長
・自転車による事故を防止するとともに、自転車を利用する方々にヘルメットを着用していただくためには、交通ルールの遵守につながる啓発活動はもとより、ヘルメットの着用が命を守る手立てとなることをしっかりお伝えしていくことが重要。
・道としては、自転車の車両としての危険性を認識していただく動画の配信や街頭啓発を継続して実施、ヘルメット着用による安全効果について客観的に伝えるデータを啓発資材などによりお示しし、引き続き、道警察をはじめめとする関係機関・団体、民間事業者と緊密に連携し、交通事故のない安全で安心な北海道づくりの実現に努めてまいる。(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?