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2022年度「千葉大スーパーショート文学賞」

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2022年度「千葉大スーパーショート文学賞」応募作品
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2022年11月の記事一覧

千葉大スーパーショート文学賞開催!@千葉大祭

こんにちは!今千葉大は大学祭の真っ只中です! さて、我ら文藝部では、以下の概要で「千葉大…

スーパーショート文学賞 No.1 「狐の嫁入り」 あず紗

記念すべき第1作目です!『千葉大スーパーショート文学賞』の詳細は以下からご覧ください 「…

スーパーショート文学賞 No.2 異和 宇井香夏

髪を切り落としてから染めてみて失敗した色 が産まれたのでカラー剤、代 1796円得したな は…

スーパーショート文学賞No.3 ひろってください まぜごはん

 この町は、「日本一天気雨が多い」ということで有名である。気温や湿度、気団、地形、海流な…

スーパーショート文学賞 No.4 「狐につつまれたような話」 煤

No.4 狐につつまれたような話  煤  僕のランドセルは悟ったような声で歌った。  田…

スーパーショート文学賞 No.5 空の君 来場者E

彼女が泣くと雨が降る。 政府はそんな彼女を拘束し、直属の施設に幽閉しました。 『降雨車』…

スーパーショート文学賞 No.6 気だるい朝 藤塚光雄

「エラーコード、ゼロ、ゼロ、ワン。基本動作システムに何らかの問題が発生しました。管理者は直ちに……」  朝っぱらからこんな面倒くさいことはない。彼はむっくりと上体を起こし、のそのそとボロ雑巾のようなフトンから抜け出した。体が覚めていない。歩くたびに節々がバキバキと音を鳴らす。面倒なのだった。顔すら洗わなかった。 旧態依然とした公機関ゆえ、スーツの着用は必須。だが上からさらに防護服。体が重い。足を上げる気にならない。彼は足を引きずって玄関から出た。晴れていた。しかし雨が降ってい

スーパーショート文学賞 No.7 天気雨の少女 たこ焼き星人 

「私、天気雨なんだよね」  美しい瞳を煌めかせながら、少女はそう呟いた。  超高層ビルの…

スーパーショート文学賞 No.8 人生の墓場 ラプソディ

2022年3月5日、栃木県に雨が降った。雨雲の隙間から日が射し込む、綺麗な天気雨だった。 今か…

スーパーショート文学賞No.9 空に虹がかかる時 汐風

「あ、雨だ」  青く澄んだ空から、その明るさとは不釣り合いな冷たい雫が零れ落ちる。鞄の底…

スーパーショート文学賞 No.10 天気雨な私 梅星

 彼にとっての私は天気雨かもしれない。  晴れているのに降っている。  惚れているのに振…

スーパーショート文学賞 No.11 Meteor / Sun Shower 東雲たゆ

さ、よ、う、な、ら きみのていねいな声と信じられないくらいの笑顔 Rainy 夢を見ているよ…

スーパーショート文学賞 No.12 不審者又はナンパ野郎の苦悩 黒うさぎ

 太陽照りつける夏の天気雨の時分、傘をさしている人がいたら、その傘は雨傘だろうか。それと…

スーパーショート文学賞 No.13 決心 スーパーマリオブラザーズ

佐藤輝雄は、ちょっと例を見ないくらいに優柔不断な男だった。 彼はすでに三十代後半に差し掛かっており、同年代の大抵の男性と同じように会社勤めをしていた。具体的に言えば、ビルメンテナンス会社の総務部・係長なのだけれど、彼は入社して早々に、自分にはビルメンテナンスの職業意識への共鳴みたいなものはこれっぽちもないことに気がついていた。 その時から十年以上、彼は退屈な仕事を、独り身のくせに退職する勇気もなく惰性で続けてきたわけである。まあそれは佐藤輝雄に限った話ではない。 とある水曜日