スーパーショート文学賞 No.13 決心 スーパーマリオブラザーズ
佐藤輝雄は、ちょっと例を見ないくらいに優柔不断な男だった。
彼はすでに三十代後半に差し掛かっており、同年代の大抵の男性と同じように会社勤めをしていた。具体的に言えば、ビルメンテナンス会社の総務部・係長なのだけれど、彼は入社して早々に、自分にはビルメンテナンスの職業意識への共鳴みたいなものはこれっぽちもないことに気がついていた。
その時から十年以上、彼は退屈な仕事を、独り身のくせに退職する勇気もなく惰性で続けてきたわけである。まあそれは佐藤輝雄に限った話ではない。
とある水曜日