スーパーショート文学賞 No.10 天気雨な私 梅星
彼にとっての私は天気雨かもしれない。
晴れているのに降っている。
惚れているのに振っている。
いやでもあれは彼が悪いのだ。文化祭でテンション振り切れているのはわかるけど、みんなの前で公開告白なんて。
そういうのは人知れずやってほしい。それこそお天道様すら知らないところで、遠く声も届かない星空だけが見守る夜に。
さてさて突然の天気雨に告白も何もかもあやふやにされた今。
後夜祭にて彼が何か企んでいる、なんて風の噂が届き始める。
さあ、雨は止んで日も暮れた。
もしも諦めの悪い彼に呼び出されたなら。
ふたりきりでその言葉を伝えられたなら。
私はなんと応えよう。
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