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「カナダってどんな国?」#2 (人・服)

 前回の#1に続き、半年で培われたなんとなくのカナダ像を文字に起こすだけのnote後半戦。ちなみにpart.2に位置する映画は基本的に前作を凌駕することはない。だからなにという訳ではないが。

2.接客

カナダの、というよりケロウナ特有かもしれないが制度としてのカスタマーサービスの水準は非常に低い。間違っても日本と比べてはいけない。というのも、太陽が沈むとともに営業を終え、料理が出てくるまでの時間もお世辞にも早いとは言えない。たとえそれがファストフードと言われるマクドナルドであったとしても。

「強気に出たね」と言いたくなるメニュー名

しかし、マニュアルがないからこそ店員が一人の人間として客に向き合っているように感じる。カナダに来てから、なぜこの国が先進国なのか不思議であった。特にこれと言って有名な企業・産業があるわけでもなく、国民性はさほど勤勉ではない。なんせ4時閉店のスタバが3時半に清掃作業を始め、3時50分には完全にシャッターを下ろす国だ。労働意欲なんてないに決まっている。

仲良くなったカナダ生まれの子に、冷たい目をされる覚悟で「カナダはなぜ先進国だと思うか」という質問をぶつけてみた。彼は日本史に深い興味があり、「日本はなんで戦争に負けたと思う?」と聞いてきたこともあったのでまあどっちもどっちだろう。彼はただ一言、「アメリカの隣だからでしょ」と言い放った。それもたしかにそうだろう。莫大な市場と陸続きなのは大きなアドバンテージになる。しかし、僕は人の温もりで先進国に滑り込んだものだと信じている。

カフェ・服屋・レストラン、ほとんどの店で店員は雑談を仕掛けてくる。「料理どうだった?」「そちらの服可愛いですよね?」などといった業務的雑談ではない。「いつこの街に来たの?」「今日このあと何するの?」「学生さん?」など友人のような話題提供をしてくる。きっとこれはマニュアルに則ったものではなく、店員さんの個人的なサービスの一環である。

英語に不安のある人間は話しかけられると非常に嬉しいし、会話が弾むと他にない満足感を得られる。店員だけでなく、カフェで隣になったおじさんなどもこの得体もしれぬアジア人に話しかけてくれる。何百万回と言われてることかもしれないが、この暖かさ、このフレンドリーさこそがケロウナひいてはカナダの最大の長所であろう。

3.服

数年前にバンクーバーが世界で一番ダサい街、に選出されたのを知っている日本人はどのくらいいるだろうか。ただ、街中を闊歩している人々が引くほどダサい格好をしているかといえば決してそうではない。ダサいというよりも「お前マジかそれここで着るのか」みたいな格好をしている人の割合が日本に比べると非常に高い。たとえば7色の絵の具をぶちまけたようなTシャツやパーカー。山手線で見かけたら2度見ものだが、カナダでは街に溶け込んでいる。

ウォルマートに取り揃えられた"KELOWNA"パーカー

着たいものを着るし、その服に対して他者もどうこう言わない、という文化が根付いているように感じる。良いか悪いかは判断が難しい。顕著な例はヨガパンツ。名前の通りヨガをする際に着用する、薄めのピタッとした動きやすいスウェットのようなもの。これがカナダの女性の間で大流行している。ヨガが流行っているわけではない。ヨガを伴わない日常的なヨガパンツの着用が流行っている。

ちなみにlululemonなるバンクーバー発のブランドがこのブームの火付け役で、スポーツウェアを日常使用するハードルを一気に下げた。ただ、仮に日本で同じ戦略をとってもさほど売れなかったであろう。着たいものを着る、着やすいものが最善、他者の目は関係ない、というカナダの土壌ありきだといえる。

と、まあこんなものだろうか。#1から#2にわたって食、人、衣の3観点においてカナダに思うことを書きなぐった。ただし、たかが来て半年の若造の視線である。カナダに長く住んでいる大先輩の方々には全く刺さらないかもしらない。私はそうは思わない、という人はコメントに批判なり意見なり誹謗中傷なりを書き込んでほしい。

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