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NAGA解析 VS Suphx Vol.2 ~ここがダメだよSuphx28選~

前回こんな記事を書いた。たくさんの方に読んでいただけてうれしかった。

麻雀AI「NAGA」による牌譜解析サービス(https://naga.dmv.nico/naga_report/top/)がリリースされたのは2021年8月。あれから5カ月半の月日が経った。みなさん有効に活用できているだろうか?

「活用できている!」という方もいれば、「申し込んだけど、使い切れずに毎月ポイントが余っちゃってる…」という方もいるだろう。そもそも「NAGA?なにそれおいしいの?」という方もいるかもしれない。

自分はどうかというと・・・。

まったく活用できていませんがなにか?


だって、自分の主戦場"東風"なんだもん。NAGA解析から見放されてるんだもん怒

しかし、NAGA解析がもたらすよい未来はあると思っているので、自分も可能な範囲でNAGA解析を活用していこうと思う。

今回はNAGA解析について取り上げる2作目の記事となる。

前回、なぜSuphxの牌譜をNAGA解析にかけたのか。それは異なる戦術をとりながらも、ほぼ同水準の高成績を残している点にある。

いったん、前回記事の再掲をする。

麻雀AI「NAGA」は『ⓝNAGA25』というアカウントで2018年10月にスタート。2020年5月に一度休止したのち、アップデートを経て同年11月に再開。2021年7月に再度休止に入り、8月に牌譜解析サービスがスタート。今に至る。

麻雀AIと聞くともう1つ思い浮かぶのではないだろうか。麻雀AI「Suphx」である。『ⓝSuphx』というアカウントで2019年9月にスタートし、こちらも2020年7月に一度休止したのち、アップデートを経て同年12月に再開。

両AIのアップデート後の成績を載せておく。どちらのAIも間違いなく最強クラスである。(調べていて、のどっちさん試合数が違う気がしたけどまあいいや)

NAGA解析 VS Suphx ~麻雀に正解はあるのか~
https://note.com/chiarittsu/n/n49f969b87ce5
ⓝNAGA25とⓝSuphxのアップデート後の天鳳特上卓東南戦成績比較

はっきりいって、NAGAもSuphxも化け物である。

次のデータもみてほしい。

アップデート後の直接対決

ⓝSuphxからみたⓝNAGA25との対戦成績(引用元:nodocchi.moe)

NAGAとSuphxは天鳳特上卓東南戦(通称:特南)で過去169戦同卓し、NAGAは平均順位2.379、Suphxは2.337とほぼ遜色ない成績かつ、めちゃめちゃハイレベルな争いを繰り広げている。

同卓者かわいそすぎるだろ。怒

それはさておき、今回はこの直接対決の中から一番直近の10戦(ともに稼働休止期間のため、記事公開時点での最後の対戦は2021年7月)をピックアップして、Suphxの打牌選択をNAGAはどう思っているのかをみていこうと思う。
解析には12/14(火)にバージョンアップされたv2.0-ωを使用した。

一致率・悪手判定について

とはいっても、NAGAの解析画面を何となくみているだけでは、判別が難しい部分があると思うので、とあるツールを使用させていただく。

そのツールとは、youalphaさんこと最高位戦日本プロ麻雀協会45期前期の陵澤諭プロが作成した「NAGA一致率算出ツール」である。

ツールに興味を持たれた方はTwitterでyoualphaさん(@youalphajan)に連絡をしてみてほしい。

このツイートを見た瞬間に欲しい!と思い連絡したところ、ものすごく丁寧にご対応いただき、快くツールを送付していただいた。
youalphaさんには改めて感謝申し上げます。

NAGA解析を行ってから、htmlソースを抜き出し、あれこれしてツールにかける。一見難しそうだけど、やり方も詳しく説明されているのでめっちゃ簡単。時間もほとんどかからない。

ツールにかけた結果が以下。

「NAGA一致率算出ツール_v1.3」出力画面サンプル

これは一部分のスクショだが、1ゲーム分のプレイヤー打牌とNAGA推奨打牌が羅列されている。

プレイヤー打牌」と「NAGA推奨打牌」が同じであれば、「一致判定」が1になる。これをもとにNAGA一致率が導き出されている。

一致しない場合は「プレイヤー打牌点数」と「NAGA推奨打牌点数」に数字が入力される。これはNAGA解析画面で出てくる紫色のバーを点数化したものである。

NAGA解析「プレイヤー打牌点数」「NAGA推奨打牌点数」イメージ

上記の牌姿の点数は下記。
・プレイヤー打牌:白(3,171点)
・NAGA推奨打牌点数:中(4,801点)
・その他:9p(2,023点)、6p(1点)、それ以外(0点)

ユーザーがブラウザで閲覧する時は点数表示はされないが、htmlソースには各牌ごとに点数が記述されている。それらをテキストエディタやExcelのマクロを利用して抽出し、Excelでアウトプットできるという優れものツールである。

ちょっとワクワクしてこない?

ツールにはもう1つ「悪手判定」という項目がある。これはNAGAが「〇〇を選びたい!」(「〇〇がいいかも」も一部含まれる)など、明確に打牌選択にダメ出しをしているときにつけられるものである。

NAGAによるダメ出し

悪手判定はNAGA解析画面の打牌検出を「少」にしたときに出てくるもの(厳密にいうと違うかも。違ったらごめんなさい)で、NAGA的には「その打牌ありえないでしょ。なにやってんの?ド下手なの?」レベルである。

SuphxのNAGA一致率・悪手判定数

NAGAとともに特南最強クラスを誇るSuphxであっても、NAGAから見ると悪手と判定されているケースが散見される。

ⓝSuphxのNAGA同卓時直近10戦の解析結果(2021年12月時点)

NAGAとSuphxの一致率は概ね70%台。思ったよりも低い印象を受けるのではないだろうか?そして悪手判定もそこそこ出ている。

ここに大差にみえて、実は微差の選択が潜んでいるのではないだろうか。

NAGAの研究について

NAGA解析に関する記事を書いておきながらなんなのだが、自分はNAGAのことをほとんど知らない。自分は昔からSuphx推しである。

最高位戦日本プロ麻雀協会所属の塩澤彰大プロ(@syobon1031)が執筆されたnote「【NAGA検定】満点が取れたら今日からあなたがNAGAです」を試したときに、自分のNAGA理解度の低さに絶望した。

そして、NAGA解析研究の第一人者として業界で認知されはじめているのが、最高位戦日本プロ麻雀協会所属のたま子こと多喜田翔吾プロ(@maid_LD)である。

たま子さんのnote「結局NAGA解析は役に立つのか?」は50戦分の解析データをもとに圧巻のボリュームでNAGAについて書かれている。

最近はキンマwebでも執筆をされているので、NAGAの考え方を知りたい!NAGAになりたい!という方はそちらを参照していただきたい。

NAGA的Suphxの悪手28選

今回はNAGAが悪手と判定した中から28個のSuphxの選択を取り上げて、それについて自分が考えるSuphxの思考を書いていこうと思う。

いったん前回記事の再掲。いちおうね。

問題が一つある。「NAGA」の思考はこの解析サービスである程度読み取れるが、「Suphx」の思考に関しては想像の域を出ないということである。

「お前にSuphxの何がわかるんだ!」って思うよね。

自分ね。一時期「Suphx」のことめっちゃ研究したんよ。しばらくの間、「Suphx」っぽい打ち方真似してみたりした。

NAGA解析 VS Suphx ~麻雀に正解はあるのか~
https://note.com/chiarittsu/n/n49f969b87ce5

決してSuphxのことをマスターしているわけではないが、少なくても本気で取り組んだ時期があり、ある程度雰囲気はつかめていると思う。

さて、いよいよ本編だが、今回取り上げているのはNAGAとSuphxで真っ向に意見が分かれたものであり、実は大差にみえて微差の選択である可能性が高いものである。

ぶっちゃけ、どちらでも大差ないと覚えておこう。

どちらを選ぶかはアナタ次第

GAME1

ドラ色の孤立6p vs 非ドラ色の孤立4s

前巡切った6pを引き戻した場面。
手が進んだら切ることになりそうな6pと4sの選択。

ポイントが4点ある。

・上家が直前に6pを切り、対上家の安全牌になった(Suphx評価要素?)
・6pが3枚切れてピンズの上の場況がよくなった(Suphx評価要素?)
・6pは単騎にしか当たらなくなった(Suphx評価要素?)
・ドラ色6p、非ドラ色の4s(NAGA評価要素?)

そもそもSuphxは中盤(7巡目~12巡目が目安)に他家に危険な両無筋456が余剰牌になっていることを極端に嫌う打ち手である。

全員に対して両無筋の場合は1牌につき最大6本分の負荷がかかるが、6pは上家の安全牌なので実質4本。対して4sは下家が1sを切っているため、実質5本分の負荷である。安全度の面と自身で切っている6pを引き戻したことで、47pや58p待ちになったときに7pや8pの和了率が増加すると考えている面もありそうだ。

NAGAが打6pをおすすめする気持ちも理解できる。

人類はドラが大好きだ。

ドラが3pのときにターツが足りていない場合、孤立の4pと孤立の4sがあったらどちらを残すだろうか?

打点を上げたいときはドラ引きを考えて4pを残すのではないだろうか。5pも同様である。36pは待ちとして残りやすい。たとえ同じ本数の負荷であっても危険度は4sよりも高めになるのではないだろうか。

1つ目から少し書きすぎた。このレベル感でやっていくと記事公開が再来年くらいになりそうなので、もう少しポンポン書いていく。

場風東 vs オタ風南

NAGA的には明確に差があるようで「南」以外は許せないという感じである。しかし、Suphxは自信をもって「東」を切り出した。ここにもSuphxの思考がみてとれる。

Suphxは生牌の字牌に対する評価が極端に低い。中盤以降(7巡目目安)は危険牌の1種としてみなしている。役牌の生牌の場合はなおさらである。

中盤に相手からリーチが入り、安全牌なし。ならばシャンポンと単騎にしか当たらない字牌を切ってロンと言われ、苦虫を噛み潰した経験は誰しもあるだろう。

今回の手はNAGAは攻撃を見据えて「東」を重ねてのワンチャン高打点狙い、Suphxは和了率高くなさそうな手なので、他家のダブ東を先にリリースしようということだろう。Suphxももう少しアガリがみえる手牌だったら、「東」を重ねにいったと思う。

明確に後手を踏みそうな手で中盤にリスクを負わないのがSuphxの基本思考だ。「東」を切って親に鳴かれたら完全対応、鳴かれなければ少しずつ手を進めていくのがよいだろう。

133 vs 2枚切れ東

3mを引き、133mでカンチャントイツを残すか、2巡前に自身で切った2枚切れの東を切るかという場面。

東を切って目一杯に構えると、2m引きでのピンフテンパイを受け入れることができるが、その際に出ていくのが全員に対して安全ではない3m。巡目を考えるといつ当たり牌になってもおかしくない牌である。

他家からリーチが入ったときに切れる牌ではない3mを手に残すよりは、仕掛けの利くタンヤオを固定した。

南1局の29500点持ち2着目で、赤なしドラなしということも判断基準にあるかもしれない。ラス目だったら?ドラ1だったら?ドラ2だったら。判断が変わる可能性はある。

終盤(13巡目以降目安)の無筋はダマテンや仕掛け含めてけっこう刺さるので、ピンフのみの手で3mを切る展開になるのは見合わないということではないだろうか。

ちなみ今回はドラが字牌だが、ドラが中張牌の場合はもう少し早い巡目でダマテンが入ることがあるので注意が必要だ。特に456がドラの時はやばい。

GAME2

くっつき優秀4s vs チャンタ含み9s

何となく端に寄せたいという気持ちでSuphxと同じく4sを切る人も多くいそうな牌姿であるが、これはNAGA的には悪手らしい。

4sのくっつきでリャンメンを作る意識と、ホンイツに進んだときの匂い消しの要素がありそうだ。第1打4sだと染め手や変則手はすぐに読み筋に入ってくる。下家が第1打で9sを切り、縦重なりが減っている点も判断要素か。

Suphxはこの手をホンイツorチャンタの両路線で考えている。メンゼンだと厳しい手は思い切ってうれしい受け入れだけ残していく。

それと、ペン7mの部分。この後河に7mが2枚並んだらどうだろうか?全然アガれなさそうに思うだろう。9sを残しておくと、789s引きで他の愚形ターツが死んでもやりなおすことができるというメリットがある。

メンゼンが難しい手牌はうれしい受け入れだけ残して、愚形と心中しないのがSuphx流である。

GAME3

悪手判定なし

GAME4

2枚切れの南 vs リャンメントイツ

2枚切れで単騎にしか当たらない「南」とリャンメントイツになる「6s」の選択。

・打6sのメリット ペン3s待ちが残ったときに若干出和了率が上がる。完全安全牌の南を手に残すことができる。
・打南のメリット 3sの枚数が少なくなった時に556からの横伸びでターツを振り返ることができる。

3sはすでに1枚切れ。いくら手役確定といえどSuphxはペン3sと心中したくないということだろう。6sを残すことでのちの危険度は増すが、高目ピンフ三色、安目でもピンフドラ1ならテンパイ時に切るのが見合うという判断もありそうだ。

そもそもSuphxはペンチャンが大嫌いだ。

孤立9 vs 66779

孤立の9mと66779sの9の比較。Suphxは親の現物の9mをいったん残す選択をした。

9sを残して得られる手組のメリットはせいぜい8s引きでの66789s変化である。9sを切って8sをツモってきたとしても他の部分で雀頭を作ればなんておことはない。それよりも親の

Suphxは手詰まりを極端に嫌う

次巡、親からリーチが飛んでくるなんてこともザラにあるだろう。そんなときに9mと9sどっちが残っていたほうがよいか?

アガるためだけなら9s残しがよいが、ラス目で点棒も欲しい状況。他の形がいいので9sがなくても何とかなりそうである。

生牌の役牌「白」 vs 生牌のオタ風「北」

さっきも似たような局面があった。Suphx的には生牌の役牌は将来の危険牌候補である。だからオタ風の生牌「北」よりも先に「白」を切る。

役牌重ねてマンガンがけっこうエライので、自分も北を切りそうだ。

GAME5

ペンチャン vs 字牌

123の三色もみえるが、Suphxの選択は打2p。これがNAGAに咎められた。

出た。極度のペンチャン嫌い

メンゼンで変えの利かない細いの三色含みを残すよりも、役牌を重ねてホンイツに向かったほうが楽そうである。

2s vs 4p

1巡進んだ場面。Suphxは2sを先に処理した。4pをなぜ残したか。それは親の現物だからではないだろうか。

アガリが遠い手牌では親の安全牌1枚の価値が高い

次の瞬間、親からリーチ!って言われたときのことを想像してみよう。4pを持っていたら、「よかったあ~4p持ってて!」ってなるよね。

子方の早いリーチに対しては適当に字牌とか切って、当たったら「よい待ちだね~」とかで済ませられるけど、親にリーチ役牌ドラ1!7700!とか言われたらガックリくるし。

GAME6

孤立3 vs カンチャントイツフォロー7

7mのくっつきと3pのくっつきの比較であるが、そもそも7mを前巡に切っている。

上家から4mが切られたことで、将来的な7mの危険度が下がったとみて、全員に対して危険な3pをリリース。トップ目ということでここでパンパンにしてまでアガリにいく必要はないという判断である。

7mを残すと全員に対して安全そうな牌が2枚以上になるので、リーチがかかってもすぐに焦る必要がない。

Suphxは手詰まりを嫌う。手詰まって序盤の外側を打ったり、ワンチャンスを頼ったりする行為自体がかなり損な選択であり、自分が先手をとれるか怪しいときにそういう状況を極力作らないということがSuphx流である。

孤立1 vs 生牌オタ風

オーラスアガリトップ、2着目と10700点差で満貫ツモOKの場面。

少し怖いが、指をくわえてみていると下家の親に自由に進められてしまうので、自身のアガリが近いとみて自風を仕掛けていった。

ここで西を切るのは、ギアをフルに上げる選択である。

14の1は通常はいらないが、現状雀頭不確定で1sの縦重なり、23s引きのノベタン変化と西よりも動きがある。それと生牌の字牌は安全牌候補としては不適当という判断だ。

GAME7

ペンチャン vs 2枚切れの字牌

ペンチャン嫌い。特に今回は最悪なドラ表示牌のペンチャンである。

人類はドラが大好きだからドラ周辺はいったん持っておく人が多い。ドラ表示牌やドラそのものを持っていたらまた違うんだけど、そうじゃない場合、場況も不明になりやすいゾーンだし、危険度も高いしでいいことない。

GAME8

孤立1m vs 孤立2p

2pでいいような気もするが、親の現物1mを先に切った。おそらく手牌価値に影響しないドラ色孤立牌への評価が低い

リーチがかかっても、字牌やらなんやらで何とかしのげそうな手牌ではある。

リャンメンフォロー3s vs 孤立1m

ここは3sを先に切った。2人が2mを早くきっており、1mは瞬間的な安全度が若干マシそうな牌。

この手はピンフドラ1になれば前に出るがそれ以外はやる気を出さないということでリャンメン固定をしたのではないだろうか。

孤立9 vs 58の8

この手もあまりアガれなさそうである。

受けかぶりとなる58の8を先に切って極力スリムにしておく。

孤立7 vs ペンチャンフォロー

対面がピンズのホンイツ模様で今チーが入った7pを切るかどうか。

Suphxは1sを打った。ドラ1リャンメンなら7pを切ってリーチをすると思うが、ノーテンから今7pを打つのは若干見合わないと考えているのではないだろうか。

チー出し4sで対面のテンパイ率は決して高くないと思うが、稀に7pでロンと言われるケースもあるだろう。もう7pは間に合っていない可能性がわずかな若干ある。多少の可能性もケアしていく。

オリ選択

Suphxはここで西を打って引き判断。

下家の親に対して、前巡7sを打って鳴かれていないが、4sは打たずに完全に止めた。最終手出しが3sであり、ホンイツでもなさそう。となると役は何か?ドラの東が雀頭で片アガリ三色に4sで刺さるとか、チーされるとかは十分にありえる。

Suphxは決して自分の手牌に甘えない

GAME9

孤立1 vs 生牌オタ風

1m周りで愚形ターツを作っても微妙なので、1mの縦とオタ風の南の縦どちらが重なりやすいか?1mが1枚切れなので南を残した。

5p vs 5m

ド終盤。フリテンだが片アガリのテンパイをしていて5mを押すかどうか。

NAGAはこういうテンパイはだいたい押している気がする。しかしSuphxは直前に通った5p切りで迂回。

自身のアガリが薄くなっている状況で、たかがテンパイで危険な5mは押せないということだろう。

リャンメンフォロー6s vs 2枚切れの自風

Suphxはアガリが遠い手でのリャンメンフォロー牌は先切りしがち。スリムに構えてゆったりと手組をしていく。こうしておくと後手から押し返せることも多々ある。

GAME10

1枚切れの場風の東 vs 2枚切れのオタ風の南

2sを引いたことで縦重なりを強くみなくても何とかなりそうになった。東は1枚切れでやや安全ではあるものの、完全に安全ではないので、2枚切れでほぼ安全牌の南を残した。

ここでもSuphxの守備意識の高さが伺える。

孤立1 vs 生牌の場風

これもよくみるやつ。生牌の役牌は中盤以降危険牌候補

細かいが前巡157mと15pの比較があって、ここの差は認識しておいたほうがよい。

3を引いたとき
・157 +3 → 1357
・15 +3 → 135

1357とかもなってもむしろ1枚どこか外したいしね。15の1のほうが優秀である。適当に切らないこと大事。

前巡通した1s vs 2枚切れの北

自身はトップ目かつアガリが厳しい手。気合いでオリである。

Suphxは前巡1sのトイツに手をかけたが、今回は北をツモ切り。
ほぼ差が出ないと思うが、対面が回りきってテンパイを果たした時に1s単騎と北単騎どちらがあるかというくらいか。まあほぼないけど。

2m vs 南

直前に通った2mを切るか、2枚見えの南を切るかの選択。

2mも南も安全度相当高い牌なので好みの問題か。

8p vs 2枚見えの南

安全度の高い「南」を切ってまで、67889pの形を残す価値があるかどうか?

3pがなく467889pの形であれば5,7p引きで2メンツになるので重要度が増すが、34pがあるため、67889pで2ブロックを作る必要があるかというところだ。

5mを雀頭で持っているため、8pがすぐに機能するのは7pを引いて他のターツを払っていくときだけである。

1m vs 8p

全員に通っていない8pを先切った。1mは上家の現物、対面や下家に対しても通りそうだ。

4s vs 2枚切れの東

NAGAは宣言牌の「4s」、Suphxは2枚切れで完全安全牌の「東」を選択。

東を打っていくと、たまに他で雀頭が出来て形式テンパイがとれることある。

8m vs 9p

さて、これはどういう理由でSuphxは8mを打ったのだろうか。
考えてみよう。

おそらくドラやドラ表示牌ではないドラ色の孤立牌を持っていたくない。ということではないだろうか。人類はドラが大好きだ。

さて、以上28個の牌姿を取り上げた。なんとなくSuphxの打牌傾向がつかめてきたのではないだろうか。だいぶ知ったかぶって書いたが、まだまだわからないことがたくさんある。

もし「これは違うよ」とか「こういう理由なんじゃない?」等、ご意見・ご感想があれば、優しく教えていただきたい。

麻雀AI分析の今後について

2021年8月にNAGAが牌譜解析サービスをスタートさせたが、麻雀業界におけるAI分析は囲碁や将棋と比べると大きく遅れをとっていると言わざるを得ない。

不完全情報ゲームかつ、対戦相手が3人いるという複雑なゲーム性が影響していることも確かだと思うが、何より問題に感じているのは圧倒的に研究・開発をする人と検証する人(量)が少ないという点だ。

自分も将棋に本気で取り組んだ時期があり、その際は無償の将棋GUIに無償のAIを用いて棋譜を検討していた。

NAGA解析自体もものすごく画期的なものではあるのだが、1回あたり50円程度かかるのであればどうしても検証者と検証数が少なくなってしまう。

AI開発を行っているNAGAやSuphxの存在、NAGA解析サービスの存在はもちろん大きいのだが、NAGA解析を行っている人の存在もとても貴重である。こういうのは魂を売るくらい本気で取り組まないと見えてこない部分もあると思っている。

その部分はたま子さんにお任せしたい。

そして、今はまだ有名ではないがNAGA解析を行って強くなっている人もいると思う。最近周囲の麻雀打ちのレベルが本当に上がってきていると感じる今日この頃。AIも少しずつではあるが進化を続けている。

時代の移り変わりは早い。あと数年もすれば人類が叶わないくらい強くなるのではないだろうか。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

わずか10ゲームの牌譜解析ですが、NAGAと同様に天鳳特上卓東南戦で最強クラスの成績を誇るSuphxの選択であっても、NAGA的には悪手と判断することが多々あります。

今回、31個悪手判定が出たものをピックアップしていますが、それ以外にも一致していない部分が数多くあります。「NAGAがこう言っていた」というのはもちろん正解の一つにはなりえますが、そこで思考停止せずに「Suphxだったらこういう選択をしたかもしれない」「〇〇さんならこういう選択をしたかもしれない」といろいろ思考を張り巡らせてみることも、麻雀の楽しみ方なのかなと思っています。

麻雀の戦術には無限に可能性があると思っています。

自分は常識外の構想であっても結果を残す方法があると思っていて、天鳳で副露率50%台のアカウントを作ったり、副露率10%台のアカウントを作ったり、立直率30%台のアカウントを作ったり、10%ちょっとしかないアカウントを作ったり、超攻撃的に打ったり、超守備的に打ったり、日々いろんなことに挑戦をしています。

結果、全部中途半端なんですけどね。笑

AIが進化して人類を超えたとしても、AIに抗えるようにいろんな技術を身につけていきたいなと思っております。

Let's Enjoy Mahjong!

おしまい

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