NAGA解析 VS Suphx ~麻雀に正解はあるのか~
天鳳界に突如誕生した麻雀AI「NAGA」による牌譜解析サービス(https://naga.dmv.nico/naga_report/top/)はもうお試しになっただろうか?
麻雀AI「NAGA」は天鳳段位戦の特上卓東南戦(以下、特南)を打ち続け、最高段位の十段に到達した非常に雀力の高いAIである。その「NAGA」による牌譜解析が誰でも簡単にできるようになったことで、日々鳳凰卓で奮闘する上級者達も多くの人が試すなど天鳳界が活気づいているようにみえる。
麻雀AI「NAGA」は『ⓝNAGA25』というアカウントで2018年10月にスタート。2020年5月に一度休止したのち、アップデートを経て同年11月に再開。2021年7月に再度休止に入り、8月に牌譜解析サービスがスタート。今に至る。
麻雀AIと聞くともう1つ思い浮かぶのではないだろうか。麻雀AI「Suphx」である。『ⓝSuphx』というアカウントで2019年9月にスタートし、こちらも2020年7月に一度休止したのち、アップデートを経て同年12月に再開。
両AIのアップデート後の成績を載せておく。どちらのAIも間違いなく最強クラスである。(調べていて、のどっちさん試合数が違う気がしたけどまあいいや)
和了率と放銃率のバランスを見る限り、「NAGA」のほうがやや攻撃色が強く、「Suphx」は守備寄りであるということがわかるのではないだろうか。
間違いなく両AIとも最強クラスであることには異論がないだろう。
では「Suphx」の牌譜をNAGA解析にかけたら一体どうなるのか?ある程度一致するのか、はたまた全然違うのか、興味深いところである。
自分は「Suphx」の牌譜を「NAGA」解析にかけてみることにした。
問題が一つある。「NAGA」の思考はこの解析サービスである程度読み取れるが、「Suphx」の思考に関しては想像の域を出ないということである。
「お前にSuphxの何がわかるんだ!」って思うよね。
自分ね。一時期「Suphx」のことめっちゃ研究したんよ。しばらくの間、「Suphx」っぽい打ち方真似してみたりした。
インプットは天鳳位であるお知らせさんの著書「世界最強麻雀AI Suphxの衝撃」やトリプル天鳳位&魂天であるないおトンさんのYoutube配信「最新麻雀AIの牌譜を斬る!~suphx編~」(全10回)が主だけどね。天鳳位という肩書をもってなお研究を続けるのは本当にすごいと思うし。決して現状に満足しないという意味で本当にリスペクト。
NAGA解析 VS Suphx
「NAGA解析」を行うと盤面とともに巡目別のチャートが出てきて、眺めているだけで楽しい。
「NAGA」と異なる選択があった場合はチャート上に縦線が引かれるんだけど、上のチャートはまったくない。自分の牌譜解析の結果がこうなると、何か認められた気がしてうれしいよね。
「はああ?何本線を引いてんねん!」
打牌検出も「全」「多」「並」「少」と4レベル用意されていて、「全」がその名のとおりすべて検出である。「NAGA」と完全一致を目指したいなら「全」がよいけど、各自のレベル感や方向性に合わせて調整してみるとよいと思う。
今回調査した牌譜は2つ。
少な!って思うかもしれないけど、有料だし自分が「ⓝSuphx」と同卓したときのものだけ解析した!無料記事だし許して!
「オレが最強だ!!!」
冗談はさておき、早速みていこう。
打牌検出は「全」だ。
1戦目解析
手前が「ⓝSuphx」の手牌。
手牌下のチャートをみると青い線1本、白い線5本引かれている。
青い線は鳴き判断、白い線は打牌選択、あわせて6カ所「NAGA」の選択と異なる場所があったということだ。ちなみに赤い線もあって、それは立直判断らしい。
最初の青い線。「NAGA」は13pで2pチーを推奨しているのに対し、「Suphx」はスルー。
チャートの下にある確率もみてほしい。放銃確率11.9%に対して和了確率7.2%と出ている。あくまでもこの時点での確率判断だが、リスクのほうが高いという判断だ。この確率自体はおそらく「Suphx」もそれほど変わらないそろばんをはじているのではないかと思う。
ここの選択は「NAGA」と「Suphx」で”ほとんどアガれない手牌”に対してのスタンスの違いがみられる。
2pをスルーして次巡。1mを打った「Suphx」に対し、「NAGA」は打1pを推奨。
明確な違いは何か?
一見たいした違いがないようにみえるが、「NAGA」の攻撃意識と「Suphx」の守備意識が交差する場面である。1mはドラそばかつ全員に危険牌。1pは2人が早めに打2pしたことにより、のちのち安全度の高い牌になりやすい。
『もうちょっとがんばろうよ』という「NAGA」に対して、「Suphx」はこんなアガれそうにない手牌で無理をせず、少しでも安全度の高い牌を持ちたいということなのだと思う。
1sを選択した「Suphx」に対して、「NAGA」は『8sがいいかも』と言っている。牌の上に表示されているピンクのゲージは打牌選択の候補に上がっているかどうかの割合である。打1sは選択肢にも浮かんでいない様子である。
下家の9mポンは「Suphx」6巡目の打8sの後で、ポン出し8pだった。捨牌が異質で、端に寄せている様子で、いかにも9pのトイツを持っていそうだ。
おそらく「Suphx」は下家のトイトイorチャンタ含みの仕掛けに対応したのではないだろうか。1sは1枚切れでポンされない牌かつ23sの受けがあるのであれば、9mポンから入るのはかなりアグレッシブである。
あとは形テンの可能性をわずかに残して89sターツを残したという点もあるかもしれない。
「NAGA」もその可能性に当然気づいていると思うが、この瞬間の下家のテンパイ率はそれほど高くなく、”鳴かれてから対応すればいいじゃん”って思っているのだと思う。現状4トイツあり、奇跡的にチートイでテンパイをする可能性もあるし、そのために全員に安全ではない8sを先に切っておく。
一方で「Suphx」は自分がほとんどアガれないし、形テンも遠いので、”下家に鳴かれること自体が損”と思っている。このスタンスの違いではないだろうか。
終局までのゲームメイク。この瞬間絶対当たらない2sを切った「Suphx」に対し、完全安牌の中を推奨する「NAGA」。
まあほとんど差がつかない場面だと思うけど、次巡下家に2sで刺さるケースもなくはないので、より確実を期した打2s。一方で「NAGA」は2sチーをケアしたのではないだろうか。
終盤で下家に安易にテンパイを入れさせないのは重要なポイントだが、放銃をしてしまっては元も子もない。ここで中を切ると下家から手出しが入った場合に、次巡の完全安全牌がなくなってしまうことを嫌ったのだと思う。「Suphx」は本当に放銃に対して敏感である。放銃率9%台の世界。
次局、8sを切った「Suphx」に対し、「NAGA」は西を推奨。
先ほどの局同様、和了確率は10.2%と低い。ならば少しでも安全度の高い牌を多く持つのが「Suphx」である。NAGAは南も北もいざとなれば發トイツもあるし、まあなんとかなるでしょという構えである。これはどちらが正解とかなくてスタンスの問題だと思う。
安全牌は足りなくなる時はあっという間。1枚あればOK、2枚あればOKって話じゃなく、自分がどうでもいい手牌の時は超スリムに受けるのが「Suphx」である。
赤5mを引いたことで少しやる気が出る手牌になった。西と北の比較はどっちでもよさそう。ドラが1枚あるかどうかは重要な要素であり、この局は字牌の「中」がドラなので、中を使える人以外の手牌価値が低くなりやすい局面である。ドラ字牌の時に赤1枚持つ価値は高い。
次局、中を切った「Suphx」に対して、「NAGA」は西を推奨。
「Suphx」の特徴として生牌の字牌=危険牌、1枚切れの字牌=けっこう安全度の高い牌と認識している点がある。「Suphx」の基本フォームとして、生牌の字牌と1枚切れの字牌がある場合はだいたい生牌の字牌から切っている印象だ。
重要なのは、”最序盤の字牌の切り順”はかなり微差の領域であるということ。適当に全部オタ風から切っても、全部役牌から切っても、ライバルの風とか考えずに字牌を切ってもそこまで差がつく領域ではなく、その後の中~大規模の1ミスで簡単に覆ってしまうような微差であるという認識が必要である。
もちろん、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで打牌選択することは重要だけど、一方でそれが相手の読み材料に使われることもある。
たとえば普段オタ風→役牌の順で切っている人が、役牌→オタ風の順で切ったら、「ピンフ系かな?速そう。リーチきそうだな?」って思われたりね。
「Suphx」はたいしてアガれなさそうな手牌をブクブクにしない。無理をしなくてよいトップ目ということも大きい。
期待順位の左の棒グラフを見る限り、現時点でトップ確率は50%くらいある。しかし、ここでマンガンとかを放銃してしまうと打ち場所にもよるが、トップ率が20%以上下がることになりえる。
1シャンテンで粘る「Suphx」に対して、5pで即オリを推奨する「NAGA」。守備意識が逆転した稀有なケース。
先手を受けてもあらかじめスリムに受けているため、極力リスクをとらずにゆるやかに押し返すことができるのが「Suphx」の強みである。中程度のリスクは決して負わないが、ここで撤退しないからこそ守備型でありながら和了率22%台を叩き出せているのだと思う。
おそらく通らない限りはマンズもソーズもすぐに打つつもりはないと思うが、西3枚打ち切った後にテンパイをする未来もある。
次巡、ここでも『5pかな~』という「NAGA」。「Suphx」は気にせず西連打を敢行。上家が1pトイツ落としでオリ気味進行(スジの3p打ちは気になるが、安全牌が足りていない可能性もある)、対面はプッシュしているが何とかなるという判断か。
ちなみに対面は「ちありく」選手。強気だよね。
「ちありく」選手のスッタンでゲームENDとなった。
『HAHAHA!!』
「ちありく」選手がリーチをした直後、上家もうまく牌を引き入れてリーチで3軒になり、けっこう「Suphx」さん安全牌持たなそうだった。麻雀って一瞬先は闇だわ~おそろしいね。って、おはなし。
さて、2ゲーム目の牌譜をみていこう。
2戦目解析
8mを打った「Suphx」に対し、「NAGA」は1pを推奨。
形だけみると雀頭候補で北があるし、1123pの亜両面系は弱いようにみえる。それよりも8mに7mがくっつく両面変化のほうが「NAGA」的にはうれしいという判断だ。ただゲージを見る限り微差という印象。
一方「Suphx」は赤なしドラなしで漫然と進めるよりは23p引きのイーペーコ変化や、東引きを見据えて、8mのくっつきより、1pのくっつきを残したのだと思う。1pを切るとかなりリーチのみコースになりそうだ。
「NAGA」は両面変化を強くみる。7p引きで両面変化のある8pよりも1m切っちゃいなよということである。
一方で「Suphx」は赤5pを持っているからだいたい8pは切ることになりそうという点と、ツモ次第で123の三色やチャンタ系もあるという見方か。高い手になる手順は逃さない構えだ。
ここでも1m!って言われてるけど、前述のチャンタ系と1pがアンコになったことで、三色同刻までみえてきた。
ここは微差かな。東1局(1本場)とはいえそこそこ離れたトップ目で無理にカンして子方の打点を上げてしまうのはあまりよいバランスではないと思う。
「Suphx」はここで1sを1枚外した。「NAGA」は1sカンの余地を残しているけど、トップ目であり波乱を呼びそうなことは決してしない「Suphx」。愚形残りというところもカンをしないポイントの1つか。
苦しい形が残った状態で危ない橋を渡りにいかないのが「Suphx」。發は1枚切れで安全度高めな牌ではあるが、念には念を入れて6s切りでオリ。
發切った後に5pやら6s引いたら、三暗刻確定のドラ1でダマ9600点。残り2枚のカン6mだけど、おそらく人は危険な2pを押しちゃうんだよね。期待値的には見合うかもしれないけど、ラス回避ルールかつそこそこリードしている状況で、わざわざ渦中に栗をバラまく必要はないということ。おそらくトップ取りの麻雀だったらリードを広げたいので、「NAGA」寄りの選択になるかもしれない。
対面のリーチは先切りが入っていないと仮定すると、25m47s58s14p25p36p47p58pの8本。2pの放銃率は10%を超えてきそう。2pだけならまだいいんだけど、5mとか7m引いてきたらおそらく待ち替えするんだよね。7mは打6mの外側で若干放銃率低いと思うけど、7m引いての打5mになるとそれもまた放銃リスク。
6mのまたぎで当たるとすれば赤5mを持っているケースがあるけど、この場合は自分が赤5mを持っているから当てはまらない。
愚形があるとすれば6s関連のシャンポン。相方は東。対面の河に役牌が切られていないし、東を持っていてもおかしくない。下家も役牌大事にしていそうな捨牌だから難しいけど。
宣言牌のスジのカン3sは2sが先に打たれているからやや可能性は低いと思う。
「NAGA」のように打發でも普通の場面。東発でリスクを負って加点しにいくか、がっちりガードに入るかはスタイルの違いだと思う。
6pを打った「Suphx」に対して、「NAGA」は打7sのテンパイ外しを推奨。
これも「Suphx」の特徴の1つだ。将来的に危険度が激高になる456の余剰牌を極力持たない。
3456という超強い四連形を活かしつつ好形変化をみる「NAGA」の選択も理解できるし、これは好みの世界だと思う。赤なしドラなしのこの手は「Suphx」にとってはテンパイを外してまで好形を作りに行くのは微妙という判断なのではないか。
次局はノーチェックでフィニッシュ。
さらにリードを広げ5万点台のトップ目となった「Suphx」。打中とした場面で「NAGA」から打9pじゃね?と指摘が入る。
「Suphx」の生牌字牌切りは以前にも触れたところだ。中は危険牌だから、ターツ不足なら9p残しのほうが価値があるという判断だ。
3pを切った「Suphx」に対し、發を推奨する「NAGA」。この局はかなり意見が分かれている。
和了確率4.9%。もう少しアガリをみたい「NAGA」と、どうでもよい手牌でわずかなリスクも負いたくない「Suphx」。安全度の高い1枚切れ以上の字牌をホールドしつつ、3pを切り両面固定。ドラを引いたり、赤5mや赤5sを引いたときだけ押し返せるようにしておく。「Suphx」はアガリの価値が低く、スピード感がないときの手組が本当にうまいと思う。
2mは将来下家に通らなくなる可能性があるので、一早く処理。9pは両脇の現物かつ、対面のタンヤオ風仕掛けに当たりにくい牌だ。
「Suphx」は打9mを選択。ド終盤の数巡でリスクのある牌を切らずに済むように先にわずかなリスクを負っておくというところか。終局までのゲームメイクが秀逸である。
次局、この場面で5mを引いて「Suphx」は打8mを選択。「NAGA」の推奨は1s。ピンクのゲージを見る限り微差という判断だ。
こういう形でヘッドレスに受けるか、雀頭候補を残すかは永遠のテーマ。受け入れが広いのはヘッドレスに受ける1s切りだけど、テンパイ時に即リーを打ちにくい単騎待ちになる可能性がそこそこある。テンパイ効率ではなく即リー効率も重要な要素だ。
しかも大幅リードのこの局面はそのままでもすでにトップをとれる確率が高いし、2着目の親番をつぶしてダマで2000点アガるだけで相当な価値がある。
「Suphx」は無用なめくり合いを嫌う。ダマピンフ狙いで8mを切ったのではないだろうか。
素直に手を組むのなら白だが、安全度の高い1枚切れの白を保有しながら、打2sでなるべくスリムにするのが「Suphx」流。
白が生牌だったら、危険牌という認識なので白を切ったかもしれない。
アガリが遠い手でブクブクにしない「Suphx」と、最序盤はあまり深く守備を考えず、發トイツ+2者の現物の9sがあるからまあ何とかなるでしょと考えている「NAGA」。
対面から「發」が出た。「Suphx」はポン!
あれー守備寄りに打ってたんじゃないの??これは正直意外だった。
完全安全牌がなくなった「Suphx」。ここで8m打ち。
7mが3枚みえていてワンチャンス。対面は7m打ちが早い&上家は9mを先に切っていてカン8mの可能性が下がっているので、8mは安全度の高い牌。自分が2枚持っているのでシャンポンに当たる確率も減っている。
これはどちらでもいいかな。
チャンタ系がみえる手牌だけど、チャンタを狙うとかなり受け入れが狭くなる。「NAGA」は東や中を重ねて、鳴いていく構想。「Suphx」は自分が重ねるよりも危険度のほうが高いという認識。東は生牌の字牌かつダブ東なので早めに処理。これは微差の範囲。
下家から西が出て「Suphx」はポン!ここはアガリが十分に狙えそうなので、がんばろうというところか。供託があるのも大きい。
「NAGA」はスルー寄りという判断。他に雀頭がないので、ポンをすると不安定な形になる。
ポンして中を切った「Suphx」。自分に不要なドラなら早めに切るという「Suphx」の未来のリスク管理だ。ここは打点ではなく速度が欲しい場面。
「Suphx」の早アガリ戦略は無常にも対面の親リーチによって粉砕される。安全牌なし。「Suphx」はスジの9sを選択したが、「NAGA」は8mかな~と言っている。
オリの思考にも違いがみられる。安全牌ゼロの時の判断は2通りある。強者の中でも思考が分かれるところだ。
①この瞬間に一番安全度の高い牌を切る
②1枚通ったら複数枚通せる牌を切る
スタイルによっても違うけど、局面によって使い分けないと、思わぬ痛手を食うことがあるので注意が必要である。
リーチの河をみると端牌から切り出し徐々に内側の牌が切られている普通の捨牌である。97mとカンチャンを嫌っていることから、もっといい待ちが残っているか、ドラや赤が絡んでいるか。この瞬間一番当たりにくいのは9sだ。
まだ7スジしか通っておらず、8mは無筋とはいえ特別危険な牌ではない。2巡通せることのメリットに加え、最低限形を維持できるので、復活の未来もある。
8mは2巡前に下家から切られ安全度の高い牌。3mは今確実に通る牌。「Suphx」は次巡以降に3mが下家にロンされないように3mから切る。「NAGA」は3mを下家にチーされないように8mを切る。その違いだと思う。
まあ下家はほぼオリていると思うので、ここは微差かな。
下家がオリていない状況であれば、チーケアをして極力テンパイを入れさせない工夫が必要になってくるので難しい。
「Suphx」は白、「NAGA」は中。
もう分かるよね。「Suphx」は生牌の字牌から切る!
トップ目で形は悪くないけど、先手を取れるかは微妙なところ。安全度の高い中を抑えつつ、ペン3sよりも5sのくっつきを重視する。打点のあまりない手で苦しい形を極力残さないのも「Suphx」流だ。
「Suphx」の守備意識。全員に危険になりえる3pを先にリリースし、雀頭候補となる攻守兼用の9sをホールド。
ドラドラでテンパイ!「NAGA」は当然のようにリーチを推奨するが、「Suphx」はダマ。
リーチした瞬間に僅差でラス目争いの両脇が引く可能性があり、親との一騎打ちになるかもしれない。
「NAGA」の選択も普通だが、「Suphx」は近いうちに飛んでくるであろう親リーを警戒し、そのときにドラの7pと1枚切れの中ではかなり苦しいと踏んでいるのだと思う。2~3巡先を見据えてのダマ。そのまま中出アガリできればそれはそれでいいしね。7pツモも最高だし。
少し時間がかかりそうな手牌で安易に字牌を切らない「Suphx」。
ここは南でも北でもよい気がする。
「NAGA」はこの手を出来ればアガリたいので粘りの中を推奨。「Suphx」はそのリスクすら負わずに現物の9sを打った。
後手を踏みそうなら事前にリスク回避を行い、後手を踏んだら決して無理しないのが「Suphx」の生きざまだ。
中はほとんど当たらないけど、たまに当たることもある。当たって8000とか言われると一気にトップが遠くなってしまう。この手をアガリ切るためには結局5sを打たなければいけないし、追いついてなおかつアガるのはかなり大変だ。
対面がオリていそうなので、微差だと思う。
下家もいったん中のトイツ落としで回ったが、8pをチーして粘りこんでくる可能性はあるので警戒は怠らない。
この局はノーチェック。対面の「ちありく」選手が上家を飛ばしてしまい、この局でゲームエンド。2戦連続で東場終了となりました。対面何してくれとんねん。笑
「Suphx」の大幅リードの時間が長く、フラットの局面やビハインドでどう打つかまでは今回は見られませんでした。機会があればそういう牌譜も調べてみたいと思います!
でも「Suphx」の基本フォームは何となくお伝えできたかなと思います。とにかく”未来のリスク管理”が上手です。「NAGA」は”現在の情報の中で最善手を選択する”のが上手。どちらも強いですが、一般的に真似しやすいのは「NAGA」だと思います。
「Suphx」の麻雀は難しい…。
NAGA解析を活用しようか迷っている方へ
たま子さんが素敵な記事を書いていらっしゃったので紹介します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事を書こうと思ったきっかけは「NAGA」が唯一の正解ではなく、同じく最強AIの「Suphx」とも全然選択が違うよ。結果を出すための一つの戦い方に過ぎないよ。ということを伝えたかったからです。
もしかしたら「NAGA」解析をもとに、ここはこっちのほうがよい。これじゃダメだと言う方が出てくるかもしれませんが、麻雀は決してそういうゲームではありません。人それぞれいろいろな戦い方があっていいし、結果の出し方も人それぞれです。
強い人の間で二分、三分されるような何切る問題はそれぞれのメリット・デメリットを理解していれば。だいたいどれを切っても大差ないと思っています。なので自分がマイノリティであっても過度に気にする必要はありません。
「NAGA」は自分がアガることに対してものすごく貪欲であり、押し引きやリーチ判断・鳴き判断もスタンダードです。そういう意味では真似しやすいし、変な癖もつきにくいかと思っています。
大切なのは「NAGA」と選択が異なる部分を自分の中で腹落ちさせて、自分の麻雀に取りこむかどうかを決めることです。自分がどうしたいかかが大事!
また機会があれば麻雀のこと書きます!
おしまい