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ガ行鼻濁音

日本歌曲を歌う時、これでつまずく人もいる…かも?注意されたことある方多いはず、鼻濁音。

私の苦労と困惑を誰かと分かち合いたくてガ行鼻濁音について書いてみます。


私は鼻濁音という概念がそもそもない福岡で育ったので、所属していた合唱団で初めて「鼻濁音」という言葉を聞いた時、うまく脳内で漢字変換できずに、「ビダコーン?なんじゃそりゃ」と思ったことを覚えています…

(後から意味を知るわけですが、これが日本歌曲をやる上では欠かせないものだったのです。)


鼻濁音も地方によって様々で、東北出身の友人はガ行はすべて鼻濁音になっていたりしますが、東京方言では一定の条件のものが鼻濁音になります。九州では全くみられないそうな。

大学生になってたくさん日本歌曲を勉強するようになり、ここは鼻濁音よ、それだと鼻濁音になっていないわよ、この場合は鼻濁音にしないわねえ、とか色々言われて困り果てた私は、ようやく自分でその「一定の条件」というものを調べ始めました。


以下、私が修士論文で書いた鼻濁音の項目から抜粋します!

"そもそも鼻濁音とは、日本語で濁音の子音(有声破裂音)を発音するときに鼻に音を抜くものを言い、どぎつい感じをなくし、柔らかい印象を人に与えるものである。音声上はま行子音やな行子音と同じ鼻音であり、ガ行子音における鼻濁音(ガ行鼻濁音)ならば、軟口蓋鼻音[ŋ]である。"


というわけでどのような場合にガ行が鼻濁音になるのかも、論文を見直しつつ書いてみます!
以下、鼻濁音になる場合は「カ゜」とします。

一、「学校」などのようにことばの第一音節にくるものはすべてガ行

二、「音楽」「道具」などのように第二音節以下に来るとカ゜行

しかし例外がある

三、助詞の「が」はカ゜行で、副助詞の「くらい」が濁った「ぐらい」や接尾語の「ごと」などもカ゜行

四、複合語は、その語同士の密接度によって異なる
音楽学校は「音楽」と「学校」が意味上分けられる語であるため、「オンカ゜クガッコウ」となるが、小学校は分かち難いと考えられるため、「ショウカ゜ッコウ」になる
(ここらへんで私は一度、キー!となりました)

五、元はカ行清音であったものが複合語となって濁音ガ行になる場合はすべてカ゜行になる
製薬会社(セイヤクカ゜イシャ)、天然氷(テンネンコ゜オリ)など

六、フィギュアや窓ガラスのような外来語や外国語のガ行はカ゜行にはならないが、イギリスやオルガンなど、日本語になって長いことばは鼻濁音化されることもある
なんじゃそれ!曖昧!
またエアガン、タンゴなどのように元の外国語が「ング/〜ン」となる場合は、外来語でもカ゜行発音

七、数字の五はガ行だが、数としての意味が薄れているものはカ゜行
十五夜や七五三、大五郎など

八、ガンガン、ゴツゴツなどの擬音語はガ行となる
(これについては、論文を読んだとある声楽科の先生から、必ずしもそうではないんじゃない?と言われたのですが、私は体感として知らないし調べた結果こうだったので、とりあえずこのままで…)

九、お元気、お行儀などの軽い接頭辞の「お」の後はガ行だが、お髪など分かち難い一語と考えられるものはカ゜行



以上が私が一生懸命本を読んで調べた、東京方言の鼻濁音のルールです!

が!!!

ある時合唱の練習をしていたら、「はがれる」という言葉が出てきまして、
ルールに則って考えたらこれは「ハカ゜レル」ですよね?

ですがこの時神奈川出身のベテランの合唱指導の先生が、少し考えて、「うーん、はがれるは、ガだな」って言ったんです…

私は訳が分からなくなって、自分の歌の師匠にも「はがれる」は「ハガレル」ですか?「ハカ゜レル」ですか?と尋ねたのですが、師匠も「うーん、ガ、かな」と言ったんです!ちなみに師匠も神奈川のご出身

もしかして東京、神奈川間での方言の差による違いなのか、もともと伝統的な鼻濁音を身につけている地域の人たちがもつ、ことばのニュアンスに関係する暗黙のルールなのか?とか色々考えたのですが…

言葉ってやっぱり日常的に使っていくなかで変化するし全てのものをルールに当てはめることは無理なんでしょうね。


「はがれる」のような例はきっと無数にあるのでしょう…
そもそも鼻濁音をうまく発音できていない時がいまだにあって、悔しい思いをしながら、今後も私と鼻濁音との戦いは続きます。



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