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コーヒーは歴史と品種で選ぶ?

コーヒーは好きで毎日飲むけど、品種や産地など結局なにがなんだかよく分からないという方が多いと思います。僕もコーヒーを飲み始めて興味がわき、勉強してみようかなとコーヒーの本を開いてみました。すると世界地図が出てきて産地を覚えさせられるのですが、産地を見てコーヒーを飲んでみてもさっぱり、、、。産地名とざっくりした味の概要の羅列が多く、結局明確な差異はさっぱり。。。世界史と同じくやはり時系列で流れを追わないと、点と点の知識が線としてつながらない。産地以前に歴史や品種を知らないと理解するのはむずかしいですよね。

コーヒーの起源はエチオピア

氷河期以前、アフリカ大陸にはエチオピアを中心としてコーヒーの木がたくさんありました。アフリカ大陸東側にはプレートとプレートの境界(グレートリフトヴァレー)があり、地殻マントルの上昇により形成された山脈があります。コーヒーの木は寒さに弱く、標高の高い場所にはありませんでしたが、一部がこの厳しい寒さの高原地帯エチオピアのカッファにも適応して自生するようになりました。氷河期が訪れてほとんどの木が死滅してしまいましたが、この標高の高いカッファにあった耐寒性に優れた木は生き残ります。これが現在残っているコーヒーのアラビカ原種です。
時が流れて氷河期も終わり。人間がウッホウッホと山登りをしたところ、コーヒーの木を見つけました。食べてみたら甘いのでエチオピアの標高の低い場所に移植させました。その後、ほとんど種で果肉が少なく生食としては食べづらいので煮てみたり焼いてみたりするうちにいい感じの香りがすることがわかって、しかも結構クセになるのでイスラムの瞑想や眠気覚ましとして使い始めました。

以下近代のコーヒーの世界分布経路の簡単まとめです↓

1600年後半、世界最初の株式会社オランダ東インド会社が経済価値を見出し、インドネシアのジャワ島に移植。
1700年はじめ、ジャワ島の木はオランダによりルイ14世のいるフランスに寄贈。ルイ14世はフランス領のブルボン島に木を移植。この時に突然変異のブルボンが誕生。これが大人気になり中米にも移植。さらにフランスは、ラムでも人気のマルティニーク島にエチオピア原種のティピカを植樹。
1927年、遺伝子的には交配できないはずのアラビカ原種とロブスタ種(香りに乏しく人気がない・比較的耐病性がある・安価な缶コーヒー向け)の両方の特性を持つ品種がジャワ島近くのティモール島で発見され、ティモールハイブリットと命名。
1935年、ケニアのスコット研究所による選抜によって乾燥耐性のあるSL品種が開発。
1959年、人気のブルボンの一種カトゥーラとティモールハイブリッドを交配させたさび病に強いカティモールが誕生。

コーヒーに限らず、植物も動物も進化の中で突然変異が起こることは珍しいことではありません。必然と偶然の結果で今日に至ってるんですね。ざっくりコーヒーの歴史を振り返ったところで、店頭で手に入りやすい品種の特徴をまとめてみました。

エアルーム(エチオピア原種)
エチオピア原種は種類が膨大で(その数なんと1000以上!)複雑で解明されていないことが多いので、総称でエアルーム(意:先祖伝来の家宝)と呼んだりします。栽培が難しく希少価値も高いのですが、やはりキングオブコーヒー。トロピカルフルーツ系の香りが華やかですっきりとした後味。
ブルボン(突然変異種)
バランスがよく後味が下舌に残るので後味に甘味を感じる。万人ウケしやすい優等生で世界中に広まった。
ティモールハイブリッド、カティモール(交配品種)
 さび病に強く密集栽培が可能で収量も多い。風味少ないのが課題。
SL
ケニア発祥で乾燥耐性がある品種。ベリー系の香りが特徴。

これら以外にもコーヒーの品種は多彩で、一つ一つ原種やルーツを追っていくと特徴をとらえやすくなります。
産地や精製方法(ウォッシュ、ハニー、ナチュラル)、焙煎でも味わいは変わっていきますので、非常に奥の深い飲み物です。