見出し画像

はんなり???!!!着付師物語 第4章❶未来帰国

未来は、1年半のアメリカ生活を終えて、帰国した。けれど満喫したかというとそうではなかった。だから未来は、また再びアメリカに訪れることを自分自身の中で誓った。

帰国した未来は、当然留年するものと思っていたけれど、何故か元々同学年の子達と同じ歳に高校を卒業することになっていた。
そこはやはり、父親が何らかの手を回したに違いない。私学とはいえ、そんなことが出来たのは、未来の父親は、力を持っているだけではなくコネクションも相当にあったのだろう。
人に言えないぐらいの未来の問題行動も、表に露呈しないように尻拭いをしてくれていた。
それは、未来のためというよりは、実業家の父の名を汚すような問題を揉み消すためであり、同時に自分の娘が他人に迷惑をかけたという事実に対しての親としての責任の取り方だった。
だから、内情を知らない他人から見れば、未来は、アメリカに留学して帰国し、私学のお嬢様高校に通う金持ちの子女らしい娘さんというレッテルだっただろう。

未来の卒業を控えた年のある日、未来、妹、弟3人が父親から呼び出された。
3人が揃って、父親からあらたまった形で話をされたことはこれが初めてだった。未来以外の二人は、ものすごく緊張していた。
父親は、3人の顔をまじまじと見て押し黙っている。一層、二人は緊張していた。未来は、一番上なので、代表して口を開いた。
「お父さん、何なん?改まっちゃって。」
父親は徐にファイルを取り出し、数字の書き込まれた用紙を未来に見せた。
「そこに書かれてるのは、未来、お前が不祥事を起こしたり、人様に迷惑をかけた時、俺がその尻拭いのために使ってきた金だ。その使途が詳細に書かれている。」
未来は、手に取って隅から隅まで目を通した。
そこには、未来が怪我をさせた相手へのお見舞金、マスコミに対しての口止め料、アメリカ滞在中のトムへのお礼金、その他絶対人には言えないような使途金も含めて詳細に書かれていた。
「あっ!!トムの新車!!あれお父さんが買ったげたんだ。やっぱりね。トムがあんな高級車、自分で買うわけないもんね。今までに使ったお金って、、うわ!合計で3,700万円も?」
父親は、あっけらかんとしている未来を睨みつけた後、微笑みながら妹と弟の方を向いた。
「お前ら二人は、品行方正に他人様に迷惑かけることもなく育ってくれてるから、お父さんは今まで、生活や学校に関わるお金以外ほとんど使ってない。これでは、同じうちの子として不公平だろ?勉強もせず、好き勝手やってきたお姉ちゃんだけにこんなにお父さんの金を使ってきたんだ。だから、今日は、二人に特別ボーナスをやるために呼び出したんだ。」
父親は、そばに置いてあったアタッシュケースをテーブルの上にどんと置いてロックを開けた。何とそこには、現金の束が綺麗に並んでいた。
そして、そこから37束ずつ妹と弟の前に積んだ。
「さあ、未来に使った金額と同額をお前たちにやる。好きに使いなさい。」
3人は、豆鉄砲を喰らったように瞬き出来ずにお金の束を凝視していた。
妹がまず笑顔でくったくなくお礼を言って受け取った。「お父さんありがとう。じゃあ遠慮なくいただきます。」
弟は、まだまだあどけない中学生だったから、大金を目の前にして途方に暮れていた。そして、奥の部屋にいた母親を呼びに行った。
母親が出てきて、テーブルに置かれた大金を見て、「あらあら現金をもらったのね。じゃあ、それぞれ、通帳を作りに行きましょうね。」と言っただけで、さほど驚いてもいなかった。昔から金銭感覚が普通ではない人ではあるけれどあまりに天然な反応で、未来はそこに対して驚いた。
「じゃあ解散!!」父親の一言でその集会は終わり、それぞれ自分の部屋に戻って行った。

未来は、部屋のベッドに寝っ転がって、ぶつぶつと独り言を呟きながら頭の整理をしている。
「3700万円か、、、ああやってまとめてみるとすごい大金だったな。お父さんがあんなに私のために使ったのは事実だろうけど、私はそのお金の恩恵は受けてないよね。好きなもんを1つでも買ったわけじゃないし。なんか損してるよね、、、、
妹と弟は何もせずに学校真面目に行ってただけで、あのお金を手に入れたんだから得だよね。
やっぱり真面目にちゃんと生きてるとあんな棚ぼた的なご褒美があるってことか。
じゃ、私も一度真面目にちゃんと学校行って、勉強してみるのも悪くないかも、、」
少し人とは違う方向性と方法で未来は反省し、自分の生き方を見直し変化することをこの時決めたのだ。
それにしても、未来の父親の我が子を更生させようとするやり方はダイナミックだ。
それももちろん甲斐性があるからこそだけれど、こんな大胆な子育てをやってのける父親の並外れた采配には、未来は尊敬の念を抱いている。
だからこそ、未来は人とはちがうやり方、考え方を持って突き進んでいける基礎を自身にしっかりと携えているのだ。



続き⬇️




サイトマップhttps://note.com/chiaki1969128/n/ne64aca01f2a4


プロフィールhttps://note.com/chiaki1969128/n/n0ecbec30364a



わんこの母ちゃんhttps://note.com/chiaki1969128/n/n7ebefc488f6a


プロフィールhttps://note.com/chiaki1969128/n/n0ecbec30364a


YouTube KAZENOチャンネル

チャンネル登録、高評価お願いします🤲

https://www.youtube.com/channel/UC7zjNrl37V2sG-zvc5H9_pw


HP

女流作家 風乃音羽


LINE公式アカウント

https://lin.ee/CfOrKzU


note URL

https://note.com/chiaki1969128


よろしくお願いします。いただいたサポート費用はクリエイターとして、レベルアップするための活動に役立てるようにいたします。ありがとうございます🥰