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ストーリー創作・・短編小説を書くために読む・・オープニングラインについて-1

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

「短編小説の名手」オー・ヘンリーの青空文庫にアップされている
5作品のオープニングラインを検討してみました。


オープニングラインがストーリーの舞台になる場所の描写からはじまる短編小説


『水車のある教会』

奇妙で神秘的な舞台となる村レイクランヅ」の描写からはじまります。
汽車が迷ってしまうほどのところです。
おまけに「レイク」と冠をつけていますが、湖水はありません。
さらに「イーグル・ハウス」という万事古風でうつちゃらかしでも部屋はきれいで食事もいいからのんきで面白い、自分の家にいるようで必要以上の保養にくる常連客ばかりの宿泊療養施設があります。
さらに、「合衆国唯一の水車のかゝつた教会であり、又、会衆席とパイプオルガンとを備へた世界唯一の水車小屋」があります。

『最後の一枚の葉』

奇妙で古いグリニッチ・ヴィレッジの描写からはじまります。
このストーリーは、芸術家たちが集まり、

北向きの窓と十八世紀の切り妻とオランダ風の屋根裏部屋と安い賃貸料を探してうろついたのです。やがて、彼らはしろめ製のマグやこんろ付き卓上なべを一、二個、六番街から持ち込み、「コロニー」を形成することになりました。

このコロニーを舞台に繰り広げられるストーリーです。


この2つの作品は、「場所」にストーリーに欠かせない重要な要素を含んでいます。【うん、ほんまやで】

また、この2つの作品も、「タイトル」とストーリーが絡まり、
この場所でなければストーリーが成立しません。

このような短篇小説は、ストーリーの舞台になる場所の描写からはじまります、

カズオ・イシグロ(著)の『夜想曲集』では、

『老歌手』の冒頭と、『降っても晴れても』の冒頭の違いを見ることができます。
『老歌手』の舞台は、「ベネチア」でなくてはなりません。
したがって、オープニングラインはストーリーの舞台になる場所の描写になります。
一方、『降っても晴れても』は、舞台が別に「ロンドン」である必要はありませんから、ストーリーの舞台になる場所の描写からははじまりません。


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