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僕の愛するレコード達。Vol.1『Aftermath』by The Rolling Stones

こんにちは、ロンドン在住のユウヤです。
僕はレコード収集が趣味なので、休みの日に外に出かけるといえばレコードショップ、家にいるときはお酒を飲みながらレコード鑑賞というレコードを中心とした生活を日々過ごしています。周りの人にはよく「そんなに買う必要があるの?」だとか、「そんなに持ってたら全部聴いていないでしょ」とか言われるのですが・・・・全部ちゃんと聴いてますし、買う必要もあります!!!世の中は沢山のいい音楽で溢れているのですから。

何故CDでもなくデジタル配信でもなくレコードで集めているのかともよく尋ねられるのですが、言ってしまえば、CDを手に取るよりも、音源をダウンロードするよりも、レコードを手に取った時のほうが気分が盛り上がるっていうそれだけのような気がします。もちろんデジタルとの再生できる音域の違いや、保存状態や刷られた年代などから生じる音質の差、レコードジャケットの劣化具合など、デジタル配信では起きえない独特の楽しみ方もあります。スピーカーに繋げなくても針でなぞるだけで実際にレコードから音がでるっていうのも僕の気分を盛り上げている理由の一つです。これによりレコードを聴くのとCD、ダウンロードで聴くのでは、アコースティックピアノを聴いた時と電気ピアノを聴いたときの気分の違いくらいの差があります。

またレコードといえば、レコードをターンテーブルに乗せる作業や裏返す手間、保存状態によっては音飛びやノイズも入ることがある、量が増えてくると場所をとる、収納スペースが必要になってくるなどの問題点があるのですが、手間がかかる子ほど可愛いという言葉もあるように、そんな所も僕がレコードが好きな理由でもあります。

そんなレコードを愛してやまない僕ですが、この度はそんな僕が大好きなレコードを多くの人により聴いてもらいたい、少しでも良さを共有したいという気持ちを抑えれなくなり、連載ブログを始めさせていただくことになりました。テーマは「UK」ということにして、UKのバンド/アーティストを始め、UKで録音された物や、UK盤などを中心に紹介していきたいと思います。

記念すべき第一回では、夏が終わり涼しくなってきたこの時期になると聴きたくなる僕の大好きなアルバム!!
Aftermath(アフターマス) by The Rolling Stones

Aftermath by The Rolling Stones
Aftermath by The Rolling Stones

1966年。ロンドンではスウィンギング・ロンドン真っ最中!音楽や文化などの分野では革命的な変化が起こっており、盛り上がりの絶頂ともいえるこの時期に、このアルバムは発売されました。日本でもビートルズの伝説の武道館公演、ウルトラマン誕生!、日本初のコインランドリーが東京に出来るなど、進化の真っただ中です。

ローリングストーンズはというと、1964年に一枚目のスタジオアルバムを発表して以降、イギリス国外でビートルズと並ぶ人気を獲得。優等生ビートルズのライバルの不良バンドとして、まさにロンドンの音楽界の中心のバンドの一つ!そんな時期かと思います。そんなローリングストーンズが発表したこのアルバムの一番着眼するべき点は、収録曲が全曲ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作詞作曲された最初のアルバムだという点です。それまでも超有名曲Satisfactionなどの自作曲は作っていましたが、もともとアメリカのブルースやロックンロールを演奏したくて結成されていた彼らのアルバムは彼らの大好きな曲のカヴァーを中心に構成されていました。そんな中、「もうそろそろ僕たちも、あれくらいのカッコいい曲がつくれるんじゃないか」と思って作ったアルバムが、このアフターマスなのではないかという印象を受けます。演奏面でもブライアン・ジョーンズがありとあらゆる楽器を演奏することにより、アルバム全体を通してこれまでにはなかった多彩な音のバリエーションのある内容となっております。

当時はアルバムが発表されるとステレオ盤とモノラル盤が発売されるのが主流であり、US盤とUK盤では曲順や収録曲、アルバムジャケットまでも変わってきます。僕は今のところUK盤のステレオとモノラルを所有しています。

Aftermath ステレオ盤
Aftermath モノラル盤

聴き比べると、モノラル盤の方が音が散らばっていない分、音が前に出ている気がします。ステレオ盤は音が散らばっている分、全体的に広がりを感じます。個人的な好みですが、僕はこの手の音楽に広がりはあまり求めていないので、モノラル盤のスピーカーから音が飛び出してくる感じの方が好みです。とは言ってもどっちも聴かなければ2つも持ってる意味がないので、1人で音楽を楽しみたい時や音楽好きの友達と黙って音楽鑑賞をする時はモノラル、人とお喋りしながら流すときはステレオと使い分けています。是非、機会があれば聞き比べてみてください。

US盤は持っていないのですが、US盤には代表曲『Paint It Black(邦題:黒くぬれ!)』が収録されておりますが、UK盤と比べると曲数が3曲少ないです。UK盤の方がお得に感じますね。しかしUS盤はアルバムジャケットがカッコいいので、現在僕が探し求めているレコードの1つです。

個人的な注目曲を3曲紹介させていただくと 4曲目の『Under My Thumb』、この曲は今でもライブの定番曲です。ビル・ワイマンのファズがかかったベース、ブライアン・ジョーンズのマリンバなどによって怪しさ満載の雰囲気が漂っています。歌詞の内容にも注目です。それまでのロック/ポップの歌詞と言えば、「I love you(愛してるよ)」だとか「Please hold me tight(お願い、強く抱きしめて)」だとか、なんか貧弱で繊細な内容の歌詞を歌ったものばかり。しかしローリング・ストーンズは「Under My Thumb!!(お前は俺の言いなりだ!!)」とかなり強気です。他の収録曲にもその強気な姿勢は反映されておりますので、他の曲も歌詞を読んでみると面白いと思います。

6曲目の『Goin' Home』はストーンズのお決まりのブルース曲!!と思いきや、途中からだんだんとお色気満載の雰囲気に。こういう曲を聴くと「やっぱりこの頃のローリング・ストーンズの色気は抜群だなぁ」と感心します。前に読んだ昔のインタビュー記事でミック・ジャガーが「最近でてきたドアーズってバンドが新しいロックの形だと言われたりしているけど、あんなの何年か前に俺はやってた」と言っておりましたが、きっとこの曲のことでしょう。

9曲目の『Out of Time』はこのアルバムの中では一番ポップな作品だと思います。イントロやサビなど、頭からなかなか離れない中毒性のあるフレーズが印象的です。この曲はイギリス人シンガー、クリス・ファーロウによってもカヴァーされており、UKシングルチャートで1位をとっています。ちなみにカバーバージョンの方のギターは後にレッドツェッペリンを結成するジミーペイジが弾いています。


アルバム全体の印象は派手な曲こそあまり無いものの、60年代独特の硬派なローリングストーンズサウンドが楽しめる最高のアルバムという印象です。また一般的にローリングストーンズ黄金期とされているのは、このアルバム以降の時期になりますが、初期のローリングストーンズの集大成/最高傑作といいうのが、この『アフターマス』だと思いますので、是非聴いてほしいです。できればレコードで。。。

記事を書いたひと

ユウヤ
イーストロンドン在住
レコード収集とお酒が趣味