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おじさんはスパイスカレーを作りたがる

先月35歳になった。
どこからどう見ても、何をどうしたって。
わたしはおじさんである。

そんな私が今1番興味がある料理。
それが「スパイスカレー」だ。

これを読んでいるあなたのタイムラインにも、いわゆる欧風カレーとは違う、シャバシャバだったり、カラフルだったり、さまざまなカレーの写真をアップしては、やれ「コリアンダーの量が少なかった」だとか、「カイエンペッパーの量はこれくらいが好みだ」とか、呟いているスパイスカレーおじさんが1人はいることと思う。

私も20代のときに、そういうおじさんが周りに何人かいた事を、今でもよく覚えている。

若い時は特に興味がなかったはずなのに、35歳になった今、猛烈にスパイスカレーを作りたいと思うこの気持ちは何だろう。

なぜおじさんはスパイスカレーを作りたがるのか

考えてみて欲しい。
あなたはスパイスカレーを作りたがっているおばさんを見たことがあるだろうか?

答えはNOだ。

おばさんがスパイスカレーを作らないのは
・普段から料理をする機会が多い
・スパイスカレー以外の他にも、奥深い料理を知っている
・自然と料理に関する探究を続けているから
と考えることができる。

つまり、普段そこまで自発的に料理を作るタイプではないおじさんが、奥深い料理をイメージしたとき、真っ先に思い浮かぶ料理、それがスパイスカレーなのだ。

スパイスがもたらす「ワンチャンいけるかも」感

おじさんになると、日常の生活の中で危険な橋を渡ることはもうない。おじさんはできるだけ無難に、誰の目にもとまらないようにひっそりと生きていかなければならない。

それがおじさんとしてのマナーである。

そんな退屈なおじさんの日常に、唯一刺激を与えてくれるアイテムがスパイスカレーなのだ。

スパイスカレー作りにおいて、基本のスパイスはあれど、さまざまなスパイスを自分なりに配合して、完成形を目指すわけだが…。

この「配合」と言う言葉も、おじさんにとっては堪らない行為のひとつである。

スパイスという無限の可能性の中で「もしかしたら奇跡の配合でめちゃくちゃうまいスパイスカレー作れちゃうかも」という、「ワンチャンいけるかも」という感覚。

スパイスカレーは普段日陰でひっそりと暮らしているおじさんが、唯一輝く可能性を秘めたステージ、いわばオーディション会場なのだ。

おじさんにとって、スパイスカレーとはそういうものだ。

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