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学校という場所

「何で学校に行かなきゃいかんの?」

子供から投げかけられたこの疑問。子供が納得できる答えを持っている大人がどれだけいるのだろう。

小学校6年間、どちらかと言えば優等生側の子供だった息子くん。

中学校1年生ですぐにコロナによる休校。

それでも、最初の1週間は新しい環境で頑張っていた。

ところが、熱を出して1週間ほど休んでから、そのワクワクはみるみる萎んでしまった。

原因は、熱を出した=コロナじゃないかという疑いの目。それから、出遅れてしまった新しいコミュニティ形成。期待していた環境への失望。

それまで仲良くしていた子に冷たく当たられ、ぽつんとひとり。話しかけても「話しかけるな」とすら言われる。

そして、教科書や机に落書きをされ…。

不安とストレスで、記憶力はない、人の話が頭に入らない、食欲はなく夜も眠れない。教室に入れなくなって、考えただけで涙を零す。

学校にも相談した。先生が見守るという対処もしてくれた。クラスの中で連絡を取り合う友達も出来た。他のクラスになった幼なじみが、毎朝迎えに来てくれた。最初はどうにかなると思った。

ところが、しばらく経って。学校側から言われた言葉は、「お子さんの周りを見てましたが、特に何もありませんでした。ご自分で書いたのではないかと、お子さんに聞きました」

自分で?バカって、死ねって書くの?
そんな言葉を、親に相談する前に子供に言っちゃったの??

腹立たしくて、悔しくて、学校という場所を諦めたきっかけは間違いなくこの言葉だった。

思春期外来に通い、初日の診察の時にこの話をした。

医師は、はっきりと「有り得ない!」と言い切ってくれた。一緒に怒ってくれた。

カウンセリングを受け、給食の時間は行こう。学習はオンラインで、テストは受ける。教室は行けそうなら行こう。土日は部活に行こう。得意を伸ばそう。子供と話し合って決めた。

学校は行かないといけない場所と思わなくなってからの息子は、目に見えて元気になった。

食欲も睡眠も、息子らしさも戻ってきた。

教室には入れなくても、体育大会の徒競走も部活の試合にも参加した。休みの日には部活に行って、友達と遊ぶ約束をして帰ってくる。

これで良いんだと思う反面、これで良かったのかとも考える。

「何で学校に行かなきゃいかんの?」

ごめんけど、オカンにもわからんわ。


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