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魅力発掘プロデュース~なにかに夢中になっている人を発掘し、観光ガイドにコンバート~

魅力発掘プロデュースとは?
 
魅力発掘プロデュースとは、「地域に埋もれた資源を掘り起こして、その魅力を引き出し(観光商品化を経て)発信し、訪れる側にも、迎え入れる側にも、以前より少しでも幸せになってもらうための実践的行為」で、地域の観光振興を進めるにあたり、最も力を入れたい行いです。この章では、「発掘した地域資源」を「商品化」にする段階、つまり「プロデュース」面について、現在そのエリアに住んでいる「ひと」を地域資源とした考え方について記します。
 


地域資源としての「ひと」の存在


 
地域資源というと、その地域の美味しい食べ物や風光明媚な場所、お祭や伝統工芸品などが頭に浮かぶと思います。しかしその土地の「人」に注目することは少ないですよね。
一方で、地域によっては「うちは何もない所だけれど、人がいいのは自慢できる」とのたまう地域の観光推進担当者もいます。
 では、魅力発掘プロデュースとは、この自慢できるとされる「人」にフォーカスして地域資源のひとつとするのでしょうか?
 残念ながら違います。魅力発掘プロデューサーが「プロデュース」をする際に大切にしたいのは、総体としてざっくりとしている「このまちの人々」ではなく、なにかに夢中になっている「たったひとり」の「ひと」と言えます。

プロデュースのしかた


  魅力を発掘することはご自身一人でもできるのですが、その資源を活用して観光商品化するというプロデュースの段階に入ると、必ずその商品の担い手が必要になります。プロデューサー一人ではできません。
私は、これまでも各地で、この「なにかを夢中になっている人」に知己を得て、その方を主役としてユニークな体験型観光プランを二人三脚で作り、世に出してきました。役者志望や動物園のレッサーパンダloveなファン、縄文時代の貝の研究家や、果物のみならず野菜のカクテルを作って評判が高いバーテンダーなど様々なジャンルに及びますが、いずれも「その方がいなかったら実現しなかった」ことばかりです。
 ですから、大切なことは、そのような人に出会い、その価値をまずは魅力発掘プロデューサー本人が感じ、学び、交流を深め、同じ方向に向かってがんばる姿勢が必要なのです。

注目すべきは「生み出しているもの」


 
上手にすすめるコツは「その人」に注目するのではなくて、その人が「生み出しているもの」に注目するのです。
さらに、生み出されている価値を感じられるように自分の感性を磨いていくことも大切です。つまりその人(仮にAさん)の世界を共有し(その世界の住人になるイメージ)、どっぷり、その世界を堪能するようにしてください。そこで自分自身を実験台にして、Aさんの世界を知ることで、どんな楽しさ、うれしさ、ありがたさや気持ちよさなどを感じられたか、をしみじみ感じてください。
これができたら、魅力発掘プロデューサーはAさんに信頼されるパートナーになれるでしょう。
 そのうえで、以下3点を意識しながら、Aさんの力を引き出してください。

その①同じ目標を目指せるように、観光振興の効能を共有する

それぞれの人の思いを吸い上げ、旅行者側の期待を伝えプラン内容を調整、作りこみます

Aさんはご自分の好きなことには没頭しますが、それが観光振興にどう好影響を与えるかは無頓着な場合がほとんどです。ですから、一緒に組むことで観光振興が前進した結果、Aさんの手に入る価値を言葉で具体的にお伝えしましょう。何を伝えられるかは、魅力発掘プロデューサーの視野と視点と価値観に委ねられます。

その②
トライアングルハッピーを考えて企画を練ること
 その企画で幸せにすべきは3方向です。①観光客 ②地域住民 そして③Aさんです。
プロデューサーであるあなたの幸せは①②③すべてが幸せになった時に幸せ感を感じられるようになってほしいものです。

その③
テーマ×Aさんの持ち味=新しい価値を生み出す

▲地域の偉人を地元の役者が演じてガイド役を担った一夜限定のまちあるき
(2019年1月9日上演のために著者が作った脚本「うわなりうち」の一部)

 たとえばAさんは人気落語家だとします。Aさんには、その観光集客のために持ちネタではなく、その土地にちなんだ話を新しく作ってもらってください。つまりAさんにとっても新しいコンテンツ作りに挑戦してもらうのです。持ちネタをただ披露するだけか、それとも(あの人気落語家であるAさんが)わざわざこの地のためにオリジナルな話を考えてくれて披露してくれるか、そこには雲泥の差があります。多くの方は「持ちネタ」披露で満足してしまいますが、それでしたらあなたは単なるプロモーターの域を脱しません。魅力発掘プロデューサーであれば、その土地、その時ならではの新たな価値を創出していただきたいものです。

以上いかがでしたでしょうか?
地域資源を発掘して魅力を高めて世に出すことは、実は、編集者の仕事に似ています。編集者は自分が担当する雑誌や本においてそれを実現しますが、私達魅力発掘プロデューサーは、メディア等パッケージに縛られることはなく、より立体的に動的な「体験型観光」として世に出していきたいものです。

体験型観光プランのかたちをとる


一番シンプルな体験型観光プラン化は、それらの人にその研究の成果をその場で披露してもらい、その面白味などをレクチャーしてもらい、ちょっと真似をさせてもらうことです。
これが基本形です。
「Aさんが夢中になっているもの」×「その楽しみの奥深さなどのレクチャー」×「お試し」の構図は、様々なアウトプット時に活用できる基本公式です。
たとえば、Aさんの活動の舞台までを、最寄りの駅などからAさんに同行してもらい、道々レクチャーしながら歩く時間を設ければ、それはそのテーマに基づいた立派なまちあるきとなります。そして到着した後には、先ほどまでガイドをしていたAさんが、真剣な技を披露して、参加客にも試しにやらせてくれたりするわけですから、参加客の喜びはひとしおでしょう。Aさんは、そのテーマ専門のまちあるきガイドとしてデビューできる可能性が広がりますし、Aさんのような人の数だけ、違ったテーマのまちあるきが生まれます。

先に述べた①②にさらに③が実現できれば、さらに提供価値が高まり、オリジナリティあふれた企画になることでしょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
著書『まちの魅力を引き出す編集力』には実例をふんだんに盛り込んで、地域資源の発掘→観光商品化→集客のメソッドを紹介しています。


この章に関係のある内容は同書P21-24で「■観光の担い手を創出する」および、P37-40「■愛をもって「ひたすら見る」人を捜す」などに実際にあったエピソードを掲出しています。どうぞご覧ください。
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