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初心者のための天文講座~天体について その2 惑星~

ここは初心者の方に向けてお話をしています。
中には細かいところの説明を省いたりしているところが多々あります。
そこのところご了承ください。

前回は恒星についてお話ししました。
簡単に復習しましょう。

恒星とは、自らが光やエネルギーを放つ巨大なガスの塊、夜空で輝く星々や太陽が恒星の一つです。

それでは、次は惑星についてお話していこうと思います。

・惑星とは?

ひとつの恒星を中心に公転している岩石またはガス・氷などで構成される天体の事です。恒星と異なり、自らが光やエネルギーを放出することはありません。

公転という用語、前回お話ししました。ある一つの天体を円・楕円軌道で周回することですね。

それじゃ恒星を公転している天体はすべて惑星なのでしょうか。答えはNOです。
それではどういう天体が惑星とされるのか、その定義は長らく有って無いような曖昧な状態が続いていました。
そのような状態の中、天文学や観測技術が発達し、いろいろな天体の発見が相次ぎました。その中にはある一つの惑星よりも大きな天体も含まれていました。
このままじゃいろんな天体が惑星と名乗りだす危険性がある、ということで2006年に定義が提案され、424人の天文学者の投票によりこれにしようと決められました。

・惑星の定義

その定義とは以下のものになります。

「惑星」とは、
(a)太陽の周りを公転し、
(b)自身の重力が剛体力に打ち勝って静水圧平衡の形を保つのに十分な質量を持ち、
(c)軌道上から他の天体を排除している、天体である。(Wikipediaより)

何言ってるかわからないですよね。しっかり噛み砕いてみたいと思います。

「惑星」とは、
(a)太陽の周りをぐるぐる回っていて、
(b)かなり重くて球形を保っていて、
(c)太陽を周回する時に同じルートを通っている星が他にない天体
ということです。
これで少しはわかりやすくなったでしょうか。

・惑星の語源

惑星って言葉、なんだか不思議な感じですよね。

「惑」とは・・・[音]ワク [訓]まどう
心が何かにとらわれて正しい判断ができなくなる。(デジタル大辞泉より)


ますます困惑してしまいますね。
なぜこのような言葉になったかというと、英語で惑星のことを「planet」と言います。このplanetの語源はギリシア語の「Πλανήτης」という単語から来ています。・・・読めますか?読めませんよね。私は読めません。
これはプラニティスと読むそうです。発音はピィラニティスの方が近いでしょうか。意味はさまよう者・放浪者などを現します。

なぜこんな根無し草的な言葉が語源となったのでしょう。
その答えは夜空にあります。
恒星のお話の時に、


「夜空の星たちは、それぞれの位置関係は変わりませんよね。
ある時間帯はオリオン座で、1時間後にさそり座になってることはありません。」

とお話ししました。
しかし、夜空に見える惑星たちはそうではないのです。
彼らは日によってその居場所を変えます。
画像を用意しました。

火星位置20201107

これは2020年11月7日19時00分の火星の位置です。
東の空でうお座に寄り添うように存在しています。
この日は15時30分頃に東の空に昇ってきて、17時頃に輝きが見え始め、3時45分頃に西の地平に沈みます。

火星位置20211107

                     (画像はともにStellariumより)

こちらは2021年11月7日6時00分の火星の位置です。
同じ東の空ですが、おとめ座の近くに位置しており、水星と並んでいます。
この日は5時35分頃に東の空に姿を見せ、16時20分頃に西の地平に沈みます。

これを見てもわかるように、一年後であっても同じ位置にはおらず、見える時間すらも異なるのです。

まだ天文学が十分に発達していない時代、夜空の星の中に位置が一定しない星がいくつかあることに気が付きました。これらの星の不規則な動きが夜空を彷徨っているように見えたため、「Πλανήτης」・「planet」と名付けられ、日本語に訳す時に「惑う星」と表現をし、惑星と名付けられたのです。

余談ですが、日本語の惑星という言葉は1792年に誕生したもので、それ以前は「遊星」という言葉が使われていました。
明治期に学術用語の統一を図る際に東京大学系の学者が「惑星」、京都大学系の学者が「遊星」を主張しましたが、結果「惑星」に統一されることとなりました。

なぜこのような惑う動きをするのかというと、答えは距離と公転にあります。
夜空の星のほとんどを占める恒星は遥か彼方の距離に存在しています。
光の速度で何百年何千年とかかるような距離です。

しかし、惑星たちは恒星たちに比べるとほんの近い距離に存在しています。
そして、太陽の周りを公転していますので、地球から見ると太陽の向こう側にいたり、反対側にいたりと地球と他の惑星の位置関係が変化します。そのため、夜空での位置が一定していないのです。

・太陽系の惑星

ここまでお話しした惑星の定義、実はこれは太陽系の惑星にのみ適用される定義です。なので恒星の周りではなく、太陽の周りを公転という表現となっています。
もちろん太陽以外の恒星にも惑星はあります。それらはある程度の大きさを持つものを惑星としています。

太陽系という言葉、前回の最後に出てきました。今後非常によく出てくると言いましたがさっそく出てきました。覚えていますか?
太陽の周りを周回している天体群のことですね。

太陽系の惑星は全部で8個です。
太陽に近い方から水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。
このうち、地球を基準として太陽に近い方の水星・金星は内惑星と呼び、遠い方の火星・木星・土星・天王星・海王星は外惑星と呼びます。
場合によっては火星も内惑星と呼ぶことがあります。
これは英語では内惑星・外惑星に該当する言葉が各2種類あり、火星と地球の区分が変わるためです。
このことについては次項でお話しします。

・内惑星と外惑星

それでは内惑星と外惑星についてお話していきましょう。
ここは特に重要ではないです。

さきほどこの内惑星と外惑星という言葉には分け方が2種類あるとお話ししました。
分け方のひとつは地球を基準とした位置での区分で、もう一つは惑星の組成(どんな物質でできているか)での区分です。
なので地球を基準とした位置での区分では火星は外惑星で地球は区分外(地球基準なので)、惑星の組成区分では火星と地球は内惑星となります。

同じ言葉でも意味合いが2種類あるのはややこしいですね。

まずは地球を基準とした位置での分け方から。
この区分は太陽からどの順番で惑星が並んでいるかが重要となります。

水金地火木土天海冥」(もしくは水金地火木土天冥海)という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは惑星の配置を覚えるための言葉で、太陽から近い方からの惑星の順番になっています。
さあもう一度唱えましょう。水金地火木土天海冥!

あれ?っと何かに気づきませんでしたか?
先に惑星は8個と述べたのに9個あるではありませんか。冥って何、冥って!とお思いの方もいらっしゃいますでしょうか。
この冥の正体について、それはまた後日お話しします。

次にもう一つの分け方である組成での区分についてお話しします。
一番最初に惑星とは恒星を中心に公転している岩石またはガス・氷などで構成される天体とお話ししました。

この岩石系とガス・氷系の区分、これがもう一つの分け方です。
地球のように主に岩石で覆われている惑星を内惑星ガスや氷を主成分とする惑星を外惑星と呼びます。

一般的には位置による区分の方の意味で使われますが、今後この言葉が出てくる機会はあまりないかもしれません。

・まとめ

今回も相当長くなってしまいました。
最後にごくごく簡単にまとめておきます。

惑星とは太陽の周りを周っている比較的大きくて目立つ天体、ということです。

惑星については以上にしておきます。
次回は準惑星とできれば小惑星まで進めたいと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございます。
ぜひ次回もよろしくお願いします。

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