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ホーチミンで一時的に、公共の場でのマスクの着用が義務付けられた意味

新コロナウィルス対策のための義務の一環

先日、LINE@ではお知らせしましたが、ホーチミンでは、2020年3月16日から、新コロナウィルス対策のための1案として、公共の場でのマスクの着用が義務付けられました。

「公共の場」がどこからどこまでを指すのかという明確な情報がないのですが、例えば個人判断で、タクシーなどに乗る際にマスクがないと乗車を拒否されるなどの事例があったり、うっかりマスクを忘れてちょっと買い物に出た人が、自分のマンションに入る際にセキュリティに止められて入れなくなった、などの話が聞こえてきてます。

マスクの機能性は問わないようなので、ウィルス対策的には意味ないんじゃない?と思われる布マスクでもOKだそう。

そんな訳で…自衛の話は別として、制度に沿うためには、どんなものでも良いので外出時には持って出ること。まだ市内はマスク不足で、即・どこででも入手できるという感じではありませんので、外出時着用・または携行する、が鉄則です。(もちろんご自身に症状がある場合などは機能性の高いものをお使いください。可能であれば)


マスクって症状ない人には不要じゃないの?

ところで、マスクは予防にならない、という解説が専門家の方からなされてますよね。マスクが必要なのは症状がある人▶︎拡散しないことが目的、と言うのも常識になりつつある。

ただ菌の動きを想像した場合、どう考えても布一枚ある方が安心感がある気がしません?粘膜から感染するなら目も覆わなくちゃ意味が無いし、よほど顔に密着させられるものでなければ意味が無い、とはわかっていても、気分的にどうしてもしている方が安心感が…という方も少なく無いと思います。

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特に日本人は花粉症などからマスクをすることが日常的であることもあり、マスクをしないのはマナー違反、くらいに感じる方もおられる印象。

いくら、自覚症状のない人はつけなくて良いですよ、と言われても、「なんとなく」のイメージの力はとてつもなく強い。

実際、自分がマスクをしてない時に、明らかに不快な思いをされている人の表情を見ると、そんな思いをさせてまでこちらが抗うことも無いか、と、自分自身は必要性を感じなくてもマスクをしたこと、ありました。

一方で、頑なにマスクをしない人たちもいます。
それは、なぜ?


欧米系の方は症状がないとマスクをしない?

統計を取ったわけじゃないのですが、私の経験からすると、欧米の方はマスクをしている人を見るとギョッとします。知人からは、あからさまにマスクをした自分を避けて通ったり、嫌な顔をされたという方も。

色々聞いてみたところ、多くの欧米の方の認識では、

「マスクをする人=症状のある人」

そんな状態なら出歩いてくれるなよ、と思うらしい。もちろん症状のある人には近づきたくない。そこで反射的に嫌な顔になって露骨に避けるという行動をとるんじゃないかということ。(もちろんみんな、ではない)

アメリカにお住いの方のツイートには、こんなものもありました。

諸外国では、アジア人がフィジカルアタックを受けた例も多く、それはアジア人だっただからで、おそらくマスクはそこまで関連していないかもしれませんが、マスクがアイコン的になってた可能性は否めません。(私が見た範囲の映像では、被害を受けた人はみんなマスクをしていた)

そんな暴力的な態度に出る方は極一部で、多くの人は手までは出さない。ただ知っている限りの私の欧米系の友人にリサーチしたところ、良い印象は持っていないようでした。注意すべき対象として見る、という意味で。


ではベトナムの方はマスクに対してどんな感じ?

ベトナムの方は普段からバイクに乗る時にし慣れてますし、今回もいち早く、バイクを降りた環境下でもマスクをしている人が増えましたし、市内にはマスクが足りなくなって、ちょっとしたパニック。

マスクを積極的にするという意味では、日本人に近いかもしれません。マスクをしていなかった私を見たベトナム人の友人は心配してくれましたし、しないなんてありえない!くらいの態度でした。

また、マスクは症状のある人に必要で、そうじゃない人には必要ないらしいよと言っても頑として聞かず、

「それはマスク不足を誤魔化そうとして政府が流してるデマっ」

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と言い切った方もいて、その偏りはちょっとどうかと思う勢いでしたが、真剣に、どんな人もおしなべてマスクはした方が良いと思っているようです。

なので、今回の「公共の場でのマスクの着用義務」に関するお触れに対しては、あまり反発も疑問も持っていない様子、と見ています。

しかし専門家の言葉に耳を傾ける勢はいるし、よほどでなければマスクをしない欧米の方にしてみれば、必要のないと言われている人にまで義務付ける意味はどこにあるのか?という声は上がるわけです。

私自身も、最初はちょっとギョッとしました。政府主導で、医療関係者が不要と言っているものを義務化するのはどうなんだ?って。

でもなんとなくこんな風に考えるようになりました。


マスクは予防のためだけに非らず

マスクをすることに抵抗がなく、むしろするのが当たり前で、してない人はマナー違反、とすら思う人がいるアジア勢。

マスクが必要なのは症状のある人で、無症状の人には必要ない。マスクするような症状がある人は家でおとなしくしておけよ、と思っている節がある欧米人。

この二つが、ホーチミンでは共存してます。広い範囲内に居住しているというだけでなく、例えば小さなオフィスにも居合わせることはあるでしょう。レストランでは同じ部屋の中に。公共交通機関の中ではもっと近くにいることに。

マスクに対する認識が違う文化圏の人がそれぞれの価値観「のみ」を信じたまま顔を合わせた場合、どうなるか。どちらも不愉快。どちらも相手がおかしいと思う。不要な軋轢が生まれがち。

そこで国が旗を振って「マスクつけるのは義務な?」と問答無用で言ってくれることで、誰しもが安全サイドの策を取るしかなくなります。今まで硬くなんだって何マスクをしていなかった欧米人の友人がマスクをしているのを見たときに、ちょっとした違和感とともに、思ったのです。

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ああこれでマスクはどんな人もするべきと思ってる人が腹をたてることもないし、無症状でマスクをする必要がないと思ってる人が自分の主義主張を帰ることなく「政府が言うから」と言う理由をもとにマスクをするようになってくれる。

政府のオーダーに対しての行動だったとしても、自分も無症状なのにマスクをした、と言う経験があれば、マスク=深刻な病人だろうと言う決めつけはしなくなるんじゃないかと思うのです。

お互いを悪く思う機会が減る。
ベトナム政府のこの功績は、拡散を防ぐと言う意味もあろうが、ゆとりのない状況下で不要な諍いを生まないようにするためにも有効なんじゃないかな、なんて思ってます。


お出かけの時はマスクを持って

今は、何が正しいかを議論している間に事態が刻々と変わる状況です。ならば安全策を取る。意見が分かれていようがどうであろうが、国が引っ張って安全策を採択させる。

その方針に、この国に住まわせてもらったり滞在させてもらってる身の私たちは、マスクについてどう言う考えを持っていようと、粛々と従うのみ。

私もついつい忘れがちなのですが(と言うか、その可能性を考えたくない)今回の新型コロナウィルスに関しては、無症状でも拡散させてしまう可能性があるとのこと。

と言うことは、自分がスプレッダーである可能性もゼロではないのですから、本来なら自ら進んでマスク着用は心がけるべきだったかも、と、今は反省しております。

しかしその考えは専門家の方の言う「無症状の方はマスクを着用しなくて良い」に反してしまうので判断しきれないままだったのですが、今は「ベトナム政府に言われてるからやらねばならぬ」と言う大義名分があるので、考える猶予をいただいた感じでもありますな。

何はともあれ、お出かけの時はマスクを持って。
どうも情報が行き届いていなかったり、知ってても「実際にはそんなに厳しくないんでしょ?」と軽く考えている事例をいくつか聞いたので改めてのリマインドでした。

2020年3月17日
ちぇり



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