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レネサッカーの目指す位置〜2章〜

5月になり、ゴールデンウィークになり、

始まった過密連戦

迎えた結果は…

2勝1負…

なぜ連戦の最後が勝てないんだ…

というわけで、今回は大きくこちらを取り上げてみようと思います

・なぜスタメンは固定なの?その意図は?

監督も人なので、当然お気に入りの選手がいるものです

自分の戦術通りに動いてくれる選手を使いますし

単純に技術や理解度が高い選手をスタートに使いたいものです

ですが今の鹿島アントラーズ

そもそも監督が合流して間もないのに、お気に入りや序列なんてあるの…?

という問いから入ろうかと思いますよ

今回もお付き合いくださいませ

まず、監督として自分のやりたいことを浸透させるためには

当然、理解度が高い選手を使いたい

ですが、理解度が低くてもその戦術を実行できる能力を持つ選手がいれば

そちらも当然使いたいですよね

ですので極力、心臓となるポジションには理解度の高い選手

走ることや、戦術を超えて得点を奪えるポジションにおいては、能力を優先することもしばしばです

鹿島においてもそれが反映されています

ミスが少なく、理解度の高い三竿や樋口、真ん中からサイドにかけて理想的な動き方をするユウマは心臓部分を担当

1発で点を取れるあやせや、スプリントや守備力といった個人能力の高い安西や常本はサイドへ

木みたいに、根っこから身までを太く

そして鋭く尖る部分は個性的、と

フォーメーションの配置図を見ればまるで木のようなイメージが浮かびますね

ではこちらで戦術理解度の高い選手や戦術を実行できる個性を持つ選手を配置しやすい

という現状はなんとなーく理解できたと思います

ではスタメンとベンチの入れ替えについて

誰が出ても〜というチームは、そのチームがやるサッカーはこれです!というような形がしっかりとあるチームです

しかし鹿島はそうではありません

以前の章でも触れたように、

スイッチの入れ方・スイッチを入れた時の動き方・仕留める力

というのは、いわゆるリアクションサッカーの一つです

なにかの型があるのではなく、試合の状況で型を変える

そのため、鹿島では誰が出ても〜

というよりむしろ

その場にいる選手の判断力・理解度・それをぶっ壊す個人能力

こちらが優先されて試合に出るメンバーの基準として用いられています

このやり方は、鹿島ではずーっと昔から使われていました

しかし今

サッカー界において、このリアクションサッカーというのは衰退しています

選手一人一人が機械のように動く、組織的なサッカーが流行し、そちらのほうが圧倒的に強く、リアクションサッカーは太刀打ちできていない現状です

この状況は、Jよりむしろ、欧州で最初に展開されました

リアクションサッカー、つまり選手の個人能力を合わせて作られた組織は、タイトルを取るに値していないのです

例で言うと、レアルマドリーやマンチェスターユナイテッドです

対極となるバルセロナは型を持っていますよね

近年ですと、アトレチコも型を持っています

また、マンチェスターシティやリヴァプールも型を持ち、それが最高の化学反応を起こしています

どちらも衰退していたのですが、ここ数年でスペインにおいてリアクションサッカーと組織的サッカーの逆転現象が起こりました

今シーズン、バルセロナは衰退し、レアルマドリーは王者を保ちました

一方、マンチェスターユナイテッドはタイトルを取れず、マンチェスターシティやリヴァプールがタイトル争いをしています

この2チームは何が違うのか、そして、鹿島はどちらにならなければならないのか

結論から言うと、Jにおいては、このスペインかイギリスのどちらかの結末になるとは考えにくいです

というのも、

バルセロナは、組織としての型がありながらも、中心人物に依存していました

バルセロナのサッカーを完全に理解していた選手が、年齢を重ねていなくなってしまった

それを受け継ぐにあたって、谷間の世代が発生してしまいました

その穴を、メッシというスーパースターがいたからこそ、埋めるふりをすることができていました

しかしその穴を見ないふりしたせいか、ツケが回ってきました

メッシが抜けた今、バルセロナのサッカーを体現できる選手がいなくなったことが、衰退の原因です

シャビ監督がバルセロナに戻ってきた今、その型を知る人間がトップチームにいるので、巻き返すこともできるでしょうが、時間はかかりそうです

さてレアルマドリー

なぜ衰退しないのか

それに対して彼らは難しくて単純なアプローチをしました

守り切って、奪って、攻めて、決め切る

たったこれだけです

これを実践するために、世界最高レベルの選手たちは、自らのパフォーマンスを全力で出し切る

誰一人さぼらないし、さぼれない

昔の鹿島に似ていますよね

レアルマドリーは組織的な相手を、最低限の鉄則と個人技の重ね合わせで突破した

もちろん戦術が皆無というわけではありません

しかし、レアルマドリーは戦術を超える破壊力を、試合を通して若手からベテランまで養って行った

この結果が今の強いマドリーを作り上げました

さて話は変わり、イギリスへ

マンチェスターシティやリヴァプールが優勝争いをするなか、

衰退してしまったマンチェスターユナイテッド

なぜこちらはリアクションサッカーの逆転が起きていないのか

こちらに関しては、別に組織的サッカーがリアクションサッカーを完全に食ってしまった

というわけではなさそうです

答えはシンプルで、

組織的サッカーやってるチームが元々持っているリアクションサッカー能力が高すぎる、ということです

プレミアリーグなので、全選手がリアクションサッカーの世界レベルに達しています

そんな選手が、戦術もリアクションもできるよ!ってなったら最強ですよね

それを叶えたのがグアルディオラとクロップです

よく戦術重視のチームがなかなか点を取れないと、こう言われますよね

攻めの形がない・崩せてない

そりゃそうなんです

サッカーなんて点が入らないスポーツなので

じゃあなんてかの2チームは点を取り続けられているの?

戦術で取れなくても、個で取れるから、です!

戦術なんて最初の形や建前として置いておくだけなんですよね

あれ?練習した戦術通りに動けないぞ?

なら、俺のドリブルやシュートで相手の壁ぶっ壊しちゃおう

それで点取れちゃうのが怖いんですよねこちらのチームは

ただ、戦術を完全無視しているわけではありませんよ

攻める時・守る時の戦術は細かく決めてあるし、それに沿って実行できないの試合には出れないはずです

しかし、90分ありとあらゆる場面に戦術を用いているわけではありません

というより、「戦術を用いない」戦術も用意してあるわけです

例えば、自チームがボールを持っている場合

左サイドでボールを持ち、コーナーフラッグ近くまで持ち運んだとします

このようなチームであれば、こんな取り決めがあるかもしれません

ご自身が左サイドハーフの選手だと思ってくださいね

ボールを持って顔を上げた時、

相手選手が二人以上いる→奥まで進んでコーナー取る

相手が二人以上いるけど味方が後ろにいる→戻して作り直す

相手が一人→しかけて勝負
だけど、相手の利き足が右→中へ切り込む
利き足が左→縦へいく
相手の特徴がフィジカル重視→ボールを横にずらして仕掛ける
相手の特徴が足の速さ→スペースではなくフェイントで足元から勝負に入る
相手が右利きで足が速い→自分の長所が活かしやすいタイプなので自由に

といった具合です

これもほんの少しですけどね

こんな感じで、イギリスの組織的サッカーを展開するチームは、その場その場での攻め方を理解し、時には自分のリアクションサッカーを行うこともできる

さきほどの例はサイドのドリブルでしたが、これがどのポジションにおいても行われていると思ってくださいね

ですので、イギリスの組織的サッカーを展開するチームは、完成されちゃってます

これが衰退するかといえば、難しいです

なぜならば、飽くまでベースとしての型があるので、補充しやすい利点があるからです

ではでは

話を戻しまして

なぜJではイギリスやスペインのようなリアクションサッカーの大逆転が起きるか起きないか一概に言えないのか

それは日本内に、スペインのようなチームとイギリスのようなチームどちらも存在しちゃってるからです

ですが先ほども言ったように、型があるチームは今後も優位に立つと思います

というのも、主力が海外へ行っても補充がしやすい利点があるからです

じゃあ鹿島も型を作らなきゃまずいじゃないか!!

ワールドクラスの選手が集まっているわけではないから、リアクションサッカーなんてやってもムダだ!!

という意見も出てきます

ここで鹿島の狙いがこれなんじゃないかなって思い浮かんで来るんです

皆さんは海外サッカーを見られるでしょうか

だとしたら、このチームはご存知でしょうか

オランダのアヤックス

どんなクラブかと言いますと、

オランダのバイエルンと言われるくらい国内最強

欧州CLにおいても結果を残しています

しかしこのクラブは鹿島、いやJクラブと共通部分があります

そう、選手が引き抜かれるんです

それも欧州トップリーグにあちらこちらへと

2〜3年すれば主力はみんなビッククラブへ行っちゃってます

最近でいうと、バルセロナのデヨングやユベントスのデリフト、チェルシーのツィエクなどなど

排出先のクラブがすごいところばかりです

この夏にも、フラフェンベルグやティンバーといった若手が羽ばたいていきそうです

そんな毎年のように欧州へと主力をどんどん流して行くクラブ

なのにほぼ毎年タイトルは取るし、欧州CLでもそこそこ結果を残しているんですよね

そしてこのアヤックスが行なっているサッカーがなにかというと

リアクションと組織的のハイブリッドサッカーなんですね

ちょっとリアクションに比重があるイメージです

おそらく鹿島が目指してるのはこのスタイルです

なぜこのスタイルなのか

これはサッカークラブにとって1番大きな要因が関連しているからです

みなさんは選手が移籍するとお金が入るのはご存知かと思われます

では、その移籍した選手が、またさらに移籍したら?

実は元のクラブにもお金が入るんです

しかも契約によっては、その選手が過ごしていた高校サッカー部にもお金が入るんです

ですので、欧州に選手を送るJクラブとしても、

出すなら欧州でまた移籍してもらいたいわけなんですね

ですので、欧州に行っても、そのまたさらに移籍した場所でも、

活躍できる選手を排出するのが1番の利益になるんです

そのためには、どのチームの戦術でもすぐに理解できる力

戦術以外にも、個人で打開できる力

この二つの能力を兼ね備えていなければ、ステップアップなんて難しい

だからこそ、自チームでその双方を磨くサッカーに慣れさせる、という狙いがあります

鹿島アントラーズにおいても、一気に海外流出したり、主力がごっそりいなくなったり

大変な思いをしましたよね

だからこそ、出すなら1円でも多くのお金を得たいのが普通ですし、

世界でも通用する選手を排出するのが1つの使命です

もちろんずーっと鹿島にいてくれる選手を伸ばすのも大事なのですが、それだけだと国際的ブランド意識が薄れてしまい、これはこれで厄介です

詳しくは避けますが、国際的ブランドがないと、欧州有名チームとの練習試合なんかをするのは難しいです

さて、

鹿島はもともとリアクションサッカーでした

オンリーリアクションサッカーといっても過言では無いと思います

それを全て無にして組織的で進めるのか

それともハイブリッドにするのか

まぁこれは僕の意見ですけど

完全に組織にしたら、鹿島は死ぬと思います

鹿島じゃないですよ、そんなの

その考えはフロントも同じだったみたいですね

レネサッカーはリアクションもしくはハイブリッド型です

型を持った組織的ではありません

これは彼が指導したアンデルレヒト等でのサッカーが証明しています

ではここで今回の結論へと進みます

最初に戻ります

なんでメンバー固定なの?

これにはメッセージが隠されていると思います

まず一つ、ハイブリッドサッカーを構築するためには、実践経験が少しでも多く必要だということ

これはスイッチの入れ方の訓練の話をしたときにも言いましたね

最低限のルールだけ作って、スイッチ入れた時にリアクションサッカーをフル回転で行うこと

そして二つ目は、

選手一人一人に対して、シーズンぶっ倒して戦う習慣をつけること

これは完全な推測ですが、

レネさんはチームを強化するために

全員が1シーズンずーーーっと戦える身体に改造しようとしていると思います

練習の強度は常に一定で、試合に出る選手や仕事内容は変えず、とりあえず1シーズンずっとフルでやる

これを乗り越えれば、どんなに過密でも戦い抜ける

そういう身体作りも指導の一環として入っているかもしれません

しかしもちろん怪我の発生はしやすいですし、広島戦のようなガス欠サッカーになるのも当然です

そうなんですが、想像してみてください

だいたいのチームは怪我や過密を避けるためにターンオーバーやスタメン入れ替えを行いますよね

では、他チームがそれを平然と行う一方で、毎回フルメンバーの鹿島が一年通してやって来たらどうなるか…

いやいやいやいや絶対怪我するわそんなの無理だろってなりますよね

ですが、あの激しいプレミアリーグでさえ、主力がたまーに抜けることはあっても、

軸を理解してる心臓部の選手や、サイドで個を発揮できる選手

なんだかんだ毎試合フルメンバーに近い形を1シーズンキープしてやってきてるんです

もちろん日本とは環境は違います

でも、もし日本でそんなチームを作り上げてしまったら…?

このチーム改革は、戦術とかサッカーの内容とかそんなこと以前の問題

ですが、手をつけにくいんですよね

選手も当然嫌がるし、目に見える成果は何年経って出てくるかも分からない

成果が出る頃には引退…なんて選手がいるかもしれない

ですが、鹿島だからこそ

Jで初めての改革に踏み込んでいるのかもしれません

以前からレネのスタメン固定には疑問でしたが、連戦を通してここまで変えないのもさすがにおかしいと思って、この推測を立てました

このチーム、このやりかただと、スタメン組はどんどん伸びます

ベンチメンバーは強度の高い練習をこのスタメンと行うことで、彼らも底上げされることでしょう

ですが、完成まではかなり時間がかかると思います

根っこから変えてますからね

これをサポーターやフロントは待つことができるか

はい、今回はこんなところです

スタメン固定の狙い、考察してみました

今回は、鹿島がどんなチーム・クラブを作るのか

それを達成するまでの時間の長さ

そして、そんなチームを作るためにピッチで行うサッカー

それを欧州の例と比較して

考察をしてみました

大変長文となってしまいましたが、

今回はこのあたりで終わりです

約6000字まで書きましたが、

ここまで読んでください、大変感謝しています!

また次章、お待ちください!!

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