点滴の限界が近づく

12月20日 徐々に血管がもろくなり、点滴に耐えられなくなって来ていることが分かる。

ちょうど1カ月前、延命をどの段階まで行うかについて主治医と話し合った。このノートにも書いたように、私たちは無理な延命をしないという決定をした。しかし、経口摂取が困難になった当初は、あまりに意識がはっきりしていたので、そのまま命が終わるのを黙って見ていることはできなかった。

そこで、人間の自然な死に逆らわず、痛みの少ない最低限の延命を、ということで点滴での水分投与を選択した。その際主治医からは、「点滴を始めたらもって大体1カ月でしょう」と言われていた。

脱水症状の治療としてではなく、延命として行う点滴の投与が始まったのは、ちょうど1カ月前の11月20日だった。どこか他人事のように、医者って本当にすごいなと思った。ぴったり今日で1カ月経ち、施設の看護師からは「もう挿す場所がなくなってきた」と言われた。

点滴を抜き、脱水が進み自然に枯れていく父親を見ることは、今までのどんな体験より辛いだろう。今はまだ、今日挿した点滴が順調に落ちているが、保って3日から5日だ。

以前は父親に体力や脂肪が充分あったので、水分の投与を止めてから2週間は生きると言われていた。しかし、今の状態だと長くても1週間と考えておくように、と医師から言われている。

辛そうな様子もなく、穏やかなに寝ている父親の表情は、だいぶ痩せてはいるが以前のままだ。年が越せるか越せないかの瀬戸際で戦っている人には、とても見えない。どうか、令和の2年目を父親と一緒に迎えたい。

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