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孫に会う日

11月29日 妹が子供を連れて施設に会いにくる。

朝、布団がめくれて、父親の足が見えていた。私は唖然とした。骨と皮しかなくて、骸骨のようだった。腕も、今まで何度も点滴を挿し直したため、いたるところに内出血ができていた。痛々しい紫の痣が、また私を「このまま点滴を続けていいのか」と考えさせた。

今日は昼から、伯母や従弟、祖母が施設に来ていた。従弟は頻繁に父親の顔を見ているわけではないので、変わり果てた姿を見て、ショックを隠せないようだった。

そのあと妹と姪が到着した。施設には12歳以下の子供は入れない。離乳食が始まったばかりの姪も当然、正面からでは施設の中には入れてもらえないので、窓からこっそり部屋の中に入れることにした。私が外で姪を持ち上げて、部屋の中にいる伯母たちに渡した。

父親ははっきり分かっていたようだ。「おおお!」と声を出して、びっくりしていた。私は外にいたのであまり表情は見られなかったが、きっとちゃんと認識できたのだと思う。嬉しそうな声は、外までしっかり聞こえた。

夜になり、看護師が点滴を挿し直したり就寝の準備をしている間、仕事帰りに寄った母親と夕食を食べ、ゲームセンターで少し遊んだ。もどって父親の様子を見ると、穏やかに眠っていた。しかし腕はパンパンに腫れて、点滴が漏れてしまっていた。腕に思い切り力を入れてしまったり、激しく動かしてしまう父親は、入れたルートがすぐだめになってしまう。明日もまた、挿し直しになってしまった。

今夜は、点滴なしで過ごす。つまり、アタラックスPという安定剤を入れないで、一晩寝てみるということだ。病院にいた時から、安定剤なしで夜間を過ごしたことがないので、父親がどれだけ大きく動いてしまうか分からない。物音がしたらいつでも起きられるように、今日は早めに眠っておこうと思う。

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