「そろそろ覚悟を」

12月18日 内臓の機能がかなり落ちていることが分かる。

口の粘膜がだいぶ弱くなり、少しの刺激でも出血するようになった。そして、何も食べていないのに下痢気味の日が続き、今日は血便が出てしまった。胃や腸も、口と同じように少しの刺激で出血し、ただれている証拠だった。

そろそろ覚悟を決める時だと言われた。

容態の急変が十分にあり得る時期に差し掛かってきた、と。

一気に死が身近になった気がした。今まで何だかんだで、理解したつもりで遠ざけていたものだ。点滴も、もう挿す場所が無くなってきていた。一度足に挿してみて調子が良かったが、ミオクローヌスが常に起こっているため保っても5日だった。その後上腕に血管を探してなんとか点滴を指したが、3度やり直すことになった。繰り返し点滴を施した血管はもろくなり、点滴が入らなくなっていく。

父親は目を開けたまま眠るようになった。何かに怯えたりびっくりすることも、そういえば無くなっていた。耳だけは最期の時まで聞こえると言うが、理解はできないので、環境音として父親の耳に届くことになる。せめて、毎日名前をたくさん呼びたいと思った。

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