深夜2時のできごと

11月14日 父親が再び就寝中に飛び起きるようになる。

最近の父親は、夜間に飛び起きる症状が治まってきていた。アタラックスPというごく普通の安定剤の点滴で、特に問題なく眠れていた。

しかし今日の深夜、今までにないほど激しく、叫びながら暴れた。夜勤の担当は、例の父親と同じ名前の男性看護師だった。父親の叫び声と叔母の泣く声を聞いて、ナースコールも押してないのに走って飛んできた。というか、ナースコールを押す暇もなかった。

悪夢でも見ているのか、怖いものと戦おうとする感じで何かを叫び続ける。あんな大きな声を出して、声を荒げて何かを叫ぶ父親を、初めて見た。今までの柔らかい表情はなく、歯を食いしばったり大きく開けたり口を尖らせたりして、その時の口の形のまま、叫び続けた。

「パパ、大丈夫だよ」
「パパ、パパ、パパ、パパ、パパ...」
父親は私の言葉を真似ていた。また、私の名前を呼ぼうとしたのか「か、か、か、かかか...」と叫び、やがて、その口のまま寝てしまった。

腕を大きく動かしルートを引っ張ってしまったので、点滴が落ちなくなった。確認したところ液が漏れていたので、もう一度取り直すことになった。しかし夜間帯だったし、興奮状態で危険なので、明日の昼に見送られた。

父親は本当に施設に行って大丈夫なのか。日に日に悪化する状況のなかで、今日の確認やゴーサインは明日には意味を持たない。

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