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記憶の仕組みに関する考察

突如閃いたので本記事では、記憶に関する持論について論じることにする。

人間の単純記憶力というのは個人差が少ない能力の1つらしい、これは僕の実感としても当てはまる。数学が苦手な子が努力して英語や社会などの暗記科目を得意科目とする光景を目の当たりにしたことはないだろうか。勉強苦手な子が自動車やカードゲームなど各々の趣味に関することについては博識だったのを見た事はないだろうか。

い恐らく多くの人はそのような場面に遭遇していることだろう。しかし、それでもなお単純記憶でない方の記憶力には差を感じてしまうだろう。実際一瞬で物事を理解する人、定期テストは得意な人、長期記憶に優れる人などを目の当たりにした経験は誰であれ少なからずある筈だ。

僕は短期記憶や単純記憶はそんなに得意ではない。定期テストの時どんなに勉強時間確保しても8割までしか安定して得点できなかったし、好きなアニメのセリフ、好きな曲の歌詞を覚えるのも苦手だしよく間違えてしまう。

しかし、言語的な長期記憶に関しては自信がある。知能検査の時、言語的な長期記憶に関する項目は+2σ~3σと上位1%以内に入れる程度のスコアであった。僭越ながら両親も僕の長期記憶能力に関しては認めていて、実際その能力のお陰で比較的少ない労力で様々な試験を突破するのに成功した。

だが、目で見たものを細かく覚えている訳ではないし、自分の経験を事細かに覚えている訳でもない。僕は就活の時エントリーシートを書くのがなによりも苦痛だった(というか現在進行形でそう)、なぜならばエントリーシートというのは過去の経験を鮮明にイメージするか或いはつなぎ合わせる必要があるからだ。僕は過去に何があったかは把握してるが、歴史の教科書みたいに大枠を掴んでいるのみだ。

さて、本題に入ろう。結論から言うと記憶とはエントロピー(情報の乱雑さ)である。つまり、個別具体的な情報が脳内に沢山インプットされるほど脳内の記憶の乱雑さは増大し、記憶を引き出すのに負荷がかかるわけだ。

ところで、人間の脳の記憶容量の個人差は少ないと言った。だとすると情報の乱雑さをそぎ落とせるほど概念を頭に入れるのに有利ということになる。

僕の記憶はまさに極限までにエントロピーを減らした結果の記憶に他ならないのだと考える。例えばスギ、ヒノキ、イチョウ、ブナ・・・といったそれぞれの固有名詞があったとする。それらをひとまとめにして木と認識する。これによって複数の単語が一つの単語にまとめられる、所謂抽象化である。

4つの単語、1つの単語、覚えるのが楽なのはどっちだろうか、答えは当然後者である。ところでエントロピーを小さくする方法として一番効果的なのは情報と情報を繋ぎ合わせる事である。この記事自体がある意味そうだ。エントロピーとは状態の乱雑さを表す熱力学用語であり、等温等圧過程においてdS≤q/Tといった式で表される。ところで情報エントロピーとは情報量の定義であり、ある物事が起きる確率をpとしたとき、H=-p*log(p)といった式で表される。ところで熱力学のエントロピーもS=k*log(W)で表される。ここでkはボルツマン定数でWは状態量である。また、人間の脳もシナプスの接続や変形によって記憶が行われているという。

熱力学のエントロピーから確率論、情報理論、更には脳科学への接続、これもまた情報を繋げる行為であり、本来ならば膨大なる暗記量もこの様にして最小化できる訳だ。記憶力に優れる人というのは無意識のうちにそれが出来てしまう人なのだと考える。

ところでサヴァン症候群なる人たちの中には目で見たものをとても詳細に覚え、決して忘れない性質をもつものがいるという。しかし、そのような性質を持つ人の大半は知的障害を併発しているとの記事もある。これは情報を繋げたり概念化したりするのを苦手とする人が代償として完全記憶力を手にした結果とも考えられないだろうか。故に知的障害を併発している割合が高くなってしまうと考えられないだろうか。

僕の頭の中ではありとあらゆる概念が繋がっている、正直なところ学問に境界があるなどとは思えない。なぜならば各分野が密接に絡み合っており、それぞれが蜘蛛の糸の様に繋がりあっているようにしか思えないからである。

昔の科学者は沢山の分野(数学、哲学、天文学など)に精通していたという。それは沢山の学問に手を出していたというよりかは本来であれば区別せず総合的に扱うべきものであったからだ。故に多種多様な知見から様々なアイデアが膨らんだのである。

情報の繋がりに意識を向けるとどうしても連想が膨らんでしまい、長文となる。これは一見思考が纏まっておらず、エントロピーが高い状態にあるように見えることだろう。しかし、実際は逆だ、脳内の情報エントロピーが小さいからこそそれを発散させようと外向きに働きかける訳であり、所謂発散的思考へとつながるのだ。

逆に脳内の情報エントロピーが大きい人はその分を補うために情報をまとめる方向へと働きかけるはずだ。多くの人が勉強する時に情報を整理したりノートをまとめたりするのもそれが関与していると考えられないだろうか。脳内のエントロピーが大きいからこそ外向きにそれを最小化する方向へと働きかけてる様に思えてならない。

なので僕はより幅広い分野に関して学ぶことを続けて行きたいと考えている。それこそが逆説的にエントロピーを最小化する方法だと確信している。

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