就活に役立つ化学業界の業界研究方法

志望業界や志望企業を絞り込んだり、志望動機をまとめたりするために、業界への理解を深める「業界研究」を行うことが大切です。
具体的にどこに注目し、どのようにすれば効率的に情報を入手できるのか、業界研究を行う際のポイントを紹介したいと思います。
著者のとるえんは化学業界で働いている研究員です。自分も就活をした経験から、使っていた情報源について書いています。研究で忙しい院生や化学業界のことが全くわからない文系の大学生向けに書きました。参考になれば幸いです。


業界研究とは?

「業界研究」は、世の中にある業界の種類や特徴を知り、成長性がある業界や自分が行きたいと思う業界を見つけるために行う。自己分析と同様に重要な作業だ。業界研究ができれば、次は個別の企業研究に移っていくと思う。

業界分析の取っ掛かりとしては、どんな業界があるのかを知ることから始め、興味のある業界については、さらに詳しく掘り下げながら進めていくのが効率的だ。


業界研究の手順

次に業界分析の具体的な方法とポイントを紹介したい。

業界全体を「広く浅く」調査する

まずは、業界の構造や動向を「広く浅く」調べることが大切だ。業界地図などを活用して、大まかに業界動向を理解する。各業界の規模感や成長性、代表的な企業について調べるのが第1ステップになる。
化学業界であれば、総合化学メーカーやスペシャリティ化学メーカーなど、製造している製品群に特徴や違いがある。
化学業界の動向としては、カーボンニュートラル対応や基礎石油化学品の再編が大きなトピックとしてある。


業界について「狭く深く」調査する

広く浅く調べたあとは、各企業の違いや業界内での業績推移、成長の見込みなどを調査していく。また細かい業界動向や企業ごとの成長性について調べれば役に立つだろう。


化学業界研究に役立つ情報源

次は具体的に化学業界の業界研究に役立つ情報源について紹介したい。


経済産業省のレポート(化学産業の現状と課題)

https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12109574/www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/010_04_00.pdf

就活生はあんまり知らないかもしれないが、経済産業省は各産業についてのレポートを作成し公開している。中央官庁が作成したレポートということもあり、情報の正確さは間違いない。

特に化学業界について知りたいなら、「化学産業の現状と課題」というレポートが参考になる。化学産業の位置づけと今後の課題についてまとまった経済産業省のレポートだ。化学メーカーの競争環境や機能性化学品への事業集中などのトピックがまとめられている。


業界地図(会社四季報、日経)

化学業界だけでなく色々な業界全体を調べたいというときには業界地図が役に立つ。各業界の動向やどういった企業があるのかについて書かれている。就活生なら一冊ぐらいは買ってもいいんじゃないかなと思う。

業界地図は会社四季報の業界地図と日経版の業界地図の二種類あるので、試し読みして使いやすい方を使ってみるのが良い。ちなみに自分は就活生の時は会社四季報版を使っていた。


図解即戦力 化学業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

特に化学業界について理解を深めたいときは各業界に特化した本を読むのが効率が良い。
特に「図解即戦力」シリーズは分かりやすいのでおすすめだ。初心者向けに裾野が広い化学業界の全体像を分かりやすく網羅的に説明した本である。化学業界の動向だけでなく、主要化学メーカーの事業内容も簡単に紹介されてる。初心者にはまずこの本がおすすめだ。


日本経済新聞

業界の最新ニュースや経済ニュースについて広く知るには日本経済新聞がおすすめだ。特に電子版であれば、キーワードでニュースを検索することができるので非常に便利。日経新聞を読むにはお金がかかってしまうが、大学生であれば大学で日経テレコンというデータベースを無料で使えると思う。日経テレコンでも日経新聞のニュースが見れるので、就活生にはおすすめだ。
自分は面接前に日経新聞で面接を受ける企業のニュースを事前にチェックしていた。


化学工業日報

経済ニュースを広く確認するには日経新聞が役に立つが、業界のニュースを深く知るためには業界に特化した業界誌が参考になる。化学業界の業界誌にあたるのが化学工業日報だ。ここまでする就活生はいないと思うが参考程度に紹介しておく。大学の図書館か国会図書館に行けば置いてあると思う。
化学工業日報はTwitterもやっているので、アカウントをフォローしてニュースの見出しを見るだけでも勉強になると思う


WBS (ワールドビジネスサテライト)

ニュース番組としてはテレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)をおすすめしたい。経済ニュースに特化したニュース番組で、経済動向を知る上では非常に参考になる番組だ。就活時期だけでも見ることをおすすめする。


企業のIR情報(中期経営計画、決算資料、ファクトブック)

業界・会社分析の有用な情報源としては投資家向けのIR情報がある。
株式会社は基本的に株主に会社情報を公開する必要がある。そのため投資家向けの資料には多くの情報が記載されている。中期経営計画をみれば、これから会社がどのような方向性で事業を展開していくかが分かる。ファクトブックなどをみれば、就活生向けの情報より詳しい会社説明が書かかれている。


業界研究セミナー・合同企業説明会

合同企業説明会や、大学で開催されることがある「業界研究セミナー」も、業界全体の動向を知るのに有効な方法だ。機会があれば積極的に参加してみてほしい。


参考になれば幸いです。企業分析編も書く予定にしています。

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