【episode4】ブラック企業への就職と退職と再渡米
帰国して、大学時代の地域で友人たちと過ごしてから
一旦九州の実家に戻った私は、福岡での就職が決まった。
少年彼氏はカリフォルニアの田舎町でCollegeへ進み、
その後、Universityへ編入する予定だったため、
「超」のつく遠距離恋愛がスタートした。
携帯電話はPHSの時代。
国際電話はプリペイドカードか
国際電話専用の公衆電話だけが相手と話す手段だった。
LINEやZoomを使って無料でビデオ通話ができる
今の時代には想像もつかないけれど
相手と話すためにはかなりのお金が必要だった。
新入社員の私と留学中の学生の少年彼氏には痛い出費。
一度、プリペイドカードを月6万円分も使ってしまって
それからは10分100円の国際電話公衆電話で
時差を計算しながら話すようになった。
確か当時のPHSのメールは国内のみで
メールはパソコンのメールしかなかった。
パソコンもお互い持っていなかったので
いつメールを確認できるかわからない。
そういう不便な時代だった。
正社員として入社した私の会社は
平均勤続月数3ヵ月という超ブラック企業だったのだ。
(現在では既に他の会社に吸収されている)
今でいうパワハラが日常で
数人いた同期がどんどん辞めていく中
気合いと根性と真面目さだけで
何でも頑張ってしまう私は
女性の上司たちに怒鳴られなじられ嫌味を言われ
プレッシャーをかけられ続ける電話やFAXを受け取りながら
限界まで耐えて、成果を出し続けてしまった。
なんとか生き残っている遠方にいる数人の同期と
深夜までに及ぶ仕事の後に電話で励まし合いながらも
毎日逃げ出したかった。
私の会社員人生3社の中で一番の暗黒期。
(この時代があまりにも酷かったので、
その後の会社員時代も辛かったが
新入社員時代よりはマシ。と思っていた)
考える力もなくなって、体力も限界まで使い果たし
逃げたくても逃げられないと我慢してしまっていた。
それまでも「自分が我慢すれば何とかなる。」と
考えることが多かったけれど、
この時はまさに、その考えを発揮してしまっていた。
そんな中、8月の私のお盆休みに合わせて
少年彼氏は留学以来初めての帰省、
私にも会うために帰国した。
半年ぶりに会って
一緒に過ごせたのは数日間だったけれど
福岡のデートスポットへ出かけたり
ラブラブなプリクラを撮ったり
束の間のオアシス時間だったことを覚えている。
そして9月には、ツイン彼と彼の親友が
大学院の夏休みに九州へ車の旅にやってきて
福岡に立ち寄ることになった。
ツイン彼の親友は、私たちのバイト仲間で
太陽のようなリーダー的存在だったため
彼主導で行き先は決まる。
一方、月のようなツイン彼と私。
その時(私たち気が合うんだな。)と初めて感じた。
ツイン彼の親友にも
「お前たち、仲ええな。」と言われたことを覚えている。
「アメリカで10日間一緒にいたからね。」
とかなんとか言ったような気がする。
その時でさえ私はまだ
(彼と私は違う世界で生きている人)だと思っていた。
その後、私の気力と体力は限界を迎え
このままその会社にいては心が壊れる、と思った。
当時はブラック企業もパワハラも
適応障害もウツ病もない時代。
あの手この手で引き留められながらも
入社から半年でブラック企業を何とか退職した。
辞める前から考えていた、その後のこと。
(アメリカへもう一度行きたい!1年の留学は短すぎる。)
私はアメリカにもう一度行けば、何かが変わると思っていたのだ。
親に電話で再渡米の意思を伝えた。
当然、両親は反対し
「行きたければ、自分で何とかしなさい!!」
「もうウチには、長女はいなかったことにする。」
と、いわば勘当状態になってしまった・・・
(さて、どうしよう・・・)
ブラック企業を辞めたので、社宅も追い出され
ツアーコンダクターで月の半分、
家を留守にしている女友達に相談し、
居候させてもらうことになった。
留学するといっても、CollegeやUniversityに行って
卒業するまでの費用は捻出できそうにない。
専門学校なら学費的に行けるかも。
アメリカは学校によってビザの種類が違うし
申請するために残高証明書も必要だ。
半年で100万円貯めよう。
そう心に決めた私は、
自分で専門学校のビザを取得する準備を始めることにした。
昼は派遣で働き、夜は夜でほとんど休みなく働いた。
居候の身なので贅沢は一切せず、
週に1度の国際電話公衆電話の費用だけを確保して
極貧生活を送りながら、半年で100万円をなんとか貯めた。
この時はただただ、日本を飛び出して
少年彼氏のいるアメリカへもう一度行きたかった。
ただそれだけだった。
そこからまた長い道のりが始まるとも知らずに。
ツインの関係性でいうと、これはサイレント期間と言えるのだろうか。
この時は私がランナーだったようにも思うし、
ツイン彼と出逢ってはいるけれど
相手に気がついてはいない状態なので
サイレントとは言えないのかもしれない。
何年か経ってからのツイン彼からの話では、
「この人は特別な人」という感覚は
ツイン彼の方が先に気がついていたようだった。
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