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清水エスパルス 新監督クラモフスキー就任に伴う不安

 清水エスパルスは14日、来季の監督に2018年から横浜Fマリノスでヘッドコーチを務めているピーター・クラモフスキー氏が就任することを発表した。今シーズン途中からチームを率いた篠田監督は退任し、来季はコーチとしてチームをサポートする予定である。

 新監督になったクラモフスキーは、15年にわたって今季マリノスをJ1優勝に導いたアンジュ・ポステコグルーの参謀として活躍してきた。ポステコグルー監督がオーストラリア代表を務め、ロシアW杯アジア最終予選で日本と対戦したことは記憶に新しいが、その時にもコーチを務めていたのがこのクラモフスキーである。今季サッカーファンを魅了してJ1優勝を勝ち取ったマリノスのチームづくりに、ヘッドコーチとして関わっていたことから、新監督に期待をしている清水サポーターも多いのではないか。このような状況の中で、ネガティブな考察をするのはあまり気が進まないが、今回の監督就任に伴う不安について少し触れたいと思う。

今回の人事に込められたフロントの願いとチームづくり

 篠田監督は今季、絶不調だったチームをなんとか立て直しJ1残留というノルマを果たした。しかし、クラブは彼に続投を要請することはなかった。そこには、今季のような引いてカウンターを狙う残留仕様の戦い方を良しとしないフロントの思いがあり、新監督を招聘して確固たるスタイルの確立を目指すことにしたのだ。このような背景で就任した、クラモフスキー新監督に求められる仕事が簡単ではないことは言うまでもないだろう。今季まで所属したマリノスのようなポジショナルプレーを目指すのかどうなのかは不明であるが、どのような形にしてもJ1のライバルを破ることができるようなチームスタイルの構築には時間がかかる。それは、2シーズン目に結果が芽生えたが、1シーズン目はなかなか振るわなかった、ペップのマンチェスタシティー、ポステコグルーのマリノスからも分かる。チームのスタイル確立を優先する来シーズン序盤は、目の前の勝利に多少目をつぶらなければいけないこともある。しかし、J2に降格してしまっては元もこうもない。最低限のノルマを達成しつつ、ブレずにチームづくりを進めることが求められるのだが、今のエスパルスにそこまでの底力があるのかは疑問である。結果が出ないことに痺れを切らしたフロントがシーズン前半に監督を解任し、それまで積み上げたチームづくりを取り壊して残留仕様で戦うエスパルスは見たくないものであるが、そうなる危険性があることは否めない。

チームづくりで大事になるフロントの力

 前述したようなチームづくりの中ではフロントの力がとにかく大事である。監督の目指すサッカーを実行するには、フロントが監督の求める戦力をピンポイントで獲得する必要がある。プレミアリーグで確固たるスタイルを確立し、首位を独走するリバプールはファン・ダイクとアリソンを、2連覇を達成したマンチェスターシティーは、ラポルトとエデルソンをしっかりと獲得している。監督の求めるピースをピンポイントで獲得できたフロントの力が今のリバプール、シティーを支えているのだ。残念ながら、エスパルスには前述した2チームのような莫大な財力はない。現有戦力の流出を防ぎ、限られた予算の中で無駄のない補強が求められる。欧州リーグでも、現場が求めていない人材をフロントが大金をはたいて勝手に獲得し、指揮官が選手起用で頭を悩ませることが多々ある。大榎GMを中心とした清水のフロントとクラモフスキー監督の連携を深め、意見を一致させたうえで補強を進めることで、チーム始動までにできる限りの準備をしたい。そこでの食い違いは、その後のフロントと監督の関係に悪影響を与え、選手にとっても良いことはない。新チームが乗り越えるべき最初の壁になると言えるだろう。

 今季は、ライバルであるジュビロ磐田の降格も決まってしまった。静岡のサッカーをもう1度盛り上げていくためにも、新監督のもとで心機一転スタートするエスパルスの躍進に期待したい。

#清水エスパルス #Jリーグ #サッカー

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