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Jリーグ5人交代制のメリット・デメリット

 新型コロナウイルスの影響で、2020年シーズンよりJリーグで5人交代制が導入された。このシーズンはコロナ流行によるリーグ中断があり、その後は過密日程を組まざるを得なかった。中2、3日で5連戦なんてこともめずらしくなく、そのなかでの選手の疲労蓄積軽減を目的に従来の3人交代から5人交代へと変更されたのだ。試合の進行を妨げないために交代回数は3回(ハーフタイムを除く)という条件付きではあったが、5人交代できるというのは今までの試合との違いを生んだといえる。そして、本来の日程に戻りつつある現2022年シーズンでも5人交代制は継続されている。代表戦でも当たり前になりつつあるこの制度は今後も続いていく可能性が高いと考える。長い長い3人交代の時代が終わり、5人交代の時代を迎える真っ只中に我々はいるのかもしれない。そこで今回は5人交代によってJリーグがどう変わるのか、メリット・デメリットという視点で筆者なりに整理していきたい。

5人交代制のメリット

 まずは5人交代によってどんなメリットがあるか考えたい。

 真っ先に思い浮かぶことは、5人交代できることにより多くの選手がプレーしているとこを見られることだろう。サポータとして1試合でより多くの選手が見られることは単純に嬉しいだろう。また女性ファンなんかは、それぞれ推しの選手がいたりするので交代枠が多いことでベンチにいる自分の推しが出られる可能性が上がるわけだ。これはファン・サポータ目線だが5人交代による1つのメリットだろう。

 2つ目は5人交代により交代枠が増えることで、若手にもチャンスがまわってきやすいことだ。特にJ1だと実績のある選手が多いため、若手選手が試合に絡むことは難しかったが、交代人数が増えたことで出場機会が多くなり若手の成長につながるのだ。そうなれば戦力として計算されるようになり、J1に定着できる若手も増える。これは日本サッカー全体にとってもプラスになるだろう。

 最後は、試合の強度が上がることだ。交代枠が5人いることで選手が出し惜しみをせずにプレーできるため結果として試合のインテンシティが上がることが想定できる。特に前線の選手のプレス、切り替え等での強度が上がり、攻守においてレベルの高いゲームが展開されるのだ。これは現代の世界的なサッカーのトレンドにも合致しており、日本サッカーのレベルが上がるためにも不可欠な要素だ。

 以上が5人交代によるメリットである。ファン目線、選手目線、戦術的な要素など多岐にわたってメリットがあることが分かる。では、逆にデメリットとしてはどのようなことがあるのか考えたい。

5人交代制のデメリット

 デメリットの1つ目もファン目線のものだが、5人も交代するとどうしても試合開始時と違うチームを見ているように感じてしまう。選手も試合内容もガラッと変わってしまうためこのような印象を受けるのだろう。また、3人交代に慣れている人からすると5人交代はキリンチャレンジカップのように練習試合でいろんな選手を試すような印象があり、どうしても真剣勝負の公式戦とは思えないのだ。でもこれはあくまでもファン目線の印象論で見慣れれば解決されそうな問題でもある。

 もう1つのデメリットは、5人交代によってますます金持ちクラブが有利になることである。5人交代できるということはベンチの駒がより多い方に恩恵がある。そうなると資金があり、トップレベルの選手をたくさん保有している金持ちクラブがますますリーグにおいて優勢になる。逆にお金のないクラブの戦いはますます厳しくなるわけだ。お金のあるクラブが強いのは当然といえば当然だがこの5人交代制により、それがより顕著に出てしまう。この状態を海外のビッグクラブみたいで面白い、結局金持ちが強くてつまらないと意見は割れるだろうが、筆者は比較的資金のないクラブのファンなので勝手ながらデメリットとして挙げさせてもらった。

 5人交代制によりサッカーそのものが大きく変わろうとしている。Jリーグの見方、クラブ経営にも大きな影響を与えるだろう。今回は5人交代制のメリット・デメリットについて紹介したが、まだまだいろんな要素に変化があると思うので今後もますますJリーグから目が離せない。

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