『悪女について』
有吉佐和子『悪女について』
読了
久々に大ヒット、すっごく面白かった。
一人の女性の死をめぐって、彼女の家族、恋人、友人、知人が語る。その数、圧巻の27人。そして、彼女自身の独白はない。
こんなに、人によって印象が変わる人も珍しい。
いや、ふるまいはともかく、とにかく言動が一致しない。
こういう小説は中3の冬に読んだ『暗黒女子』以来だと記憶している。
『桐島、部活やめるってよ』とはまた違う感じ。
こういう形式が大好きなことを思い知ったので、他にも読んでみたい。
どうやって探せばよいのだろうか。。。
1番印象的だったのは27人目、彼女の息子の次男の話だ。同じ家庭のはずなのに、長男とは全く違う印象を持って居る。
彼女は美しいものをみつけたのだと。それに手を伸ばして、窓から落ちてしまったのだろうと彼は言う。ちなみに彼女は真っ赤なウエディングドレスを着ている。
『まっ赤な花が落ちたようだ。』
そう彼女の死に様を語った人もいた。
なんて美しい死。
きっと彼女は病的に嘘を吐くひとだったのだろうなと思う。それも悪気なく。
綺麗な花には棘がある。
こんな人だったのだと思う。
とても魅了されるが、近づいたら火傷を負うだろう。
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