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2023年11月のまとめと読書記録

芸術の秋を堪能した11月。ちょこちょこと休校(祝日、入試、大学祭など)が入ったこともあって、いろいろと「みる」ことが出来ました。

初旬には、上の息子の大学祭へ。新しいキャンパスでの初めての学園祭でした。文化の日には、下の息子と在来線で名古屋へ。名古屋市立美術館の「福田美蘭展」とコレクション展、ヤマザキマザック美術館の「杉浦非水展」とコレクション展を楽しみました。


ヤマザキマザック美術館で開催していた「杉浦非水展」は、金沢や静岡でも観た、大好きな画家・イラストレーター・デザイナー。また観れて嬉しい!

そして、こちらのコレクション展もびっくりするラインナップで大満足でした。

美術展巡りのお楽しみ、ミュージアムグッズもたんとゲットして帰ってきました。楽しかった!

そして、中旬には、息子2人と美術展巡り。大阪中之島美術館の「テート美術館展」、大丸梅田の「キボリノコンノ」展、美術館えきの「ユトリロ展」を午後から一気に! 


足は疲れましたが、途中に移動が入ることで気分が変わり、元気に完遂できました。この日の鑑賞記録は、また別途、アップする予定(多分)。

そして、下旬には、上息子と和歌山県立近代美術館「トランスボーダー展」へ。

さらには、難民映画祭の映画もすべて鑑賞し(ブログに記録済み)、その関連のオンラインセミナー3回も視聴と、みっちみちの日々でした。

そんな11月の読書は、ライトなものが多かったですが、そのぶん勢いよく次々読めました。長距離移動が多かったこともプラスになったかな(笑)


さあ、いよいよ今年も終わり。今年もやたら忙しかったような気がしますが、それでも、まあまあ読書も映画鑑賞も美術鑑賞もできているようです。

12月もすでにあれこれ予定しています。元気に楽しみたいと思います。


11月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3193
ナイス数:396

福田村事件 -関東大震災・知られざる悲劇感想
1923(大正12)年9月1日に起こった関東大震災から100年の今年、混乱のなかで生じた数々の事件が注目されている。そのひとつを調査し、詳らかにしたのが本書。10年ぶりに大幅な増補改訂のうえ復刊された。「精密に資料に当たり、現地を確認し、多くの人に話を聞いて編まれた」本(映画「福田村事件」監督森達也の評)。関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊で取り上げました。
読了日:11月03日 著者:辻野弥生


歴史修正主義-ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで (中公新書, 2664)感想
こちらも『ナチスは「良いこと」もしたのか』と同じく、知りたいこと、知っておきたいこと、説明したいことをわかりやすく整理してある大変ありがたい本。歴史修正主義の起こりから、戦後の推移、虐殺や弾圧の過去を否定することを規制する法についての概略など、現時点までを扱っている。来年度の参考図書リストに挙げようかな。
読了日:11月04日 著者:武井 彩佳

小さき者たちの感想
水俣、天草、須恵村という、著者が生まれ育った九州・熊本の「小さき者たち」(普通の人びと)の生き方や言葉を慈しむように拾いあげたような本。水俣という土地の変遷、水俣病の苦しみ、企業や人の冷淡さや勝手さ、静かに、あるいは激しく事実に向き合う人たちを、先行研究や作品から掬い上げる。テーマやトピックは興味深いが、えらくちょっとずつな文章だなあ思ったら、ミシマ社のweb雑誌の連載をまとめたものだった。納得。
読了日:11月09日 著者:松村圭一郎

濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)感想
夫氏が借りてきたのを私も。有栖川有栖氏は『鍵の掛かった男』を読んで文の感じが合うなと思ったが、この作品もひっかかりを覚えず、するするっと楽しめた。霊を視たり、霊と通じ合ったりできる心霊探偵事務所の話。いつもはファンタジーとか超常現象ものとかは楽しめないのだが、あまり違和感なく読めた。なにしろ原因が霊がらみなので、あまり込み入った捜査や推理はないが、案外アリだったので、また他のも読もう。
読了日:11月11日 著者:有栖川 有栖

濱地健三郎の幽たる事件簿感想
夫氏が借りてきたのを私も。心霊探偵シリーズ2作目。短編集。今日はもう十分頭使った、あとは、ほえ〜っと軽い読み物で脳みそクールダウンしたいという時なんかに良し。お化けとかそういうの全然興味ないけど、このシリーズは不思議にありそうと思えてくる。この2作目は若干悪霊度というか、深刻さが強かったような。
読了日:11月14日 著者:有栖川 有栖

レファレンスと図書館 ある図書館司書の日記感想
てっきり今のレファレンスものかと思いきや、80年代のもの。当時の都立中央図書館のレファレンス業務がいかに激務かはよくわかったが、利用者を悪く言う記述も多くて、今わざわざ復刊した意味が最後までよくわからなかった。対談の中に、図書館ものは図書館が買ってくれるから出せばそこそこ売れるというような記述があったが… 書店業界ものにも感じることの多い、身内向けということかな。
読了日:11月15日 著者:大串 夏身

ウクライナ戦記 不肖・宮嶋 最後の戦場感想
ロシアのウクライナ侵攻のすぐあとに現地に飛んだカメラマンの取材記。一人称はすべて「不肖・宮嶋」、大阪のおっちゃんなしゃべり口調で進んでいく。ミサイル攻撃にさらされている戦時下だが、インターネットが通じ、タクシーがアプリで呼べ、ホテルやレストランが営業していて、ちゃんと食事がとれる状況に戸惑っている。世界各地の危険地帯を取材してきたが、今回が一番怖かったそう。日本のメディがほとんど来ていないところにも行って、現地の人の冷たい視線を浴びながら取材した成果である写真がもっとカラーで載っていれば良かったな。
読了日:11月18日 著者:宮嶋 茂樹

初恋 (光文社古典新訳文庫)感想
次々本を読む演習で学生君がやりたいと言うので数十年ぶりに新訳で再読。同じ作者の『父と子』は良かったと思った記憶があるが、こういう若者が恋に悶える小説にはどうも気持ちが入らない。小悪魔的女性に夢中の男性たちが毎日女性の家に通ってきて罰ゲームだとかに興じるとかどんなけ暇やねんとか思ったり。でも、落ちぶれ貴族の生活や(フランス語で会話するとか)、新しい時代の到来を感じさせる記述や(主人公は「民主主義」を信奉しているとか)、何かといえば詩を暗唱するとか捧げるとか、この時代のロシアの雰囲気を知れるのは面白い。
読了日:11月22日 著者:トゥルゲーネフ

ウクライナ危機後の世界 (宝島社新書)感想
世界的な知識人へのインタビュー集。名だたる学者たちだが、ロシアによるウクライナへの全面侵攻を予想していたという人はほとんどない。この戦いにウクライナが負けることは何としても避けねばという主張は共通。東欧史研究者のスナイダーの章が面白い。オープンな情報のみを集めて分析し、暗殺や戦争の裏を明らかにするべリングキャットの章も。ナワリヌイ暗殺未遂の犯人らを暴いたのは映画「ナワリヌイ」でも見たが、お見事だった。
読了日:11月23日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ,ジャック・アタリ,ポール・クルーグマン,ジョセフ・ナイ,ティモシー・スナイダー,ラリー・ダイアモンド,エリオット・ヒギンズ

密かな愛の贈り物『初恋』―秘められたストーリーが語る真実感想
本を次々読む演習で学生君がツルゲーネフの「初恋」を取り上げるというので。先行研究はストーリーを読み取れていない!表面的だ!として、細部を読み解いていく。分量の半分ほどは著者による訳文ということもあるが、謎解きのようで面白く、あっという間に読んでしまった。著者の分析がすべて正しいのかはわからないが、元の話が面白く思えてきたから不思議。
読了日:11月26日 著者:角 伸明

訂正する力 (朝日新書)感想
「訂正する力」とは、「はい論破!」みたいに拙速に白黒つけるのではなく、ぶれなさを誇示するだけでもなく、自分たちの主張やスタンスの大筋は守りつつ、ぬるっと修正していく思考や態度のこと。たしかに、SNSや学生らの発言を見聞きしていると、すぐ断定したり答えを出したりしないとダメだと思いすぎているように感じる。単純化や硬直化は分断を深めるだけ。うまくいいとこどりしていけばいいのではと思う場面が多いので、本書の論にはおおむね賛同できたが、記述の細部や例示にはちょっと?と感じるところがあったりもした。
読了日:11月26日 著者:東 浩紀

青春をクビになって感想
胸が痛い。雇止めにあう30代半ばの大学非常勤講師が主人公。非常勤講師の身分の不安定さ、報酬の低さは世間が想像する以上。それでも一つの授業を任されている限り、手を抜かずに丁寧に取り組む人がほとんど。なのに、5年しっかり勤めてもその先は保証されない。でも自分で選んだ道だろうと言われてしまう。そんな主人公が、女性研究者に対して、夫がいるから食べていけていいよねと思う場面もあって実にリアル…「女の子は結婚したら食べていけるからいいよね」って私も面と向かって言われたよ若いとき… 
読了日:11月29日 著者:額賀 澪

幻坂 (幽BOOKS)感想
夫氏が借りてきたのを私も。大阪の七つの坂で起きる幻をめぐる話、または幻想的な話。がちゃがちゃした大阪ではなく、上方落語や文楽のような雰囲気。じわっと人情味のある話から、ぞくっとする話まで。(ラスト2話は時代物っぽいのでバスした…)
読了日:11月29日 著者:有栖川有栖



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