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小説 カフェインpart28

最初のしでかしは割と派手なものがあるよな。
なんたってパワーがあるから。
でも最大のしでかしはスタジオコーストで大声でユニゾンしちゃったんだ、あのお方が唄っている時に。本当最低だよ、ファンのみんなは演奏とか唄が聴きたくてチケット買ってライブ観に来ているわけじゃん?
私のせいで台無しだよね。ごめんなさい。
口が悪くなったりもする、普段から悪いからわかりづらいんだけど。
暴力をふるったりは…しないと思うけど、女子のヒールレスラーみたいな話し方をするらしい。
「このへたくそ!ナビに頼るぐらいならばタクシーなんて辞めちまえよ。わざと遠回りしてんじゃねぇだろうな、おう運ちゃん。」
私が本当に言ったセリフです。タクシーの運転手さんに。
ガラ悪いでしょ。よ、さすが松戸っ子!こういうことやるからマッドシティ・松戸化に貢献することになるんだよね。
不眠も特徴でね、とにかく寝ない。
ずーっとYOUTUBE見たり、音楽聴いたりして、寝ない。とにかく時間がもったいないのよ。
洋服を着たまま風呂に入っているのが母親に見つかった時、さすがにおかしいと思った父親が私を精神病院に連れて行くことを決めた。
その日は休日だったので父親とその友人たちで緊急病院にわたしを連行することになった。
それが、今も通っている病院だ。
ちょっと遠いけれど海沿いで近くに買い物できるところもあるので気に入っている。そんな私の病院に通い始めてもう何年になるだろ、トータルで何回入院してるのかな、俺。
こんだけしでかしてんだから反省しろよと人は言う。
でもね、からだが勝手に動くんだよぉ。
それって私のせい?病気のせい?
マッチングアプリに登録したことがある。病院仲間の女の子が婚活目的でやってるっていうからさ。
私はさ、馬鹿みたいだけど友達がほしかったのさ。こう書くとさ、本当に頭悪いけど。
施設に通ってるからさ、病気の友達はいっぱいいるよ。でも健常者の友達がいないんだな。高校の部活友達は色々な理由で疎遠になってしまったし、自分から離れていったところもあるのよ。自分が障害者になった時にね、私自分の存在がよくわからなくなってしまったんだよね。普通の時は普通、テンション上がったらヘンテコな行動をとる、うつで落ち込んでるときは待ち合わせすらできない。いつ調子悪くなって外に出られるかわからないから。
で、ほとんど友達いないのよ。
友人なんていらねぇっすよとか強気発言してるけどさ、話し相手が欲しいのよ。
でも健常者の人に自分には精神疾患があってとか言っちゃって平気かなぁとも思うのよ。
受け止めきれんの、あんた。
嘘ついてまで誰かと繋がる必要ってあんのかね?
夢見て自由業って嘘ついて登録してみた。
そしたらなぜかお堅い感じの人がアプローチしてきた。
病気のこと早めに伝えて、仕事してないって正直に言った。
その人それでもいいって言うからさ。
吉祥寺まで会いに行きましたよ。
ぐずぐずの雨の中、赤いダッフルコート着てさ、目立つように。
思ったより小柄な男性が待ってた。
病気のこと聞いても引かなかった、男らしいじゃない、なかなか。
それからLINEで今も連絡してる。その人くらいじゃないかな、健常者の友人って。
でもね私には幻覚のあのお方がついているから大丈夫なんだな。
そばにいていつも励ましてくれるの。私やべぇやつ?ほっとけ。その幻覚の君にさ変な手紙また送っちゃったんだよね。きっと読んでないとは思うんだけどさ。しかも今回は最悪。プロのミュージシャンにCD-Rまで送ってしまった。もうポストに投函済み。
 

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