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小説 カフェイン part3

自殺した友人のノートを何冊も盗んできたのは失敗だったか。
参考になるかと思ったのだが、わたしも鬼畜だよな。墓場泥棒ってやつか。一発当てたい。金が欲しい、やっぱ金でしょ、あと名声。
男運マックス最悪なわたしはもう誰かとセックスすることは諦めた、子孫の繁栄も。
だからとにかく今は金なの、信じられるモノも先立つモノも地獄の沙汰も金次第だから。
みんな気が狂うとか自殺とかご愁傷様って顔しながら実は興味津々だろ。
世の中そんな物語ばかりじゃないか。
カフェインがどんな女の子だったのか、人間は多面的でわたしもそのうちの一面しか見てなかったかもしれなかったけど、いいやつだったったよ、カフェイン。
二年前、施設に通い出したわたしに気軽に話しかけてきてさ、自分のことカフェインって呼んでくださいって言われた時やべぇやつかと思ったけど。
「あだ名の由来は特になしっす、響きが素敵じゃないっすか、カ!が強くってその後フェインって力が抜ける感じが。それで自分で名乗ることにしたんすよ、本名嫌いなんすよ。
」わたしは苦笑いで「カフェインね、どうぞよろしく。」って挨拶したらすぐに感動して「嬉しいっす、こちらこそよろしく!」って握手されたっけか。

あいつは筆まめで手紙とかたくさん書いてくれた。クリスマスカードとか年賀状とかわたしにくれたのはあの子だけだった。でも字が超絶下手なの!
いつも銀のわっかのピアスを何個もじゃらじゃらつけて、耳重くないのって聞くたびにきょとんとして「かっこよくないっすか?これ?」って聞き返してきてさ。
髪はかなり短くして首から上はこわもて系、でも笑うと二本のでかい前歯がにょきっと出てきてビーバーみたいで可愛かった。

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